ところ変われば品変わる。世界のあちこちに住む朝⽇新聞の特派員が、同じテーマで写真を撮ってきました。毎年5月31日は世界禁煙デーで、日本ではこの日から6月6日までを禁煙週間としています。ということで、今回のテーマは「タバコのケース」。多くの国のタバコがケースにどぎつい画像を載せ、健康への害に警鐘を鳴らしています。そんな中でもとりわけグロテスクな画像を載せている国々をご紹介します。ただ、それぞれの国では普通に店頭で売られている商品。覚悟を決めて、読み進めてください。(朝⽇新聞国際報道部)
同じ「グロ画」並ぶタバコ店
案内役は東京・国際報道部の神田大介です。なお、日本のタバコには警告文が書かれているだけで、画像はありません。

まずは東南アジアのミャンマーから、染田屋竜太記者。

タバコ店に行ってずらりと並ぶがんの写真にひいてしまいました」

確かに、「ラッキーストライク」「ケント」「キャメル」「メビウス」など、日本でもおなじみのタバコ銘柄が並んでいますが、色合いが違うだけで画像はぜんぶ同じようです。
パッケージはぜんぶ真っ黒。何ともまがまがしい雰囲気を醸し出しています。

ちなみに文章は、『タバコを吸うと口腔がんになるおそれがある』と書かれています」
オーストラリアのタバコが1箱2500円だったのに比べると、ずいぶん安いですね。100分の1。
しかし、もはや原形をとどめていない男性の口元。タバコを吸うたびにこの画像を見るわけですか……。
続いてはパキスタンから乗京真知記者。

1箱140ルピー(約130円)ほど。紅茶1杯が30ルピーほどで飲める国なので、贅沢品の部類です。
パキスタンはイスラム教国で、5月中旬から始まる断食月の間は喫煙も禁忌となり、愛煙家にとっては空腹と睡眠不足と喫煙欲の三重苦となります。
タバコは街角のキヨスク的な売店でガムや飲み物と同じように売っています。役所では喫煙室をおいたり屋外に喫煙所を設置したりと、分煙が進んでいます」
すごく顔に寄っていることもあり、一見わかりにくいですが、黒いのは口ひげ。その下にある唇の端がひどく裂けているという画像です。ミャンマー同様、別銘柄のタバコに、同じ画像が載っているようですね。
店頭にも画像付き看板
次はインドから、奈良部健記者。

なお、喫煙は各自治体で規制していますが、あまり守られていません」

人間の首元なんでしょうが……。腫瘍とおぼしきものが膨れ上がっている様子は、未知の生命体に寄生されたかのよう。
よく見ると、売店にも「タバコは殺す」と書かれた画像付きの看板がぶら下がっていますね。
続いては中央アジア、カザフスタンから中川仁樹記者。


中川記者、どうやら夜間に撮影した模様。血走った目がこちらをにらむパッケージは、まるで悪夢のような不気味さを感じます。
次はデンマークから、下司佳代子記者。
血を吐く女性、真っ黒な肺



免税店は香水やブランド品、高級酒などを扱う華やかな場所。このパッケージはさぞかし周囲から浮いているのではないかと想像しますが、店員さんの言葉を聞く限り、たぶん人って慣れてしまうんでしょうね。
もはやホラー映画級
最後はブラジルから、岡田玄記者にお願いします。これまでに比べてもさらにきついので、腹をくくって下さい。


というわけで、飲食店は100%禁煙なので、おいしく食べられるだけでなく、服や髪の毛にもにおいがつかず、とても快適です」


……これはしんどい。ちょっと正視できませんね。パッケージを見て買うのを思いとどまる人も少なくなさそうです。
天井や屋根のあるところでは完全禁煙というのは、とてもわかりやすいですね。タバコの害を深刻にとらえているんでしょう。

次回は逆に、表現が控えめな国々をご紹介します。