ところ変われば品変わる。世界のあちこちに住む朝⽇新聞の特派員が、「おやつ」をテーマに写真を撮ってきました。今回とりあげるのは、なんだか日本を思い起こさせる駄菓子たち。中東イランにあったのはどう見てもポン菓子、はたまた日本でこよなく愛されているあのスナック菓子をほうふつとさせるような……。一方、中国には「シエンペイ」という名前をした、お茶うけにぴったりの菓子が。新潟の企業と技術提携するその中身とは?(朝日新聞国際報道部)
ボールペンに詰めて撃たないで
案内役は東京・国際報道部の神田大介です。昔懐かしいポン菓子は、米粒に圧力と熱を加えてふくらませたもの。よく似た駄菓子がイランにありました。杉崎慎弥記者に伝えてもらいます。

昔からあり、子どもたちが空腹をいやしていたとか。映画館でもよく食べられるようで、仕事の合間にもお手軽につまめます」

現在もイランの庶民的なスーパーでは売られていますが、徐々にポテトチップやポップコーンに人気の座を奪われつつあるとのこと。値段は3万リアル(実勢レートで約40円)です」
日本でもポン菓子はスナック菓子に押されて姿を消しかけましたが、油も添加物も使わないことから自然食品としての見直しが進んでいます。きっとイランでも末永く愛されていくことでしょう。
イランなのに「インドの菓子」
さて、わたくし神田は前テヘラン支局長でして、イランには3年7カ月住みました。実はスナック菓子大国なんじゃないかという印象を持っています。「マズマズ」という地元メーカーがポテトチップなどをつくっているほか、人気が高かったのが「ポファック」。

フカッ、フカッとした食感といい、甘じょっぱい味の色の付いた粉がふってあるところといい、「うまい棒」そっくりでした。
サイズはだいぶ小さく、指が一回り大きくなったくらい。袋詰めにして売られています。

ほかにも、「エステケ・ヘンディ」と呼ばれるスナック菓子をあちこちで見かけました。直訳すると「インドのスナック菓子」という意味なんですが、なぜインドなのかはよくわかりません。
むしろ、われわれ日本人の目からすると、「サッポロポテト」プラス「ピッカラ」といった感じですね。
なおイランはピスタチオ、アーモンドなどナッツ類も豊富なんですが、残念なことに法律で飲酒が禁じられています。スナック菓子もナッツも、ビールのつまみにぴったりなんですけどね……。
「上海のミルキー」
続いては中国・上海より、古くから親しまれているキャンディです。宮嶋加菜子記者。

白いウサギが描かれた紙の中には、ミルク味の柔らかいキャンディーが包まれています。
ちょっとレトロな包装紙、キャンディーの風味……まさに『上海のミルキー』です」

家族が集まる旧正月(春節)には、大袋の大白兔を買ってきて、おじいちゃんも孫も一緒に味わうんだそうです」
店内の感じからすると、量り売りなんでしょう。こういう売り方も日本ではすっかり見かけなくなりました。そういえばかつては、青果店なんかでは店頭に小銭を入れたざるをぶら下げてあって、おつりは手渡しされていましたねえ。ふいに思い出しましたが、あれいま考えると、税務的にはどうなってたんでしょうか。
中国のおやつと言えばタネ
さて、同じく中国で、こんどは首都の北京から冨名腰隆記者。

台湾を母体に中国大陸にも展開する『旺旺集団(ワンワングループ)』は新潟県の岩塚製菓と技術提携する会社で、代表的なのは『仙貝』というお菓子。発音は『シエンペイ』。そう、せんべいから来ています。
このお菓子、岩塚の『味しらべ』やライバル会社の『ハッピー○ーン』によく似ています」


安徽省の「洽洽(チアチア)食品」というメーカーが有名で、スーパー・コンビニでよく目にします。味付けも五香、菊花、山椒など様々です。外の殻を歯で割って、中の柔らかい部分を食べます」

人気レストランが満席で外で待っている時など、かなりの確率で種が出てきます。みんな時間つぶしとばかりに、かじって、しゃべって順番を待ちます」
ひまわりの種はスペインの人も大好きで、よく食べているのをみました。
問題は、種のカラ。たいていはポイポイと放り投げながら食べるので、床が汚くなるんですよね。あまり日本ではやらない理由はそのへんでしょうか。
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