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連載

#69 #withyou ~きみとともに~

「君らしくいればいい」YouTuberの思い ベルを鳴らして#5

文学YouTuberのベル(ベルりんの壁)さん
文学YouTuberのベル(ベルりんの壁)さん

目次

ごきげんよう、ベルです。きょうも本を読む文学YouTuberです

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 私には、中学時代に嫌がらせを受けて不登校になった経験があります。

 YouTuberといえば、楽しい仲間と面白いことをしているイメージが浮かびますよね。

 でも実は、暗い過去を持っているYouTuberは意外といます。

いじめられた経験があるYouTuber

 好きなYouTuberを思い浮かべてみてください。

 はじめしゃちょー、Fischer's-フィッシャーズ- 、ノーブランド……彼らもまたいじめられた経験を持ちます。
 
 そして、動画でも告白し、視聴者へメッセージを伝えています。

私もいじめられた経験があります
私もいじめられた経験があります
 はじめしゃちょーさんは、小学校6年生の時に無視をされるといういじめを受けたそうです。

 理由はわかりませんが、プール開きの生徒代表に選ばれた頃から周りの態度が変わっていったと言います。

 (参考ー「オレがいじめられてた時の話をしよう。」https://youtu.be/Kf2J2hQoVPI 2018年6月1日公開)
 

いじめられる原因って?

 いじめを考える時に、理由を探すことが多いと思います。でも実は、はっきりしていないことも多々あるのです。それなのに、こんな言葉を言われた経験のある人はいませんか?

「いじめられる側にも原因がある」

 私も嫌がらせを受けていることを担任に告白した時に、自分にいけないところがあったかを聞かれました。

 まるで理由があったらいじめられても当然かのように。

 私は、自分の何がいけないのかを色々と探しました。

 「あの時の言い方がいけなかったのかな」。ありそうな気もするし、「でもそれだけで、ここまで攻撃されなければいけないの??」という気もします。

 結局わかりませんでした。

あってなかったような嫌がらせの理由

 まともに学校へ行けなくなり、卒業間近だったでしょうか。
 私は、主犯格の女子から嫌がらせの理由を告白されました。

「気になってる男子と仲が良かったから」

 その男子とは委員会が一緒だっただけで、委員会が終わっても嫌がらせは続いていました。

 他のメンバーにいたっては、理由さえなかったと思います。
 いや、主犯格の子の理由も結局あってなかったようなものだったのです。

 残酷ですが、いじめってそんなものなんですね。
 きっと今聞いても、加害者は記憶にないのではないでしょうか。

 私は、こんなことで中学生生活が潰れたのかと思うと、悔しくてたまりませんでした。
 担任に理由を聞かれて、自分を責めていたあの日々を返して欲しいと思いました。

 人間なんて欠点だらけ。小中学生なら、間違った態度をとってしまうことなんてしょっちゅうです。
 たとえ、本当にいけない理由があったとしても、それが直ったらいじめは止まるのでしょうか?

 「いじめられる側にも原因がある」なんて言葉は、苦しんでいる人をさらに傷つけるだけです。
 いじめを解決できない人が言っているのだと思います。
 同級生や教師、親に言われても、絶対に信じてはいけません。

価値観の押し付け

 私が受けた嫌がらせは、とても苦しいものでした。

 でも思い切って告白してからも「あなたにも原因があるのでは?」「甘えている」「普通は〇〇だ」「こんなんじゃ将来やっていけない」「みんなつらい中でも頑張っている」という決めつけの言葉が次々に浴びせられました。

「あなたのためを思って…」

 本当にそうでしょうか?




 大人だってとても傷つく言葉です。

 心に大けがをしている人、後遺症と戦っている人に対してかける言葉たちではないと思っています。

 全部価値観の押し付けです。真に受けた私は、自分は弱い人間だと思い込みました。将来へのプレッシャーに押しつぶされそうになり、もう生きていけないと思いました。

 でも、今ならわかります。

 地獄からは逃げて当然で、文句を言う人の方がおかしいです。普通の環境じゃないから、不登校の方がまだ普通でいられます。みんながつらいことと自分がつらいことは分けて考えるえべきです。

 進む道も幸せと感じるものも人それぞれです。


(自分と他人の問題をわけて考えることの大切さは「嫌われる勇気」という本で学びました)

それでも相談してほしい

 いじめはなくならないかもしれません。でも、早くその芽を摘むことはできるはず。

 はじめしゃちょーさんも「あれ先生気づかなかったのかな?と今なら思うんですけど」と、大した問題じゃないと大人にスルーされていた可能性を語っていました。
 (参考ー「オレがいじめられてた時の話をしよう。」https://youtu.be/Kf2J2hQoVPI 2018年6月1日公開)

 だから、どんなことでもかまいません。まずは早く誰かに話してみてほしいです。

 相談することは、とても勇気がいります。

 「親を心配させちゃうかもしれない」
 「チクッたと思ってさらに嫌がらせされるかもしれない」

 私も不安に思っていました。でも、「自分はつらい状況にいる」ということを伝えて、気づいてもらうことが一番大事だと思っています。

 私は先生に相談しましたが、解決はしませんでした。でも、大人も前より私のことをスルーしづらくなりました。状況を伝えたからこそ、保健室や相談室という選択肢も見つかりました。塾で頑張ろうと切り替えていこうと考えることもできました。伝えることから“自分の居場所づくり”が始まります。

 相談をして万が一さらに傷つくことを言われてしまったら、それは第二のいじめです。あなたは悪くありません。

 苦しくなってしまうのは仕方ないけれど、気にする必要のない言葉たちだということを忘れないでください。試して確認できたということが大事で、他を頼れば良いだけの話です。

 

私もお悩み相談生配信で、みなさんからのお悩みを聞いています

ネットにも認めてくれる場所がある

 ネットを使うのも一つだと思います。

 私は、中学生時代はネットで現実逃避をしていた部分があります。そして、今はYouTubeでの絆の広がりを感じています。

 ゲームをしたり、動画を見たりしていると、否定的に言われることもありました。

「ネットのせいでひきこもりになる」

 でも私は、ネットを取り上げられたとしても、日中外に出ることはできなかったです。塾へ行くのに駅を使うのも苦痛でした。

 結局、読書をするだけの引きこもりになっていたと思います。

 どうせ同じひきこもりなら、たくさんの価値観を見せてくれるYouTubeやTwitter、Instagramなどで、認めてくれる場所を探すことは意味があるのではないでしょうか。

「学校へ行かなくても良い」

 世の中には、学校以外の世界がたくさんあります。

 だから、本当につらかったら、学校に行かなくて良いです。

 無責任な言葉だと言う人もいるでしょう。

 でも私は、トータル3、4年の引きこもり生活の後、大人の言う「まともな人生」に戻った経験があります。それからYouTuberになることを選びました。今のほうが断然楽しいですけどね!

今は読書や美術家めぐりを楽しみながら、素敵な仲間に囲まれて活動しています!
今は読書や美術家めぐりを楽しみながら、素敵な仲間に囲まれて活動しています!

 だから心を込めて、「自分を無くすくらいなら、学校に行かなくても良い」と伝えます。

 長い人生の中で、チャンスなんてゴロゴロ転がっています。

 ただ生きているだけで良いです。あなたらしくいられれば、それで良いです。

【プロフィール】
べるりんのかべ 文学YouTuberとして、書評・美術館レビューなどを中心に文化・教養系の動画を配信する動画クリエイター。人を通して読書の魅力を伝え、本好きの輪を広めたいという想いから投稿中。チャンネル登録者は2万人超。『YouTube NextUp 2017』受賞。動画投稿バラエティ『#部活ONE!』のMCも務める。
ベルりんの壁 | Official Website
YouTube:ベルりんの壁
Twitter:@belle_youtube 
Instagram:@belle.gokigenyou

     ◇     ◇     ◇

 メイクの仕方を教えてくれたり、実験をしたり、モノマネをしたり……「好きなことで、生きていく」YouTuber。明るく楽しい印象ですが、過去は楽しいばかりではありません。

 コラム「ベルを鳴らして」では、文学YouTuberベルさんのメッセージを5回に渡ってお届けしました。

 連載は今回で終わります。どうもありがとうございました。
 

文学YouTuberのベルさんコラム「ベルを鳴らして」
#1「嫌いなことで、生きていた」YouTuber
#2「友達がいない」から始めたYouTuber
#3不登校だったYouTuberが「逃げた場所」
#4孤独に耐えたYouTuberが見つけた理解者
#5「君らしくいればいい」YouTuberの思い
 

 withnewsは4月から、生きづらさを抱える10代への企画「#withyou」を始めました。日本の若い人たちに届いてほしいと、「#きみとともに」もつけて発信していきます。以下のツイートボタンで、みなさんの生きづらさも聞かせてください。


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いろんな相談先があります

・24時間こどもSOSダイヤル 0120-0-78310(なやみ言おう)
・こどものSOS相談窓口(文部科学省サイト
・いのち支える窓口一覧(自殺総合対策推進センターサイト

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