連載
#11 役所をやさしく
「年金手帳、僕は捨てた」外国人が悩む日本語の沼 #役所をやさしく
外国人職員も盲点だった突っ込み
小難しい「お役所言葉」で書かれた役所の文書を、誰にとっても分かりやすい「やさしい日本語」に変えようとしている神戸市。試しに年金や国民保険の手続きについて説明した文書を見直して、本当にわかりやすくなったのか検証してみました。
市内の日本語学校や専門学校、日本語教室を回ったやさしい日本語推進チームのメンバー。
ところが、文書を熟読した日本語初級者がつぶやいたのは「それで、どうやって保険証をもらうの?」。全く伝わらなかった理由について、チームのベトナム人職員、ダンさんが「日本語初級者」の視点で考えました。
【前回までのあらすじ】
ついに完成したやさしい日本語の資料。役所からの通知が読めず、無視していたら「真っ赤な紙(督促状)が届いて焦った」という経験があるインドネシア人留学生には、「これならパッと見て、『なんとかこの通知を読んでみよう』と思えます!」と絶賛してもらえましたが……。
「本来の用語はいつ覚えるの?」
「誰が、何をするの?」
「結局、どうすればいいの?」
訪問した学校の関係者や学生からもらったのは、予想外のコメントの数々でした。
自分は間違いなく「外国人」なのに、「外国人」ではなくなっていたなぁ。まだ日本語をうまく話せなかった初級のころの苦労を忘れていました……。
〈多文化共生専門員 ダンさん〉
ベトナム人。来日9年目。神戸市役所 市長室 国際部 国際課 多文化共生専門員。神戸市ベトナム語版Facebookの開設・運営など、外国人の視点から神戸市の多文化共生関連事業に携わる。プロジェクトでは、自分の経験に基づき、外国人に求められる情報ややさしい日本語について監修。
ダンさんのコラムは、神戸市ベトナム語版Facebookで読むことができます。
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