IT・科学
韓国ロケット打ち上げ、日本でも観測 山口の夜空に幻想的な光
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11月27日未明、韓国がロケットの打ち上げに成功しました。夜空に打ち上げられたロケットが、日本の夜空でも観測され、山口県にある博物館の学芸員がカメラにおさめました。
韓国航空宇宙研究院(KARI)のプレスリリースによると、27日未明に国産ロケット「ヌリ号」4号機を韓国南部の羅老宇宙センターから打ち上げました。
搭載されていたオーロラ観測のための人工衛星などは予定通り軌道に入り、地上との交信にも成功しました。今後、1日に地球を15周しながら観測を行うそうです。
韓国で打ち上げられたロケットは、日本でも観測されました。
山口県立山口博物館の天文担当の学芸員・岩村和政さんは、山口・秋吉台で撮影に成功しました。
本来なら超望遠レンズでビデオ撮影を行う予定で、夜中のカルスト台地で一人スタンバイし、打ち上げの時間を待っていました。しかし、打ち上げの予定時刻を過ぎてもロケットが見えなかったため、一度はあきらめて機材を片付けました。
ところが、その直後に肉眼で軌跡を確認し、急いで広角レンズで撮影したそうです。結果的に、写真でロケットの周囲に広がる大気の擾乱(じょうらん)による発光現象(赤く見えるガス状の部分)がとても大きく幻想的な打ち上げを写すことができました。
「最初は赤い筋のようなものが見られ、動いていきます。高度が上がるにつれ、ロケットの超音速の衝撃で大気が擾乱され、電離層の酸素原子が発光することでガスが広がったような感じで大気光が見えました」と振り返ります。
岩村さんによると、今回のロケットは韓国から南(沖縄方向)に打ち上げられたので、九州や西日本で見えたと考えられます。ただ、天候の関係で見えた地域は限られていた可能性があります。
岩村さんは、少年時代から彗星(すいせい)や星に魅せられ、型紙から木材を切り出して望遠鏡を自作していたほどで、40年近いキャリアがあります。山口県で南十字星の恒星「ガクルックス」や、低緯度オーロラの撮影に成功したこともあります。
深夜の韓国からのロケット打ち上げということで、撮影はさぞ困難を極めたのかと思ったのですが、意外にも山口県からはむしろ撮影しやすいのだそうです。
「昼間より夜間のほうが見えやすく、遠くから観測しやすいです。山口県からも種子島のH2Aロケットなどを観測していますが、実は韓国のロケット発射場のほうが近く、ロケットの航跡を真横から見えるので見やすいのです」
KARIのプレスリリースによると、韓国は今後、2027年までにロケットをさらに2回発射するそうですので、ご関心のある方は観測にチャレンジしてみてください。
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