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「君らしくいればいい」YouTuberの思い ベルを鳴らして#5
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私には、中学時代に嫌がらせを受けて不登校になった経験があります。
YouTuberといえば、楽しい仲間と面白いことをしているイメージが浮かびますよね。
でも実は、暗い過去を持っているYouTuberは意外といます。
好きなYouTuberを思い浮かべてみてください。
はじめしゃちょー、Fischer's-フィッシャーズ- 、ノーブランド……彼らもまたいじめられた経験を持ちます。
そして、動画でも告白し、視聴者へメッセージを伝えています。
いじめを考える時に、理由を探すことが多いと思います。でも実は、はっきりしていないことも多々あるのです。それなのに、こんな言葉を言われた経験のある人はいませんか?
私も嫌がらせを受けていることを担任に告白した時に、自分にいけないところがあったかを聞かれました。
まるで理由があったらいじめられても当然かのように。
私は、自分の何がいけないのかを色々と探しました。
「あの時の言い方がいけなかったのかな」。ありそうな気もするし、「でもそれだけで、ここまで攻撃されなければいけないの??」という気もします。
結局わかりませんでした。
まともに学校へ行けなくなり、卒業間近だったでしょうか。
私は、主犯格の女子から嫌がらせの理由を告白されました。
その男子とは委員会が一緒だっただけで、委員会が終わっても嫌がらせは続いていました。
他のメンバーにいたっては、理由さえなかったと思います。
いや、主犯格の子の理由も結局あってなかったようなものだったのです。
残酷ですが、いじめってそんなものなんですね。
きっと今聞いても、加害者は記憶にないのではないでしょうか。
私は、こんなことで中学生生活が潰れたのかと思うと、悔しくてたまりませんでした。
担任に理由を聞かれて、自分を責めていたあの日々を返して欲しいと思いました。
人間なんて欠点だらけ。小中学生なら、間違った態度をとってしまうことなんてしょっちゅうです。
たとえ、本当にいけない理由があったとしても、それが直ったらいじめは止まるのでしょうか?
「いじめられる側にも原因がある」なんて言葉は、苦しんでいる人をさらに傷つけるだけです。
いじめを解決できない人が言っているのだと思います。
同級生や教師、親に言われても、絶対に信じてはいけません。
私が受けた嫌がらせは、とても苦しいものでした。
でも思い切って告白してからも「あなたにも原因があるのでは?」「甘えている」「普通は〇〇だ」「こんなんじゃ将来やっていけない」「みんなつらい中でも頑張っている」という決めつけの言葉が次々に浴びせられました。
本当にそうでしょうか?
「それは甘えだ 」といってくる人は、めちゃくちゃ仕事もできて人間的にも素晴らしくてあなたと信頼関係が完璧にできてる人があなたのためを思って言っているという状況でない限り、自分の思い通りになる相手を動かしたい上に、相手のためを思っていってやってるという恩まで着せたいやばいやつです!
— けんすう (@kensuu) 2018年8月20日
大人だってとても傷つく言葉です。
心に大けがをしている人、後遺症と戦っている人に対してかける言葉たちではないと思っています。
全部価値観の押し付けです。真に受けた私は、自分は弱い人間だと思い込みました。将来へのプレッシャーに押しつぶされそうになり、もう生きていけないと思いました。
でも、今ならわかります。
地獄からは逃げて当然で、文句を言う人の方がおかしいです。普通の環境じゃないから、不登校の方がまだ普通でいられます。みんながつらいことと自分がつらいことは分けて考えるえべきです。
進む道も幸せと感じるものも人それぞれです。
ネットを使うのも一つだと思います。
私は、中学生時代はネットで現実逃避をしていた部分があります。そして、今はYouTubeでの絆の広がりを感じています。
ゲームをしたり、動画を見たりしていると、否定的に言われることもありました。
でも私は、ネットを取り上げられたとしても、日中外に出ることはできなかったです。塾へ行くのに駅を使うのも苦痛でした。
結局、読書をするだけの引きこもりになっていたと思います。
どうせ同じひきこもりなら、たくさんの価値観を見せてくれるYouTubeやTwitter、Instagramなどで、認めてくれる場所を探すことは意味があるのではないでしょうか。
世の中には、学校以外の世界がたくさんあります。
だから、本当につらかったら、学校に行かなくて良いです。
無責任な言葉だと言う人もいるでしょう。
でも私は、トータル3、4年の引きこもり生活の後、大人の言う「まともな人生」に戻った経験があります。それからYouTuberになることを選びました。今のほうが断然楽しいですけどね!
◇ ◇ ◇
メイクの仕方を教えてくれたり、実験をしたり、モノマネをしたり……「好きなことで、生きていく」YouTuber。明るく楽しい印象ですが、過去は楽しいばかりではありません。
コラム「ベルを鳴らして」では、文学YouTuberベルさんのメッセージを5回に渡ってお届けしました。
連載は今回で終わります。どうもありがとうございました。
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