第1回:ポスドクはつらいよ 結婚式で親族ドン引き「え…無職なの?」
第2回:ポスドクの全然かっこよくない「極貧」海外研究 将来のため…箔づけ(今回)
第3回:ポスドク悩ます「文章術」フォントは明朝体?研究費のため…四苦八苦
海外で働く研究者ってカッコいい?
研究者は、「変人」「オタクっぽい」というイメージで語られることがよくあります。
私自身、「ポス・ドクえもん君は研究者だけあって、変わり者だねえ。」と言われた経験が何度もあります。
皆さんも、勉強はできるけど大人しい眼鏡のクラスメイトに「博士」というあだ名がついていたことはないでしょうか? (余談ですが、私の高校の頃ついたあだ名はアニメ「キテレツ大百科」の「勉三さん」でした。)
一方で、「“海外で”活躍する研究者」と聞くとどうでしょう?
途端にカッコイイメージが湧きませんか? NASAやMIT、ハーバード大など海外の研究機関で働き、国際学会で流暢な英語で講演をする――文句なしにカッコイイですよね。

個人的な見解ですが、同じ日本人でも、海外で働いている研究者はツイッターのフォロワーが多い気がします。じつに興味深いだス(山形弁)。
海外経験があると“就職”に有利?
できるポスドクの日課として、日本の大学・研究所の研究職公募を日々チェックしていますが、「海外留学・ポスドク経験」や「海外の研究者との共同研究」を応募条件としているものを見たことがあります。
現在、日本の研究機関で任期の期限のない”偉い”(※「ポスドク苦日記」第1回参照)研究者の方々にも、かつて海外でポスドクとして経験を積んできた方がたくさんいます。

当時、私は英語が壊滅的に苦手だったので、いっそのこと海外に飛び出し、厳しい環境に身をおいて鍛えようと思ったわけです。それに、海外研究機関で研究をして帰ってくれば箔がつき、大学院修了後の就職もさぞ有利に違いない、という、こすい考えもありました。割合としては2:8くらいで。
日本と海外で違う研究者の姿
日本の研究者は何より研究第一、毎日夜遅くまで働き、休日も研究室に現れる人が多いです。
ドイツにもそんな研究者はいましたが、それ以上に、9時~17時で仕事を切り上げ、休日は家族や恋人と過ごし、友人とパーティーを楽しむ、いわゆる「リア充」たちが多いことに驚きました。
平日はヨーロッパの研究者が多数を占める研究所でも、休日出勤してみるとそこにいるのは私を含めアジア出身者ばかりと、国による研究スタイルの違いを垣間見ることができておもしろかったです。
ところが実際にそんなところに身を置いてみると、私はその空気がどうも肌に合わず、変人・オタクでいられた日本の研究業界を恋しく感じていました。
海外出張の経費も、シャワーの温度も「控えめ」
ポスドクとは言え、出張を含めた研究に関わることは通常、個人裁量で決めます。
一方で、まだ「偉くない」ポスドクなので、研究費が潤沢にあるわけではありません。研究費として国や企業などからいただく予算の中から、費用を捻出します。
そこで、いかに出張経費を安く抑えるかに毎回頭を悩ませています。

シャワーのお湯が出ず、冷水を浴びるべきか逡巡している様は、想像していたカッコいい研究者の姿とは少し違います。

カッコよくない?ポスドクの日々
とは言え、任期が切れた後の職探しに悪戦苦闘し、研究資金繰りに四苦八苦する、そんな泥臭い姿もまた、カッコいいのではないでしょうか?いや、カッコいいはず。きっと。
それでは、冷水のシャワーを浴びて明日に備えようと思います。
次回のコラム「ポスド苦日記」では、研究資金獲得を目指す戦いのお話をお送りします。またお会いしましょう。
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「ポスド苦日記」は基本的に毎週月曜日に更新していきます。
