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連載

#14 特派員フォトリレー

【世界のおやつ】アメリカのグミがやばすぎる お尻ふき味に靴下味…

うわあ!と思わず顔をしかめる味です
うわあ!と思わず顔をしかめる味です

目次

 ところ変われば品変わる。世界のあちこちに住む朝⽇新聞の特派員が、「おやつ」をテーマに写真を撮ってきました。今回とりあげるのはグミキャンディーです。オーストラリアのものはふつうにおいしそうですが、ブラジルの「一番人気」は食欲のわかない見た目。そして、アメリカから送られてきたのは「くさい靴下味」「刈り取った草味」「腐ったタマゴ味」、さらに……というとてつもないフレーバー。これ、誰が食べるの?(朝日新聞国際報道部)

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豪州、グミは1回4個まで

 案内役は元テヘラン支局長で東京・国際報道部の神田大介です。まずはふつうのグミを見てみましょう。オーストラリアのシドニーから、小暮哲夫記者。

オーストラリアのグミキャンデー「アレンズ」
オーストラリアのグミキャンデー「アレンズ」
 小暮記者「オーストラリアではみんなが知っているという『Allen’s(アレンズ)』のグミです。
 日本よりも甘いです。『1回4個まで』と書かれています」
オーストラリアのグミキャンデー「アレンズ」
オーストラリアのグミキャンデー「アレンズ」
 「コンビニでの売り場の様子です。スタンダードなのはいろんな種類が入った『Party Mix』で、190グラムのものが4.5豪ドル(約370円)でした」

 グミは1回4個までって、ゲームは1日1時間みたいな言いぶりがおもしろいですね。

 そういえば中東のイランでもグミキャンディーは人気があり、隣国トルコの商品をよく見かけました。いろいろな種類がありましたが、中には変わったかたちのものも。

トルコの「スパゲティー・グミ」
トルコの「スパゲティー・グミ」

 スパゲティーのかたちをしているんですが、味はイチゴという、なかなかに複雑なグミでした。

 日本でもパスタの一種、フィットチーネのかたちをしたものが売っていますね。

トルコの「スパゲティー・グミ」
トルコの「スパゲティー・グミ」

 今でこそ日本でも身近なグミキャンディーですが、実は後発。明治製菓(現在の明治)が1980年に「コーラアップ」を売り出したのが日本では最初だったそうです。さらに同社が1988年に売り出した「果汁グミ」がヒットし、広まりました。

 元祖はドイツの「ハリボー」で、1920年に生み出されたそうです。ちっちゃいクマのグミで、日本でも売っていますね。

 ただ、人気のあるかたちは各国さまざまなようです。こちらもちょっと変わったグミ、ブラジルから岡田玄記者。

なぜ、なぜ入れ歯なんだ

ブラジルのグミ「Fini」
ブラジルのグミ「Fini」
 岡田記者「サンパウロ育ちの大学生が『ブラジルで駄菓子と言えばコレ』とおすすめしてくれたのは、FiniというグミとTortuguitaというチョコ。
 Finiは何種類もあるのですが、中でもこの『Dentaduras』というものが人気とか。みたまんまですが、Dentaduraは『入れ歯』の意味です」
ブラジルのグミ「Dentaduras」
ブラジルのグミ「Dentaduras」
 岡田記者「味はピンクの部分がイチゴ味で、白い部分がバニラ?味ということですが……。気持ち的に、あまり味わう感じではありません。
 ちなみに、こちらはミニサイズ。これよりも大きく、よりリアルなものも売っていましたが、まったく食べる気がしないので買いませんでした」

 歯で歯を嚙むという発想はなかった! 「究極の共食い」と言いましょうか。ブラジルの人たちは柔軟だ。

グミでロシアン・ルーレット

 さらに独自の発展を遂げる例もあるようで……。アメリカ中西部オハイオ州から金成隆一記者。

アメリカで売られているグミキャンディー「ビーン・ブーズルド」
アメリカで売られているグミキャンディー「ビーン・ブーズルド」
 金成記者「2017年7月2日、トランプ大統領の支持者が多い『ラストベルト』のオハイオ州にて。2年ほど取材しているトランプ支持者のデイナ・カズマークさんと交際相手のミッチさん、デイナさんの娘2人の計4人が4日の独立記念日用に買い出しをするというので、ウォルマートに同行しました。
 道中、娘2人に聞かれました。『ねえ、ビーン・ブーズルド知ってる?』」
箱の中身はこんな感じ。一見、ふつうのグミキャンディーだが…
箱の中身はこんな感じ。一見、ふつうのグミキャンディーだが…
 金成記者「2人は『ねえ、ルイジ(隆一→リウイチ→ルイジになった)しらないって』『見せてあげたいから、ママ買って、買って』と騒ぎ始めました。
 結局、3箱を買ってそのまま自宅にお邪魔し、遊び相手をすることに」
同じ色のグミキャンディーだが、味は2種類ある
同じ色のグミキャンディーだが、味は2種類ある
 金成記者「同じ色のキャンディーだけど、それぞれに味は2種類あります。おいしいものとマズイものがあり、口に入れるまでどっちを食べたかがわかりません。
 順番にキャンディーを口に入れて、周囲が見守ります」
食べたのはデイナさんの四女ジョージィちゃん、7歳。「いただきまーす」
食べたのはデイナさんの四女ジョージィちゃん、7歳。「いただきまーす」
 金成記者「おいしい方だと、本人は一安心、周囲はブーイング。
 外れると、本人は涙目になってティッシュにはき出す。周囲は、それが楽しくて腹を抱えて笑うというわけです」

ねえ、味付けの根拠は? 食べたの?

残念! ハズレを引いてしまったようです
残念! ハズレを引いてしまったようです

 なるほど、テレビ番組なんかでよくやっている、「見た目はおいしそうなマグロのお寿司ですが、中に一つだけ大量のわさびが入っています。さあ、どれだ?」みたいなことが気軽にできるというわけですね。

 同じ色でどんな味の違いがあるのか、パッケージを訳してみました。

「くさい靴下 / フルーツアイス
 刈り取った草 / ライム
 腐ったタマゴ / バターポップコーン
 歯みがき粉 / ベリー・ブルー
 げろ / 桃
 缶入りドッグフード / チョコレート・プディング
 鼻くそ / ジューシーな洋梨
 かびたチーズ / キャラメルコーン
 赤ちゃんのお尻ふき / ココナッツ
 スカンクのおなら / リコリス(甘い味のハーブ)」

 ちょっと想像できないというか、想像したくないというか。何を根拠に味付けをしたのか、ひょっとして実際に食べたのかという疑問が浮かんでくるフレーバーもちらほら。あと単なるドッグフードではなく「缶入り」という謎のこだわり。

 確かに子ども受けは良さそうです。いちど食べてみたいような、みたくないような。

 というわけで、世界中で人気を集めるグミキャンディーでした。

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