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2019年04月16日

教室に障害児が……親の「本音」は 当事者じゃないとわからない?


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「当事者にならない限り知ろうしない」。障害児の就学をめぐる溝とは……※画像はイメージです

「当事者にならない限り知ろうしない」。障害児の就学をめぐる溝とは……※画像はイメージです

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 障害児の就学には、様々な意見があります。特に、通常学級で障害の有無にかかわらず一緒に学ぶことについては、ネット上で否定的な声が目立つこともあり、健常児と障害児の教育を巡る考え方の溝は深いようです。「当事者にならない限り知ろうしない」という健常児の親たちの現実的な空気感、「こんなやりがいのある育児はない」と考える障害児の親の声も。「インクルーシブ教育」への向き合い方について、今回取材した人たちから改めて寄せられた意見から読み解いていきます。

「積極的にインクルーシブ知ろうと考える保護者少ない」

 「『地域に認められるまで10年』 障害児の就学で感じた『親の責任』」では、通常学級で障害児が一緒に学ぶ環境を取り上げました。

 記事で取り上げた「グレーゾーン」と思われる同級生の子どもとのトラブルに悩む東京都の主婦(47)からは、こんな意見が届きました。

 「今回の取材をきっかけに色々な立場の話を知ることができたことは、私にとって、とても有意義でありました。ただ、当事者(経験者)にならない限り、積極的にインクルーシブ教育を知ろうと考える保護者は少ないのではないでしょうか?」

 そして、こう疑問を投げかけます。

 「建前上、『多様性を認めよう!』『お互いを認め合おう』と言っても実際には誰か(学校、教師、教育委員会)がやってくれればいいと思うのが現状(保護者)なのかと思います。それはママ友と話していて感じたことであり、自分の過去を振り返って思い当たったことです」

 障害児の就学には、地域よって受け入れ体制に違いがあるのが現実です。障害も個人で違います。約40人の当事者に取材をして知ってほしかったのは、障害を持つ親が学校選びにおいて抱える様々な悩みです。それを理解しなければ、障害がない子どもの親と障害がある子どもの親、教師らが議論しても限界があると感じたからです。

 メールの後半、主婦は「それでも、何もしないままで良いとは思っていません。障害を持ち悩む子どもたちが、その障害に合った教育の場(方法)が増えればいいと思います」とつづっていました。溝を埋めようという気持ちがないわけではありません。

障害児の就学には、地域よって受け入れ体制に違いがあるのが現実

障害児の就学には、地域よって受け入れ体制に違いがあるのが現実

出典:https://pixta.jp/

「療育受けるにも何カ月も待つ」

 「転勤で知った障害児教育の『地域差』 ママは共働きではだめですか?」では、引っ越しで直面した地域による特別支援教育の差を取り上げました。

 そこで取り上げた、今春、千葉県から大阪府に家族で転居した主婦(45)からは、就学前に通う療育施設や児童発達支援施設などに関する課題が寄せられました。

 「療育を受けるのも、何カ月も待つという話は、私も聞いたことがあります。幸い、うちの場合は、今までは、良い先生方に出会えて、たくさん受けることができましたが、こちらでも、早く見つけられるといいのですが……」

 転勤すると、一から探さないといけないという苦労があります。「良い」かどうかの判断は、結局、「児童発達支援教室もたくさんできていますが、教室によって様々なようで、やはり足を運んで、自分で見てみなくてはいけないなと思います」とアドバイスします。

 就学前の課題は、障害があったり、発達の遅れがあると健診やで言われたりした親子にとっては、切実な問題です。同時に、十分な情報が行き渡っていません。

障害児の就学は、転勤すると、一から探さないといけないという苦労も ※画像はイメージです

障害児の就学は、転勤すると、一から探さないといけないという苦労も ※画像はイメージです

出典:https://pixta.jp/

「聴覚障害は少なく見えにくく理解されないこと多い」

 「朝の会、テスト『みんなと同じに』テクノロジーで障害がなくなる未来」では、聴覚障害の子どもを取り上げました。

 記事で紹介した埼玉県の難聴の子どもの母親(41)は、「『障害児を地域で育てる』という言葉に、とても共感できます。そうなってくださると障害者も住みやすい世の中になると感じました」と話します。

 裏を返せば、まだまだ、暮らしにくい、生きづらい世の中でもあるということです。この母親が気になるのは、「いろいろな障害がありますが、聴覚障害は数的に少ないことと、見えにくいために理解されないことが多いです」と言います。

 浮かび上がるのは、障害の多様さと、他の障害に比べて当事者が相対的に少ない場合の難しさです。

 「今回のように知っていただく機会を増やし、理解してもらう努力が親にも必要だと思いました。助けを求めれば、助けてくださる方もいらっしゃると思います。周りの方々に理解していただき、中学校では『情報保障』を利用できるような活動を続けていきたいと思います」

 テクノロジーで、障害を乗り越えるツールは、少しずつ世の中で出てきています。研究費や補助金、助成金頼みという側面が強いですが、利用できる地域を少しでも広げていくことは難しいことなのでしょうか。

聴覚障害は「数的に少ないことと、見えにくいために理解されないことが多い」という ※画像はイメージです

聴覚障害は「数的に少ないことと、見えにくいために理解されないことが多い」という ※画像はイメージです

出典:https://pixta.jp/

「興味、関心高いとうれしい」

 「『明日は学校ある?』長女の笑顔 障害児を地域で育てるということ」で紹介した大阪府の阪井幸恵さん(38)の長男(6)は、無事、きょうだいが通う地域の小学校の特別支援学級に入学しました。

 「他の家族の体験談も非常に関心がありました。今悩んでいるご家族が来年笑顔でこの時期を迎えられるためにとても参考になります」と応援をしてくれています。

 記事で紹介した熊本県の魚谷未季さん(39)の長男(6)も、新1年生です。配信されたYahooの記事のコメント欄には、1000件を超えるコメントが書き込まれました。

 特に、インクルーシブ教育については厳しい意見が目立ちましたが、「みなさんの興味、関心が高いことに、当事者として大変うれしく思いました」という感想を送ってくれました。

「障害隠さず、堂々と生きていきます」

 記事で取り上げた家族は、新生活に向けて歩みを進めています。

 「『ぼっちで不幸』わが子は言った 障害が生み出したクラスとの『溝』」の記事では、軽度の知的障害があるものの通常学級で学んできた自分の子どもに、「ぼっちは慣れないよ」と言われた母親(47)の声を紹介しました。

 母親からは後日、こんなメールが届きました。

 「子どもの障害を隠さず、堂々と生きていこうと思っています。こんなやりがいのある育児はないなぁ、と思うようになってきました」

障害のある子を持つ親からは「こんなやりがいのある育児はないなぁ、と思うようになってきました」との声も ※画像はイメージです

障害のある子を持つ親からは「こんなやりがいのある育児はないなぁ、と思うようになってきました」との声も ※画像はイメージです

出典:https://pixta.jp/

「『普通』の基準ってなに?」

 「『手かからぬ子いない』障害児受け入れ、学校トップに必要な『覚悟』」では、愛知県で放課後子ども教室の指導員をしている青田真紀さん(53)を取り上げました。

 青田さんは、「『共に学ぶ』というフレーズは身近にあり、当たり前と思っています。当たり前故に『特別』ではないと認識しています」と言います。

 その上で、青田さんは「『普通』の基準は何なのでしょうか」と問いかけます。

 自身の問いについて青田さんは、「できる人ができることを。助けてあげたいことが、助けてもらっている」と考えています。

 「人とのかかわり。様々な人と生活する場として小学校もしくは幼稚園、保育園のうちから、経験を重ねていくことが一番大事だと思います。『特別』ではなく、いろいろな人が居て『当たり前』。『寛容』ができる社会を教育の中から、自然に身につけられればいいと思います」

「いよいよ5月に就学相談スタート」

 「障害児の学校選びには『就学ノート』がオススメ! 『交流』にも差」では、就学について悩む家族を取り上げました。

 東京都の自営業の女性(44)の長男(5)は、1年後の就学に向けて学校選びが始まります。

 「就学相談をいよいよ5月に開始します。それまでに、『就学ノート』をしっかり作り、家族で気持ちを一つにして本人に一番適した学校を探したいと思います!」

 障害児の就学について書いた記事には、障害がある子どもの親、特別支援教育にかかわる人、学校のクラスで障害がある子どもと一緒に過ごしたことがある人などから、メールやファクス、手紙で100通以上の感想や意見、体験談が届きました。

 来年は東京オリンピック・パラリンピックです。インクルーシブな社会への第一歩となるように、社会も変わっていくことが望まれます。

インクルーシブな社会に必要なものとは? ※画像はイメージです

インクルーシブな社会に必要なものとは? ※画像はイメージです

出典:https://pixta.jp/

あなたの意見、聞かせてください

 皆さんの経験談や提案、意見をお聞かせください。一部は、朝日新聞「声」欄やwithnewsでご紹介することがあります。

 投稿はメール、FAX、手紙で500字以内。匿名は不可とします。住所、氏名、年齢、性別、職業、電話番号を明記してください。

〒104・8661
東京・晴海郵便局私書箱300号
「声・障害児の就学・就労」係
メール:koe@asahi.com
FAX:0570・013579/03・3248・0355

【岩崎賢一記者による多様性を考える関連記事一覧】
インクルーシブ、ダイバーシティー……。多様性を認め合う社会を様々な側面から光を当て、考えています。障害を持つ子どもがいる家族が抱えるインクルーシブ教育以外の世界も知っていただければと思います。

◆障がいって言うけれど…若い世代の叫び
人はみな少しずつ違う。だからこそ個性が生まれる。障がいを抱えるきょうだいや子どもを持つ若い世代の本音はどこに?

◆映画「いろとりどりの親子」からのメッセージ
愛があるから世話をするだけでなく、世話をするからこそ愛するようになる。ドキュメンタリー映画は2019年3月から「自主上映」への素材提供が始まりました。いろとりどりの親子(自主上映案内)

◆多様性を認め合う アメラジアンスクール@沖縄
居場所のない子が集まってきたフリースクールから、共生社会への日本の課題を考える。

◆多様性を認め合う 5宗教共存の幼稚園@つくば
宗教的背景が違う人々との共存を、外国人が多く暮らすつくば市の幼稚園を舞台に考えた。

◆多様性を認め合う 定住したインドシナ難民たち
日本社会にすでに定住した人々は新たに来日する外国人をどう見ているのか。

23歳124センチ「低いことは強み」舞台で輝く「小人症」ダンサー
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「小人症」のちびもえこさん
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出典:瀬戸口翼撮影
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