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20年続く祭り「YSF」の進化 始まりは「用賀でロックフェスを」

スタート当初から関わってきたNPO法人の代表理事に話を聞きました

昨年のYSF開催前に円陣を組んだ時の写真
昨年のYSF開催前に円陣を組んだ時の写真 出典: ⽤賀サマーフェスティバル実⾏委員会提供

目次

 東京都世田谷区で23~24日に開催される「用賀サマーフェスティバル(YSF)」。今年で20周年を迎えるにあたって、運営体制を「学生主体」から「まち主体」に転換しました。スタート当初から関わってきたNPO法人の代表理事に話を聞きました。

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⽤賀サマーフェスティバルでの一コマ
⽤賀サマーフェスティバルでの一コマ 出典: ⽤賀サマーフェスティバル実⾏委員会提供

YSFとは


 今年も東急電鉄の用賀駅周辺で開催されるYSF。

 ある大学生の発案をきっかけに2005年、地元商店街や地域の人たちが協力して第1回が開催されました。

 以降、「用賀レトロ」や「#YOUGA DREAMERS」といった年ごとのテーマを設定して開催。

 2025年のテーマは「ようがブレンド」で、学生主体だった運営体制を、地域住民を中心とした「まち主体」に転換しました。

 運営委員74人は10代から70代まで幅広い年代で構成。約半数が用賀在住者、約3割が用賀でゼミの課外活動を行っている大学生です。

 「20年ということは『成人』を意味します。この節目に、運営を大きく変えることにしました」

 そう話すのは、YSFの発起人である新井佑さん(41)。

 お祭りを主催するNPO法人「neomura(ネオムラ)」の代表理事で、用賀商店街振興組合の理事も務めています。

昨年は手作りの段ボール迷路も登場
昨年は手作りの段ボール迷路も登場 出典: ⽤賀サマーフェスティバル実⾏委員会提供

発案のきっかけは


 第1回を開催した時、新井さんは大学2年生で、バンド活動に打ち込んでいました。

 久しぶりに地元で幼なじみが集まった際、東大生になった仲間がいて、こんなことを思ったそうです。

 「昔はよく遊んだ仲だったのに、どこで差がついたんだ?」

 明け方に解散した後、「じゃあ、俺は用賀でロックフェスをやってやる」と決意。

 そのままの足で、地元の公園の管理事務所に向かいましたが、もちろんOKはもらえません。

 いくつも公園を巡った後、今度は「地元の有力者に紹介してもらおう」と方針を転換。

 そこでたどり着いたのが、用賀商店街振興組合の当時の理事長でした。

 理事長から「まずは小学校のお祭りがあるから手伝ってみないか?」と誘われた新井さん。

 小学校や商店街の祭りに参加して運営について学び、人脈を作る。

 そうしたステップを経て、駅前を管理している不動産会社を紹介してもらい、第1回を開催しました。

 「初回からステージは設けましたが、ロックフェスではなくお祭りとしてスタートしました」

大学生時代の新井佑さん(中央)
大学生時代の新井佑さん(中央) 出典: 新井佑さん提供
現在の新井佑さん(中央)
現在の新井佑さん(中央) 出典: ⽤賀サマーフェスティバル実⾏委員会提供

今年は学生代表を置かず


 その後も、学生が運営するお祭りとして毎年のように開催。

 大学を卒業して広告会社などで働いていた新井さんも、サポートを続けてきました。

 費用面では、祭りのパンフレットに企業紹介を載せるなどして協賛金を集めてきましたが、初めのうちは赤字続き。

 最近ではより小口でも多くの人に関わってもらおうと、寄付・協賛してくれた人の名前を「花掛け」として会場に掲示することに力を入れています。

 「自分たちでお祭りをつくっている、街をつくっている、と思っていただきたいんです」

 運営面ではここ数年、学生の「伴走者」として地元の大人たちも参加するように。

 今年は学生代表を置かず、運営委員74人で実施することにしました。

 「YSFを終えた後に『あれ?』と思う瞬間がありました。打ち上げ花火が終わったあとのような感覚で、お祭りがその後の日常に接続していないことに気づいたんです」

 祭りの後もつながるべく、neomuraとして月1回のゴミ拾いを実施したり、コミュニティー農園を開いたり。子ども食堂の開設も準備しているそうです。

 「地元育ちじゃない人も運営に関わってくれるようになって、『この街を地元にしていく』と言ってもらえた時は、うれしかったですね」

 年を追うごとに変化してきた部分もありますが、変わらない部分もあるといいます。

 「社会課題を解決しようという大義から始めるのではなく、まず自分が楽しい、好きということから始めることです。そうすると血が通っていくんです。それぞれの想いが重なり合って、結果的に誰かを喜ばせる活動につながっていく。『主催者』と『来場者』を分けることなく、一緒にお祭りをつくっていけたらいいなと思っています」

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