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インタビューがまるでドラマのワンシーン 脚本家・足立紳夫妻の日常

家庭内では日々〝てんてこ舞い〟の奮闘が…

足立紳さん(左)、晃子さん夫妻
足立紳さん(左)、晃子さん夫妻

目次

脚本家として活躍する夫と、夫のために事務所を設立し社長を務める妻。一見、順風満帆に映る足立紳さん・晃子さん夫妻ですが、家庭内では日々〝てんてこ舞い〟の奮闘が続いています。

ABCテレビで7月より放送中のドラマ『こんばんは、朝山家です。』は、そんな足立家の日常をユーモアを交えながらリアルに描いています。モデルとなった足立夫妻にインタビューすると、まるでドラマのワンシーンのような絶妙な掛け合いを見せてくれました。

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<ドラマ『こんばんは、朝山家です。』>
映画『百円の恋』で日本アカデミー賞最優秀脚本賞を受賞し、連続テレビ小説『ブギウギ』(NHK)を手掛けた足立紳さんが、自身の連載日記『後ろ向きで進む』をベースに脚本を執筆。脚本家として活躍する夫の賢太(小澤征悦)、夫のために事務所を設立し社長を務める妻の朝子(中村アン)、高校1年の長女・蝶子(渡邉心結)と小学6年の長男・晴太(嶋田鉄太)の一家奮闘のホームドラマ。毎週日曜日22時15分からABCテレビ、テレビ朝日系で放送中。
 
ABCテレビドラマ『こんばんは、朝山家です。』の制作発表会見
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ドラマと重なったインタビュー

筆者「まず、おふたりの出会いや結婚に至るまでをお聞かせいただけますか」

晃子さん「私が大学生で、彼が助監督時代に撮影現場で出会って……」

紳さん「これ、ドラマにまんまそういうシーンがあります(笑)」

晃子さん「本当ですね、このシーンありましたね。まったく同じ(笑)」

6月下旬、都内の足立家で足立紳さん・晃子さん夫妻にインタビューを始めると、図らずもドラマ第1話目の冒頭と重なりました。ドラマはまさに夫妻のインタビューシーンから始まり、なれそめの話をしていきます。

ふたりが出会ったのは28年ほど前。映画の撮影現場でアルバイトしていた20歳の晃子さんから、4歳年上の紳さんに思いを告げて交際が始まったそうです。

その後同棲したものの、晃子さんは「足立があまりに『ヒモ』すぎて、お別れしようとずっと言っていた」と話します。

「でも、同棲していると別れるのが大変だったんです。別れる・別れない、新しい部屋を探す・探さないと言っているうちに、仕事も忙しいし、どんどん別れるエネルギーが枯渇していっちゃって。もういいか、こうなったら、けじめをつけて結婚しちゃうかって」

そう話す晃子さんのそばで、紳さんが「でも、本当に嫌だったら出ていくと思うんですよね」とひと言、突っ込みを入れます。

この間合いも雰囲気も、ドラマで見る「朝山夫妻」そのもの。インタビューはドラマの放送前に行いましたが、放送日にテレビの前で既視感に襲われました。

ドラマでは、夫・朝山賢太役の小澤征悦さんと妻・朝子役の中村アンさんが、息つく暇もないほどのテンポで会話を展開していきます。

中村さんにインタビューした際、「とにかく会話の量がすさまじい。特に、小澤さんとは間髪を入れずポンポンと会話が進むようにセリフを言わなければいけません。それもワンカットで」と話していたのが思い出されました。

朝子役の中村アンさん
朝子役の中村アンさん

「ヒモ」生活で書き続けた脚本

ふたりの結婚当時を振り返ると、紳さんは「結婚するにあたって、ちゃんと話をした記憶がもう全然ない」そうです。

「自由人」だった紳さんは、結婚に対して「たいしたものだとは考えていなかった」といいます。ただ、「雨風をしのぐため結婚するしかないと思った」とのこと。

会社勤めをする晃子さんが生活費を稼ぎ、そのかたわらで脚本を書き続けた紳さん。「ヒモ」生活だったことを公言していますが、引け目はなかったのでしょうか。尋ねると、こう話してくれました。

「『ヒモ』という言葉は、なにかいい言葉のように感じていました。言葉の響きもですけど、ふわふわして優しい印象があって、害もない。母親にも、『あなたは養ってもらう能力がある』といったようなことを言われていたので、悪い感覚もなかったんだと思います」

晃子さんも、「なかったかもしれないよね。悪気がないというか、人のお金であっても『おいしいものが食べたい! 寿司とか焼肉が食いたい!』とか平気で言っちゃうくらい卑屈ではなかった」と振り返ります。

しかし、徐々に仲間が活躍するようになると、紳さんはどんどん気持ちが塞ぎ込んでいったそうです。

「『ヒモ』と言いつつも脚本を書き続けていたので、僕自身もなんとかなりたいという思いはありました。周りに置いていかれて焦り、早く世に出なきゃと思っていました」

ABCテレビドラマ『こんばんは、朝山家です。』の制作発表会見に登壇した足立夫妻
ABCテレビドラマ『こんばんは、朝山家です。』の制作発表会見に登壇した足立夫妻

妻の期待が「プレッシャー」になりながらも

そばで応援し続けた晃子さんは、紳さんの才能を信じていました。

「世に出た人の脚本と足立の脚本を読んで、『そんなに違いがあるかな?』と思っていたんです。コンクールには落ちまくってはいたけれど、ひどい内容ではないし、むしろ面白かったから、この人はなにか出会いがあればいけるだろうなと思っていました」

「書き上がった初稿を読んで『面白いな』と思うからこそ、日頃のポンコツ具合が許せたし、根本にはリスペクトがあったので、今までなし崩し的に来た感じです」

晃子さんの思いが伝わっていた分、紳さんは「ものすごくプレッシャーでしたね」と苦笑いします。

その期待に応えられず、30代半ばを過ぎる頃にはすっかり自信をなくしていた紳さん。「晃子さんは脚本のことを知らないから、僕の脚本を面白いと言っているんだと思っていました」

その頃には長女も生まれていました。晃子さんは不規則な営業職から定時で帰れる内勤の仕事に転職し、家族を養いながら子育てをする日々。当時の記憶はほとんどないほど、毎日生きることに精いっぱいだったといいます。

紳さんは苦手な掃除以外の家事を担い、一時は「主夫として生きていこう」とさえ思ったそうです。しかしアルバイトもしながら、子どもを寝かしつけたあとはファミレスに向かい、脚本を書き続けました。

足立紳さん=2024年
足立紳さん=2024年 出典: 朝日新聞社

ドラマで描くリアルな家族模様

ついに日の目を見たのは、2014年に公開された映画『百円の恋』の脚本でした。

日本アカデミー賞最優秀脚本賞を受賞。すでに40歳を過ぎていましたが、脚本家として注目され、徐々に仕事が増えていったといいます。

2023年にはNHKの連続テレビ小説『ブギウギ』の脚本を担当し、忙しい日々を送りました。

今回のドラマ『こんばんは、朝山家です。』は足立夫妻の連載日記が原案で、足立家をモデルにしたホームドラマです。

ドラマでは、自分の名前をエゴサーチしまくる夫と、そんな夫に〝キレる〟妻が、思春期の長女と発達障がいのある長男の子育てや仕事に奮闘するというリアルな家族模様が描かれています。

協力プロデューサーとしてドラマのスタッフに名を連ねる晃子さんは、制作発表記者会見で「みんなわちゃわちゃしていて、一人ひとりのキャラクターがすごく濃くて魅力的。見応えがあって楽しめると思います」と語りました。

紳さんも、「大きな事件はまったくないんですが、生活がちゃんと描けているんじゃないかな。多くの人に見ていただけたらうれしいです」と話していました。

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