連載
#5 ポスド苦日記
あいつの戦闘力は? ポスドクが気になる…研究者の「見える」業績
研究者には「好きなことを気ままに研究している」イメージがありますが、研究業界は超成果主義・過当競争の世界です。博士研究員というポジションで、教授や助教ほど「偉くない」研究者、ポスドクの運命を左右するのが論文の影響度です。

研究者は気ままな仕事?
研究者と言えば、「気ままに好きな研究に打ち込んでいる」というイメージがあるようです。古き良き時代の研究者か、映画など創作の中の研究者から来ているイメージでしょうか。
そんな期待に応えてか、研究者自身が自らをステレオタイプな研究者像に当てはめていることもあるかもしれません。

「仕事明けに塩を舐めながら呑むストロング・ゼロが原動力」なんて言ったら夢が壊れますからね。
ポスドクの日常・教授の日常
年に数回、論文を出版し、学会で成果発表できるように研究をコントロールしていれば、割と自由な時間をつくることができます(※)。
※業界・雇用契約に依ります。
平日の昼間にふらっと出かけて買い物したり、休日より空いているディズニーランドを楽しんだりする時には、この仕事の恩恵を感じます。

大学教授ともなると毎日何かしらの会議や研究以外の仕事があるので、とても平日ディズニーとはいかないようです。
中には忙しい状況を嘆き、「ポスドク時代に戻りたい」などと冗談を言う教授もいらっしゃいます。そんな言葉を聞かされる、ポスドクたちの胸中は正直穏やかではないですが…。
研究業界は過当競争の世界

論文誌の影響度はインパクト・ファクター(IF)と呼ばれる数字で表されます。
IFがトップクラスの論文誌はかの有名なNatureやScienceなどで、その数字は40前後です。一方、知名度の低い論文誌にはIFが1を切るものもあります。
掲載誌のIFがその論文の価値を決めるわけではもちろんないのですが、重要度を測る客観的な指標として使われることは多いです。
研究者の「戦闘力」?
論文数は少ない一方、IFの高い論文誌に論文を出版している一撃必殺タイプや、IFの低めな論文誌でたくさん論文を出版している小技タイプなど、研究者の個性(?)が垣間見えます。
ポスドクたちの研究職公募競争においては、他のめぼしい候補者の“戦闘力”をついついチェックしては一喜一憂してしまいます。

つら楽しい日々の先に
ポスドクは任期の期限があり、将来のことを考えると早く助教以上の「偉い」研究者になりたいのですが、偉くなればそれだけ研究以外の様々な仕事が増えていくようです。
もしかするとポスドクは、研究者のキャリアパスの中で、好きな研究に多くの時間を割ける、恵まれた時期と言えるかもしれません。
早く偉くなりたい気持ちは変わりませんが、現状を愚痴るばかりでこの貴重な時間を過ごすのはもったいないことです。
これからもそれなりにつら楽しくやっていきたいと、そう思う今日この頃です。
またどこかで、できれば次はキョージュえもん日記でお会いしましょう。