世界のあちこちに住み、出張取材も多い朝⽇新聞の特派員が、おすすめの旅行先を写真でご紹介します。今回はオーストリアのグラーツという街から。日本での知名度はいま一つかもしれませんが、時計塔を中心にヨーロッパならではの美しい街並みが広がっています。観光客の数も比較的少なく、静かです。ただ、記者の記憶にこの街が刻み込まれているのは、他にも理由がありました。(朝日新聞国際報道部)
オーストリア第2の都市
今回はオーストリアから、神谷毅記者。


ウィーンから列車で2時間と便利なところにありますが、世界中から観光客が大挙して押し寄せるところではないようで、私が訪れた時、アジアからの観光客にはほとんど会いませんでした」

城山の頂上に立つ時計塔



時計塔への道のり



グラーツのもう一つの別名が『セピア色の街』だということに、うなずきました」


グラーツで会った人とは…
グラーツはプライベートで訪れたのではなく、出張でした。『仕事なのに、よくそんな時間があったねえ』と言われそうですが、ここで会う予定だった取材相手から直前に連絡が途絶えてしまい、心配になって滞在にゆとりを持たせたためです」

数々のクラブチームを強豪に育て上げ、2006年に日本代表監督に就任。その後、脳梗塞に倒れ、2007年末に惜しまれながら監督を退いた方です」
今年のサッカーW杯ロシア大会の決勝戦でフランスと戦ったクロアチアは、ご存じですよね? クロアチアは、かつてユーゴスラビアという国の一部でした。ユーゴスラビアは、このクロアチアを含む六つの共和国で構成されていましたが、民族が異なるため互いに仲が悪く、差別もあったといいます。
オシムさんは1986年から1992年にかけて、ユーゴスラビア代表の監督を務めました。彼は『最後』の監督でした。民族の対立から紛争が起き、ユーゴスラビアという国がなくなってしまったからです」

『今の時代、どこの国の代表チームでも、外国生まれや、外国にルーツを持つ選手たちがプレーしている。
彼らはチームの仲間と様々な問題について話をし、友になる。これはサッカーにとって大きな進歩だ。民族や人種で分ける必要はない。ベストな選手がプレーする。それだけだ』」

『私が教え子たちのことを話すのは、なくなってしまったユーゴスラビアという国への郷愁なのかもしれない。だが、郷愁は危険だ。郷愁にすがる者に進歩はない。サッカーは常に前進していくものだ。今日のサッカーより、明日のサッカーは向上している。あなたの仕事だってそうだろう? そして人生も同じだ』」

私が受け止めたのは、国家とスポーツというテーマの重さ、青春時代の思い出、自分の生き方を振り返ること、でした。
記者になって20年以上になりますが、これほど充実したインタビューには、そうそう出会えるものではありません」
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