目の前に野生のクマ、柵なし
ロシア・カムチャッカ半島のクリル湖にはクマがいっぱい
「ロシアには文字通りのクマの楽園があります。極東カムチャツカ半島の先端にあるクリル湖です。
カムチャツカはロシアの中でも雄大な自然で知られていますが、その中でもクリル湖は特別なエリア。ここでは柵やオリも使わず、野生のクマを5メートルほどの距離からゆっくりと観察できる珍しい地域だからです」
クマが近い
「その秘密は豊富なサケ。カムチャツカは世界のサケの仲間がすべて見られると言われるほど、サケが豊富にいます。夏から秋にかけてが最も多いのですが、冬でもサケを見ることができるそうです。豊富なえさがあるので、クマは人間には感心を示さないようです。
すぐ近くでクマが食べるので、サケの骨をかみ砕く、ごりごりという音も聞こえてきます」
サケもいっぱい
クマは思いのほか俊足
「もちろん実弾と警告弾を装備したレンジャーが必ず同行し、クマを驚かさないよう、『大きな声を出さない』『走らない』といった点に注意する必要があります。
クマはオスは体重が500キロにもなる巨体ですが、100メートルを6秒で走る俊足でもあります。木にも登れるので、襲われたら逃げ切るのは不可能です」
人とクマが接近
「残念ながら、ここでは1996年、写真家の星野道夫さんがクマに襲われて亡くなりました。
その後、レンジャーの体制を見直し、その後は大きな事故はないそうです。最近はキャンプ場も整備され、電気柵越しに見ることもできるようになりました」
クマへの注意を呼びかける看板
問題はアクセスの悪さ
「カムチャツカ半島は豊富な自然が残る一方、道路の整備が進んでいません。クリル湖も通常はヘリコプターで向かいます」
ヘリで移動
「ただ、悪天候でヘリが飛ばないときもよくあります。
その場合は、大型トラックに客室を乗せたようなロシア製の四駆バスの『ウラル』を使います」
四駆バス「ウラル」
「でこぼこの悪路を激しく揺られながら走り、途中の川は渡し船で渡って別のウラルに乗り換え。
トイレはないので『男性は右、女性は左』となるので、これが苦手な人には厳しいかもしれません」
川沿いにできた天然の温泉
「カムチャツカはほかにも雄大な火山の風景で有名で、川沿いにできた天然の温泉に入ることもできます。ヘリが火口のすぐ近くまで飛ぶなど、様々な楽しみがあります」
カムチャッカの雄大な火山
北極圏に残る「ソ連の街」
スピッツベルゲン島はノルウェー本土の北にある
「北緯77度、北極圏に浮かぶノルウェー領のスピッツベルゲン島」
スピッツベルゲン島
「この島には『ソ連の街』が残っています。街の中心部にはレーニンの頭像が。視線の先には長さ数百キロにもなる氷河が横たわっています」
スピッツベルゲン島に残るレーニン像
「ここは昔の炭坑町で、山の形状から『ピラミッド』と名付けられました。1998年に閉山となっていまは無人の街ですが、ロシアの炭鉱会社が観光で再建する計画。外国人向けのホテルもできました」
これが「ピラミッド」
「スピッツベルゲンのバレンツブルグにはいまもロシアの炭鉱で採掘が続いています。炭鉱労働者の9割がウクライナ出身。紛争が続くウクライナ東部は炭鉱が多く、そこから家族と逃れてきた人が増えました。
ほかの労働者も旧ソ連圏の出身です。旧ソ連の町並みが残り、店の価格はロシアの通貨ルーブルで表示。労働者は特別なカードを使えば、ロシアにある銀行口座から引き落とされます。
炭坑ツアーも含め、いまも残る『ソ連の体験』も観光の目玉の一つです」
炭坑労働者
問題はやっぱりアクセスの悪さ
「スピッツベルゲン島は19世紀から石炭をめぐりロシアやノルウェーなどが領有権を主張。1920年に調印されたスバールバル条約によりノルウェー領に確定しましたが、ロシアや日本など調印した国の企業や個人は平等の活動が保障されました。入国ビザも不要です。
ソ連時代、バレンツブルグやピラミッドは実質的に閉鎖された街でしたが、いまはノルウェー側と交流もあります。ノルウェー側の街ロングイヤービーンはより多くの観光客が訪れています」
アザラシの姿も
「ただ島の道はあまり整備されておらず、冬の移動はスノーモービル。ロシア人は『簡単だ』と言っていましたが、雪原は平らに見えてでこぼこで、斜面も多いので、中型のオートバイを運転していた経験もある私でも最初は難しかったです。
いきなり時速50キロで走り、長いときには12時間も走ります。バイク経験のない女性はよく転んでいました」
雪原を滑走するスノーモービル
「しかも速度が上がると寒さが一層こたえるうえ、真っ白な雪原は昼間は明るくてきれいですが、暗くなると視界が悪くなり、道が背景と一体となってどこを走ればいいか分からなくなります。
それでも最後まで運転する以外に逃げ道はありませんので、かなり根性も必要です」
スピッツベルゲンの夜
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