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連載

#3 特派員フォトリレー

【世界の昼ごはん】ど迫力のローストポーク! 肉肉肉な国と言えば…

牛肉、鶏肉、豚肉…各種そろいました
牛肉、鶏肉、豚肉…各種そろいました

目次

 ところ変われば品変わる。世界のあちこちに住む朝日新聞の特派員が、同じテーマで写真を撮ってきました。今回のテーマは「昼ごはん」。その中でも、肉を使ったランチに注目しました。世界は肉と肉汁と脂に満ちています。(朝日新聞国際報道部)

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パンに肉をはさむのは万国共通

 まずはハムやソーセージがうまいヨーロッパの肉食大国、ドイツから高野弦記者。案内役は東京・国際報道部の神田大介です。

クルステンブラーテンをはさんだパン
クルステンブラーテンをはさんだパン
 高野記者「ドイツのごくありふれた昼食の風景から。名前はクルステンブラーテン。皮付きローストポークです」
これが皮付きローストポーク
これが皮付きローストポーク
 高野記者「皮ごとローストされた丸ごと豚肉を、パンに2枚はさんでいただきます。2.6ユーロ(約340円)。肉の厚さでパンが見えなくなります。
 肉好きのドイツ人が、ごく普通に食べる一品。皮のパリパリ感と、たっぷりとした肉汁が絶妙にマッチ。ハンバーガーチェーン店の『2階建てバーガー』と、ほとんど同じ値段です」
肉でパンを包んでいるかのようだ!
肉でパンを包んでいるかのようだ!

 これは豪快。ボリュームの割に安く感じます。実にシンプルですね。ドイツ名物のビールともあいそうです。

 続いてはオーストラリア、シドニー支局から小暮哲夫記者。

トーストしたサンドイッチ
トーストしたサンドイッチ
 小暮記者「オーストラリアは移民社会なので、いわゆる洋食系から、アジア、中東、中南米までなんでもあり、これが『典型的なランチ』と選ぶのは難しいのですが、最低賃金の時給が1600円ほどの国はとにかく物価が高く、持ち帰り(テイクアウェイ)でサンドイッチを買うというのがよくある選択肢になります。
 サンドイッチの中身はビーフ、チキン、ベーコン、ハム、チーズ、トマト、アボカドなど様々ですが、私が週に1回は買いに行くのが、オリーブオイルとバターをパンに塗り、ゆでたチキンとトマト、レタス、に塩こしょう、マヨネーズをかけたもの。シンプルで、日本人の中年男性にはやさしい味です。
 これでも10豪ドル50セント(約860円)します。それでも10ドル前後に収まれば、手頃と感じるほどです。
 希望すればトーストしてくれます(追加料金はなし)。トーストの仕方も、(1)パンだけトーストして具を挟む(この写真の場合はそれ)と、(2)挟んだ具ごとトースト(チーズが入っていればこちらがうれしい)の2パターンがあります」

 おいしそうではありますが、サンドイッチで860円って高すぎやしませんか! 世界には物価の高い国がけっこう多いようです。

 サンドイッチのパンをトーストするのは、日本でもチェーン店の「サブウェイ」などでやってくれますね。いくつも種類があるパンやドレッシングを選ぶのが難しくて、「おすすめのでお願いします」と言ってしまいがちです。

 お次はインドから奈良部健記者。パンに肉を挟むといえば、忘れちゃいけないアイツです。

マクドナルドにも違いあり

日本でもおなじみだけど、別の名前で出ています
日本でもおなじみだけど、別の名前で出ています
 奈良部記者「インドにもマクドナルドがあります。頼んだのは、『チキン・マハラジャ・マックバーガー』セット。ポテトとコーラがついて440円程度です。
 マハラジャは『大王』の意味。命名の理由は不明です。
 中にはさまれているのはチキンを揚げたもの、トマト、レタス、オニオン、チーズと日本とそれほど変わりません。ただ、マヨネーズにチリスパイスが入っていて、ピリピリと辛いです」

 100カ国以上に展開し、世界を代表するハンバーガー店「マクドナルド」ですが、実は各国でメニューが違っています。

インドのマクドナルドには「マックスパイシー」なる商品が
インドのマクドナルドには「マックスパイシー」なる商品が
 奈良部記者「インド人は辛さへの追求に余念がないので、スパイシーさを売りにしたものは、たいそう辛くなっています。
 また、ベジタリアンが多く牛肉と豚肉が出せないため、多くはチキンかパニール(チーズ)を使ったものです」

 よく見るとポスターの隣に「ビーフやポーク、これを使った製品は売っていません」と書かれています。一般に、インド人の8割を占めるヒンズー教徒は牛肉を、1割以上にあたるイスラム教徒は豚肉を食べません。

 こんなところにもお国柄が現れるようです。

肉食世紀ブラジル

 ブラジル・サンパウロ支局の岡田玄記者は、1週間に食べたランチの写真をぜんぶ送ってくれました。

岡田さん、金曜日のランチ
岡田さん、金曜日のランチ
岡田さん、土曜日のランチ
岡田さん、土曜日のランチ
岡田さん、日曜日のランチ
岡田さん、日曜日のランチ
岡田さん、月曜日のランチ
岡田さん、月曜日のランチ
岡田さん、火曜日のランチ
岡田さん、火曜日のランチ
岡田さん、水曜日のランチ
岡田さん、水曜日のランチ
 岡田記者「ひたすら肉、肉、肉。しかも安い。火曜日の店は400円もしませんでした。たくさん焼いてある中から、食べたい部位や種類を選ぶスタイルです。
 土曜日に食べたのはフェイジョアーダ。フェイジョンという黒い豆と、豚の内臓やしっぽの肉などを煮込んだもの。ご飯にかけて食べます。ブラジルでは、水曜と土曜がフェイジョアーダの日とされていて、どこに行ってもフェイジョアーダがあります。
 水曜日に食べたのは牛丼チェーン『すき家』。やはり、しょうゆの味がなつかしかったのでしょう。サウダージ。
 ブラジルのすき家にはラーメンなどもあり、そちらを注文しようと思っていたのですが、なぜか無意識のうちに牛丼を頼んでしまうという失態。肉尽くしの1週間でした」

 「サウダージ」じゃないよ。ちなみにサウダージとは、懐かしさや郷愁が一体となった感情を表すポルトガル語だそうです。

岡田さん、木曜日のランチ
岡田さん、木曜日のランチ
 岡田記者「木曜は支局近くのショッピングモールにあるバイーア料理屋に。バイーアはブラジル北東部にある海岸沿いの州で、シーフードなど料理がおいしいことには定評があります。黄色いのは、アブラヤシから採れるデンデ油を使っているから。
 この店は、ポルキロと呼ばれる、重さで料金が決まるシステムです。おいしい代わりに、やや高く、この日は1200円ほど。奮発しました」

 というわけで、ブラジルにもちゃんと魚料理はあるようです。

 岡田記者「ちなみに、皿の真ん中のでろーんとした細長いものは、バナナの揚げたものです。
 今回は内陸部へ出張したため肉料理ばかりになりましたが、『ブラジルは肉だけ』と誤解されるのは不本意であります(普段から肉が多いのは事実ですが)。
 ブラジルは国土も広大な上、移民の国。地域ごとに異なる食材があり、移民がもたらしたさまざまな調理技法もあります。それらを組み合わせた食文化は実はとても豊かで、飽きることはありません」

 なるほど。日本食がスシとテンプラだけではないのと同じですね。

 ところで、「重さで料金が決まるシステム」というのは、割とよく見かけますね。日本でもステーキやハンバーグのお店では珍しくありません。

 わたし(国際報道部・神田)が3年7カ月を過ごしたイランでは、洋菓子店でケーキの値段を重さで決めるのが主流でした。どんな種類のケーキをいくつずつ買っても、ぜんぶキロあたりの値段で計算。まあ、もとをたどれば小麦粉と生クリームなので、原料としての価格は似たようなものなんでしょうが。

イランの量り売りケーキ
イランの量り売りケーキ

 あまりに肉料理が続いたので、最後はデザートを入れてみました。

 というわけで、世界のランチ、肉食編でした!

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