ところ変われば品変わる。世界のあちこちに住む朝⽇新聞の特派員が、「おやつ」をテーマに写真を撮ってきました。今回とりあげるのはグミキャンディーです。オーストラリアのものはふつうにおいしそうですが、ブラジルの「一番人気」は食欲のわかない見た目。そして、アメリカから送られてきたのは「くさい靴下味」「刈り取った草味」「腐ったタマゴ味」、さらに……というとてつもないフレーバー。これ、誰が食べるの?(朝日新聞国際報道部)
豪州、グミは1回4個まで
案内役は元テヘラン支局長で東京・国際報道部の神田大介です。まずはふつうのグミを見てみましょう。オーストラリアのシドニーから、小暮哲夫記者。

日本よりも甘いです。『1回4個まで』と書かれています」

グミは1回4個までって、ゲームは1日1時間みたいな言いぶりがおもしろいですね。
そういえば中東のイランでもグミキャンディーは人気があり、隣国トルコの商品をよく見かけました。いろいろな種類がありましたが、中には変わったかたちのものも。

スパゲティーのかたちをしているんですが、味はイチゴという、なかなかに複雑なグミでした。
日本でもパスタの一種、フィットチーネのかたちをしたものが売っていますね。

今でこそ日本でも身近なグミキャンディーですが、実は後発。明治製菓(現在の明治)が1980年に「コーラアップ」を売り出したのが日本では最初だったそうです。さらに同社が1988年に売り出した「果汁グミ」がヒットし、広まりました。
元祖はドイツの「ハリボー」で、1920年に生み出されたそうです。ちっちゃいクマのグミで、日本でも売っていますね。
ただ、人気のあるかたちは各国さまざまなようです。こちらもちょっと変わったグミ、ブラジルから岡田玄記者。
なぜ、なぜ入れ歯なんだ

Finiは何種類もあるのですが、中でもこの『Dentaduras』というものが人気とか。みたまんまですが、Dentaduraは『入れ歯』の意味です」

ちなみに、こちらはミニサイズ。これよりも大きく、よりリアルなものも売っていましたが、まったく食べる気がしないので買いませんでした」
歯で歯を嚙むという発想はなかった! 「究極の共食い」と言いましょうか。ブラジルの人たちは柔軟だ。
グミでロシアン・ルーレット
さらに独自の発展を遂げる例もあるようで……。アメリカ中西部オハイオ州から金成隆一記者。

道中、娘2人に聞かれました。『ねえ、ビーン・ブーズルド知ってる?』」

結局、3箱を買ってそのまま自宅にお邪魔し、遊び相手をすることに」

順番にキャンディーを口に入れて、周囲が見守ります」

外れると、本人は涙目になってティッシュにはき出す。周囲は、それが楽しくて腹を抱えて笑うというわけです」
ねえ、味付けの根拠は? 食べたの?

なるほど、テレビ番組なんかでよくやっている、「見た目はおいしそうなマグロのお寿司ですが、中に一つだけ大量のわさびが入っています。さあ、どれだ?」みたいなことが気軽にできるというわけですね。
同じ色でどんな味の違いがあるのか、パッケージを訳してみました。
刈り取った草 / ライム
腐ったタマゴ / バターポップコーン
歯みがき粉 / ベリー・ブルー
げろ / 桃
缶入りドッグフード / チョコレート・プディング
鼻くそ / ジューシーな洋梨
かびたチーズ / キャラメルコーン
赤ちゃんのお尻ふき / ココナッツ
スカンクのおなら / リコリス(甘い味のハーブ)」
ちょっと想像できないというか、想像したくないというか。何を根拠に味付けをしたのか、ひょっとして実際に食べたのかという疑問が浮かんでくるフレーバーもちらほら。あと単なるドッグフードではなく「缶入り」という謎のこだわり。
確かに子ども受けは良さそうです。いちど食べてみたいような、みたくないような。
というわけで、世界中で人気を集めるグミキャンディーでした。
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