「まだ偉くない」研究者
ポスドクとは「博士号を持っていながら任期制の研究職についている人たち、もしくは職そのもののこと」です。平たく言うと、「まだ偉くない駆け出しの研究者たち」のことです。
若手研究者の多くがこのポスドクとして経験を積み、偉い研究者…大学の教育職や国立の研究所の研究職を目指しています。
私もその一人。大学に9年間通って博士号を取得、数年前から理系の研究所でポスドクとして働いています。

実際にあった本当に怖い検索ワード
そう、ポスドクはなかなか大変なのです。

ポスドクのキャリアパスって?
通常の企業勤めと違い、ポスドクたちはいかに一生懸命働いて、焦げ付いた融資を見事回収して、倍返しだ!しても、その職場で昇進して教授や主任研究員になれるわけではありません。
偉い研究職に就くためには、どこかの大学や研究所の研究職公募に履歴書や研究業績書を揃えて応募する必要があります。
公募の情報は専用のウェブサイトや学会のメーリングリストで共有され、ポスドクたちはこれをチェックすることが日課となっています。

ポスドクの任期は長くても3年程度のため、任期が終わる前によりよい職を勝ち取るべく、ポスドクたちはキャッキャウフフしながらも切磋琢磨しているわけです。

「任期の期限のない研究職に就く」=「就職」

結婚式には、妻と私の親族・古くからの友人・職場の上司などが勢揃いで出席してくれていました。
緊張の挙式をロボットのような挙動でなんとか終え、空気が和らぎつつあった披露宴の場でその悲劇は起こりました。
結婚式で起こった悲劇
披露宴における挨拶の例に漏れず、教授は新郎である私の人となりについてヨイショを交えながら軽妙に話してくださいました。
私の将来は安泰だということを伝えようして、「彼は必ず就職できる!」と言ってしまったのです。
研究者仲間には「彼は将来教授職に就くだろう!」を意味する温かい言葉ですが、他の来賓には「彼はいま無職です!」と聞こえたことでしょう。

そして教授にはもちろん悪気などありません。ただ、その後の披露宴の間、反応を見るのが怖くて妻の親族席のほうはあまり見ることができなかったのを覚えています。

それなりに「つら楽しい」ポスドク生活
ポスドクたちはこの両者を併せ持った日々をそれなりにつら楽しく生きています。
次回のコラム「ポスド苦日記」は、出世を目指して海外にはばたくポスドクのお話です(私がその時までにまだ”就職”していなかったら、ですが)。
◇
「ポスド苦日記」は基本的に毎週月曜日に更新していきます。
第1回:ポスドクはつらいよ 結婚式で親族ドン引き「え…無職なの?」
第2回:ポスドクの全然かっこよくない「極貧」海外研究 将来のため…箔づけ
第3回:ポスドク悩ます「文章術」フォントは明朝体?研究費のため…四苦八苦
