連載
#2 キャラクターの世界
逆詐欺映画?「すみっコぐらし」がトレンド ゆるめキャラに一体何が
後ろ向きな登場キャラが活躍?する劇場版アニメ「映画 すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ」が8日に全国で公開され、人気を呼んでいます。逆詐欺映画」とまで言われる人気をどのように受け止めているのか、作者のよこみぞゆりさんや配給会社に取材しました。
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#2 キャラクターの世界
後ろ向きな登場キャラが活躍?する劇場版アニメ「映画 すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ」が8日に全国で公開され、人気を呼んでいます。逆詐欺映画」とまで言われる人気をどのように受け止めているのか、作者のよこみぞゆりさんや配給会社に取材しました。
8日から全国公開した「映画 すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ」。後ろ向きなキャラばかりが登場するサンエックスの人気シリーズの映画化ですが、「ポケモン」のようにバトルがあるわけでも、「名探偵コナン」のように推理があるわけでもありません。それでも、SNSでは「逆詐欺映画」などと高評価が相次ぎ、ツイッターで「すみっコぐらし」がトレンド入り。配給会社は上映劇場拡大の検討に入りました。反響をどう受け止めているのか、作者のよこみぞゆりさんに聞きました。(朝日新聞デジタル編集部・影山遼)
主要なキャラには(全員がすみっこにいるので、主要という表現が正しいのか分かりませんが)、自分が本物のペンギンなのか自信がない黄緑色の存在「ぺんぎん?」、北から逃げてきた寒がりの人見知り「しろくま」、脂っこいから残されたトンカツの端っこ「とんかつ」、体形を気にする「ねこ」や捕まらないようとかげのふりをしている「とかげ」がいます。
すみっコぐらしは、「日本キャラクター大賞2019」など数々の人気ランキング入りを果たしていますが、今回は割愛します。
よこみぞさんは、東京にあるサンエックスのデザイナーです。すみっコの作者らしく、顔を出すのも、本名の漢字を出すのも苦手です。記者が、ぺんぎん?のぬいぐるみを愛用してきた関係で、今回の映画が話題になるよりも前に、よこみぞさんにインタビューしていました。
8日に映画が公開されると、SNSでは感想とともに「すみっコぐらし」のワードがトレンドに。子ども向けの平和な映画かと思ったらとんでもなかったというようなニュアンスから「逆詐欺映画」というワードも話題になりました。
映画の打ち合わせの段階から関わっていたよこみぞさんは「線・動き・音楽・背景・効果音・ストーリーなど、それぞれのプロの力がひとつになった時にこんな素敵な映像が出来上がるんだなぁと、感激しました」と、初めて映画をみた時を振り返ります。
公開直後からSNSで反響があったことについては「みなさんが広めようと素敵な感想をたくさん書いてくださり、おかげでこんなに話題になっていることが本当にありがたいです。チーム一同、感想を読み漁って感激しています。映画作りは未知で大変な道のりでしたが、みなさんの感想がなによりのご褒美です」。
一方、「逆詐欺映画」という見方については、期待を込めて、こう話します。
「まだすみっコぐらしのことをあまり知らない方は、ただの可愛いだけの子供向けキャラだという印象を持っている方が多いのかもしれないと感じました。この映画をきっかけに、『ただ可愛いだけではない』ことを大事にしているすみっコぐらしを、もっと知ってもらえればと思います」
【すみっコぐらしのなかまたち紹介】
— すみっコぐらし【公式】 (@sumikko_335) 2019年11月11日
逆詐欺映画…?🤔
すみっコぐらしのこと、詳しく知らないけど
ちょっと気になるかも・・・
そんなみなさんにぜひ広めてもらえたら嬉しいです🌸
こんなすみっコたちが活躍する #映画すみっコぐらし 絶賛公開中です🎬✨ pic.twitter.com/2QhRX43UvS
配給会社のアスミック・エースによると、映画は11月8〜10日の3日間で、全国で動員数11万4280人、興行収入は1億3287万3500円を記録しました。完売で満員となる回も続出し、幸先良いスタートとなりました。また、Yahoo!映画では、11日付の「先週公開作品の評価ランキング」で1位を獲得しています。アスミック・エースの担当者は「盛り上がりを受けて、上映劇場を拡大すべく調整を始めております」と話しました。
映画のあらすじは「ある日すみっコたちは、お気に入りのお店『喫茶すみっコ』の地下室で、古くなった一冊の飛び出す絵本を見つける。絵本を眺めていると、突然仕掛けが動き出し、絵本に吸い込まれてしまうすみっコたち。絵本の世界で出会ったのは、どこから来たのか、自分が誰なのかも分からない、ひとりぼっちのひよこ?。『このコのおうちを探そう!』と新しい仲間のために、すみっコたちは一肌脱ぐことに。絵本の世界を巡る旅の、はじまりはじまり」というもの。
文字だけで読んでいると平和な話だなという感じがします。新キャラとして登場するひよこ?に共感したぺんぎん?などを中心(とは言っても全員が平等にすみっこにいますが)に物語は進んでいきます。
監督は「アイドルマスター」のまんきゅうさんが務めました。ナレーションはV6の井ノ原快彦さんと本上まなみさん、主題歌は原田知世さんという優しい布陣です。井ノ原さんは「ほんわかした気持ちになったり、時にはほろっとするような場面もあったり。家族そろってみて、感想を言い合えるような作品になっていると思います」とコメントを寄せています。
映画すみっこぐらしのこの勢いはいったいなんなんだ…?? pic.twitter.com/mjtSS7scJW
— タロイモ♪🎬 (@eigarankingnews) November 10, 2019
スクリーンデビュー作ということで、キャラたちが話し始めたらどうしようと見る前は危惧していましたが、実際に鑑賞してみると、全て杞憂に終わりました。よこみぞさんは「キャラクターに声をつけたくないという難題も工夫を凝らして乗り越えて、原作をそのまま映像化したいという希望を叶えていただき感謝の気持ちでいっぱいです」と話します。
正直、5年ほどぺんぎん?を追いかけてきた記者からすると、逆詐欺映画というよりは順当に笑って泣けるという映画でした。取材が縁で公開前に試写を見ていたのですが、まさか見せて貰った会議室で一人、27歳の男が泣くことになるとまでは思いませんでしたが…。
ハリウッド映画のような大冒険も(キャラたちにとっては大冒険かもしれませんが)、頭脳を駆使した駆け引きがあるわけでもありません。かわいさの押しつけもありません。ひよこ?とぺんぎん?という似た境遇の2人が協力し合う様子をほほえましく、かつ頼もしく思って見守っていました。終盤のシーンでは、すみっコにいても強く楽しく時には助け合って生きるキャラたちがいるのだということを改めて認識し、目立ちたがりの人が多い業界で神経をすり減らしていた中、元気が出ました。
キャラの魅力も存分に楽しめます。よこみぞさんは「すみっコぐらしは登場した7年前から変わらず、子供のためだけに向けたキャラクターではありません。老若男女問わずいろんな人の『すみっこにいたいような気持ち』に寄り添えるキャラクターでありたいという思いがあります。すみっコぐらしが好きな方はもちろん、知らない方が見ても問題ないストーリーになっていますので、たくさんの方の心になにかを残せたらうれしいです」と話してくれました。
なんで大の大人がこんなにも騒いでるのかとすみっこぐらし知らない人は思うけど
— はらこー (@paupau052) November 9, 2019
綺麗な薔薇にもトゲがあるように
かわいい外見もあるけど見た目だけじゃない映画
クライマックスからエンドロールが終わるまでずっと号泣してるとは思わなかった
本当に見てほしい映画#映画すみっコぐらしおひろめ隊 pic.twitter.com/JZoAm9Kffn
特別上映イベントも多数あり、11月13日にある「ぼくらもすみっコ応援団!上映会」では上映後に、映画の脚本家・角田貴志さんとこの記事の筆者・影山遼が魅力について語り合います。新宿ピカデリーシアター5(東京都新宿区)で、午後7時40分からの開催です。
席はもちろんすみっこから埋まっていきましたが、11月11日夜現在、売り切れたようです。当日の模様はwithnewsのtwitterアカウントで発信し、後日記事にもする予定です。
他にも、11月15~21日に「家族であんしん上映会」が全国各地のイオンシネマで開かれます。また、「“すみっコたち、かわいい”って言い放題 応援上映会」も11月22日に、新宿ピカデリーであります。
映画すみっこぐらしの感想とそれをみた俺
— 自作ゴミ箱@広範囲にわか雨@庭亀 (@handmadedustbin) November 10, 2019
「大人も見たほうがいい」←ほー
「初めて映画で泣いた」←へー
「アンパンマンを見に行ったら攻殻機動隊だった」←!?
「奈須きのこ」←!?
いったいどんな映画なんだろう・・・?
脚本:角田貴志(ヨーロッパ企画)←!?
えっヨーロッパ企画!?
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