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「都こんぶ」実は包装変わってました 30年以上ぶりの刷新、なぜ?

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「魔法の白い粉」 をまぶした旨すっぱい酢こんぶ。中野物産(大阪府堺市)の「都こんぶ」は、発売94年を迎えたロングセラー商品です。今年6月、30年以上ぶりに包装方法を大幅に変えたそうです。狙いについて中野物産の担当者に取材しました。
実は内部包装、変わりました――。
都こんぶの公式アカウントが、SNSでユーザーの投稿を引用するかたちでそんなお知らせをしていました。
1931年の発売以来、駄菓子屋や駅の売店で親しまれてきた中野物産の都こんぶ。
肉質がやわらかくて甘みがある北海道・道南地方や三陸地方の真昆布にこだわり、唯一無二の味つけで親しまれてきました。レトロなデザインの赤いパッケージは抜群の知名度を誇ります。
中野物産の中野雅文さんによると、6月に都こんぶの「内部包装」をリニューアルしたそうです。
おなじみの赤いパッケージは変わっていません。変わったのは、箱の中に入っている昆布の包装です。
内部包装のリニューアルは、30年以上ぶり。6月2日の生産分から、「深絞り包装」という新しい包装方法に変えたそうです。
これまでは、「ボトムシール袋」と、「トレー+ピロー包装」という2種類の包装方法を併用していました。
ボトムシール袋は、チューブ状のフィルムを袋の長さにカットし、底に当たる部分を接着した包装方法です。上の部分は空いた状態で折り返していました。
ピロー包装は、フィルムを背中合わせで筒状にし、背部と開口部を接着して製品を密閉する方法です。包装したときの形がマクラに似ているのが由来です。こんぶをトレーに入れた状態で密閉していました。
製造ラインの都合や作業スタッフの熟練度、生産効率などの観点から二つの方法を併用していたといいます。
新たに導入した深絞り包装は、極度に通気性の少ないフィルムを熱で軟化して成形し、昆布を入れた後、フタとなるフィルムで上からシールすることで密封包装する方式です。
通気性の少ないフィルムで包むため、開封するまでは、空気に触れることが少なくなります。より出荷時に近い状態で消費者に届けることが可能になったといいます。
都こんぶは、創業者の中野正一さんが1931年に売り出した黒蜜の入った酢漬けの昆布が原型です。
創業者の中野さんは、昆布問屋ででっち奉公をしているとき、昆布の切れ端をおやつの代わりに食べていました。あるとき、この昆布に甘く味付けしてお菓子として売るというアイデアを思い付き、19歳で起業しました。
駄菓子屋や紙芝居屋で子どもたちの人気を得て、さらに駅の売店にも販路を広げたことで大人にも受け入れられました。
初代林家三平さんやアメリカ人のタレント、イーデス・ハンソンさんを起用したコマーシャルも当たり、国民的なおやつとして定着しました。
中野さんはリニューアル後の反響について、「今はお客様の手に届き始めている時期なので、反響というのはまだ少ないです」と語ります。
届いたもののなかでは「新しいことに挑戦する姿勢を評価していただけたと感じています。また、内容量や味に変更がないことを安心してくださっていたように感じました」といいます。
都こんぶは梅酢味や、大容量の商品も発売されるなど進化を続けています。
中野さんはこれからも、「こども心を思い出すカラダに良いおやつ」として、都こんぶを愛し続けてもらいたいと願っているそうです。
「昔と変わらない赤い箱のパッケージを目印にお買い求め頂き、内包装の変更で驚き、中身の商品で懐かしく感じて頂けたらと思っています」
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