シェアサイクル、光と影
台湾のシェアサイクル
西本記者「台湾には『You Bike 微笑単車』と呼ばれるシェアサイクルがあります。
2012年に先駆けて導入された台北市内の場合、主要地下鉄駅や公共施設の近くに、約400カ所の自転車ステーションが設置されています。通勤や通学にも使えますし、私も休日、少し離れたショッピング街に買い物に出かける際などに利用しています。
中国では上海など、どこでも乗り捨てできる自転車が話題になっていますが、古くなった自転車が放置されがち。台湾では自治体と地元の自転車メーカー・ジャイアント系の団体が連携してステーションを整備し、自転車のメンテナンスをしています」
台湾のシェアサイクル
西本記者「地下鉄やバスで使う交通カードをステーションの機械にかざすと、自転車のロックが解け、乗車が可能になります。
料金は、基本的には30分で10台湾ドル(約36円)。最初に利用する際、スマートフォンのアプリを通じて、会員登録が必要です。
地下鉄やタクシーなどで移動するよりも、街角の風景や空気を体に感じながら移動できるのが、自転車の良いところです」
大量に投棄されるシェアサイクル=北京市、山本裕之撮影
バンコクのシェアサイクル
吉岡記者「バンコクの都心で撮影したシェアサイクルです。数台は稼働している模様ですが、私はバンコクで自転車に乗っている人自体を見たことがない気がします。記憶に残っていないだけかもしれませんが……。
中国で話題のシェアサイクルが昨年上陸したときも、ニュースになっていましたが、大学とか観光地に限っているようで、これもまだ都心では見ません」
バンコクのモーターバイク
吉岡記者「なぜか。総局のスタッフによれば、暑いし、危ないし、空気も悪いので、いずれにせよ自転車は使いたくないとのこと。
さらに、モーターバイクが席巻しているからです。これが渋滞を抜けてぶんぶん走り回っているので、自転車の出る幕がありません」
バンコクのバイクタクシー
吉岡記者「バイクタクシーもありますが、私は怖いので乗ったことがありません。この人たちの雇用は政治的に敏感な問題です。
プールされている場所があって、一応、料金も書いてあります。私は急ぐときは、タクシーより高いけど、結局トゥクトゥクに乗っています」
ジャカルタにて、バイクタクシーを降りる野上記者
野上記者「ジャカルタの交通機関にもいろいろありますが、バイクタクシーが一番人気です。私もたまに利用します。
運転手がヘルメットを貸してくれて、後部座席に乗ります。渋滞した車の間をぬって進むので、機動性はバツグン。
逆に言うと、このバイクのせいで車がさらに渋滞しています。信号無視、逆走、割り込み、なんでもありなので、よけいに混みます」
バイクタクシーから見たジャカルタの街並み
野上記者「いまはアプリでウーバーのように距離と料金をあらかじめ指定して乗れるので、人気がさらに爆発。みんな通勤やちょっとした移動に使っています。
ちなみにバイクはほとんど日本車です」
イランのバイクタクシー
3輪の自転車
バングラデシュの「リキシャ」
奈良部記者「バングラデシュでは、『人力車』が語源とされるリキシャが健在です。乗るとスイスイ快適で、ちょっとした距離なら数十円という安さ。
汗でびっしょりになった細い体でペダルをこぐおじさんの背中を後ろからみると、『自分もがんばるぞ』という気持ちになります」
ミャンマーの「サイカー」
五十嵐記者「ミャンマーでよく見かける街の乗り物、サイカー。自転車の脇に客を乗せるいすが付いており、その名の由来は『サイドカー』とも言われます。
2013年に西部ラカイン州の州都シットウェー近郊にあるイスラム教徒ロヒンギャの居住区を訪ねると、サイカーはここでも人や荷物を運んでいました。
前年にあった仏教徒住民との衝突で、市街地から郊外に追いやられたロヒンギャの人たち。かつては市中心部の市場などでサイカーをこぐ『サイカーダマー』などとして働く男性も多かったそうです」
キューバの自転車タクシー
田村記者「ハバナ旧市街で庶民の足となっている3輪車型のタクシー。細い路地をすいすい走っていきます」
船も大事な「街の乗り物」
コロンビアの船
田村記者「コロンビア西部チョコ県のそれぞれ違った集落の船乗り場の写真です。
黒人の人口が多いチョコ県は、コロンビアで最も貧しい地域の一つで、道路網があまり開発されていません。
村むらは熱帯雨林の川に沿って発展しており、それぞれがボートで結ばれています」
コロンビアの船
田村記者「2016年に政府と和平合意にいたったコロンビア革命軍(FARC)にとっても、重要な移動手段はこうしたボートでした。
写真の村むらにも、ボートに乗ったFARCのゲリラ戦闘員や、それと対立する別の武装集団らが次々とやってきて、村人にも大きな被害が出ました」
コロンビアの船
田村記者「小さな船に、沈んでしまうのではないかと思われるほどたくさんの人が乗るので、乗り心地はあまりよくないです。水しぶきで服がびしょ濡れになります」
ペルー・イキトスの船
岡田記者「ペルーのイキトスという町で。アマゾン川流域の水上都市で、買い物や通勤通学には小舟が欠かせません」
ミャンマー・インレー湖の船
五十嵐記者「ミャンマー北東部シャン州にある観光地インレー湖に暮らす少数民族インダーの人たちは、足でオールをこいで巧みに小船を操り、漁を行います。この湖の風物詩です」
動物も活躍しています
パキスタンのロバ
乗京記者「パキスタンはでこぼこの道が多いことから、ロバや水牛が現役で活躍しています」
パキスタンの水牛
乗京記者「フンは手のひら大に伸ばして塀にはりつけ、乾燥した後、かまどの燃料に使います」
アフガニスタンのロバ
五十嵐記者「戦乱が続くアフガニスタンでは治安の悪化が続いていますが、2011年9月に取材で訪れた中部バーミヤン州は比較的治安が安定していました。
美しい湖バンデ・アミールを訪れた時のこと、遠くからロバに乗った地元の男性が近づいてきました」
アフガニスタンのロバ
五十嵐記者「車がほとんど見かけられないなか、ロバは地域の人たちにとって重要な乗り物のようでした」
エジプトの馬車
北川記者「カイロで取材先から帰る途中、荷車を引いて道路を疾走する馬に遭遇しました。
エジプトの街中ではよく目にする光景。馬の仕事は、観光地で人を乗せることだけではないのです」
・(昼ごはん編1)ヤギ肉・湖の魚…、お国柄見える「サラメシ」たち
・(昼ごはん編2)海越えたシリアの「弁当」 ウズベキスタンの食は
・(昼ごはん編3)ど迫力のローストポーク! 肉肉肉な国と言えば…
・(タバコ箱編1)体への害、警告「どぎつい」国々 2500円の国も
・(タバコ箱編2)警告画像「ヘビー級」の国々 もはやホラー…
・(タバコ箱編3)体への害、警告「抑えめ」な国々 北朝鮮製の箱も

- 前へ
- 次へ