ごきげんよう、ベルです。きょうも本を読む文学YouTuberです
“好き”を伝える時に「○○が友達」と例えることがありますよね。
「野球が友達」とか、もっと気持ちを込めて「ゲームが恋人」なんて言ったりもします。
私の場合は読書が好きなので「本が友達」になるのですが、中高生時代の私は「本だけが友達」だったなと思います。
友達と言える友達がいませんでした。

「仲良しグループ」に入れなかった
学生の時の人間関係は、クラスメイトとつくることが多いと思います。女子であれば、いくつかの仲良しグループで行動している様子が思い浮かぶのではないでしょうか。同じメンバーで着替えや移動教室をして、休憩時間には机を囲んでおしゃべり。
私はと言うと、どのグループに入ることができず、いわゆる“つかずはなれず”のタイプでした。
「わが道を行く」性格を抑えきれていなかったので無理もないと思います。私もそれで良かったのですが、一つ不安がありました。
1人は狙われやすい。

「なんかむかつく」の番に選ばれた
中学生時代は、グループで嫌うターゲットを順番に決めるような場面があったと思います。私も「なんかむかつく」の番に選ばれた時がありました。
もともと一部の人たちから陰口を言われていました。それが、2年時の生徒会長選挙の活動が始まった頃には、内輪で楽しむ嫌がらせとして目につくようになっていました。
ある日の放課後のことです。
私は候補者の集会に忘れ物をしたため、教室に戻りました。到着した教室にはクラスの中心メンバー男女6人くらいが居残り、私へのありとあらゆる悪口を楽しんでいました。
目撃してしまった私。
どこかで嫌われていないと信じたかったのに、もう認めるしかありません。泣きながら集会に戻り立候補の辞退を申し入れました。
私の訴えを聞いた担当教師は「辞めたら思うつぼだ。何事にもかえがたい良い経験ができている」とかたくなに拒否。結局、家にまで説得しに来た先生たちに圧倒され、続けるしか道がなくなりました。
嫌がらせは、私や教師にばれてからあからさまになりました。怖いものがなくなったのか、人数も増えていったと思います。具体的に何をされたのかは、つらすぎて覚えていない部分も多いです。
今まで普通に関わっていた人からは距離を置かれるようになりました。
「お前、まだ嫌われてるからね(笑)」
選挙自体は強力なライバルがいたため、負けて楽になれると思っていました。
なのに、当選してしまいました。

同学年からの票はほぼ入らなかったものの、なぜか1年生と3年生からの得票数が多く、なんと4票差で当選。相手の子が「ベルがなるならもう一人がなった方がましだった!」と泣いて吐き捨てた時のことが忘れられません。こうして、名ばかり会長ができあがりました。
状況が良くなることはありませんでした。ストレスを抱えながら、2年生はほぼ出席。春休みを終え、3年生になりました。気持ち新たに入学式で会長の言葉を述べましたが、帰宅後、同級生から一通のメールが届きます。
「お前、まだ嫌われてるからね(笑)」
翌日から学校へ行けなくなりました。
めちゃくちゃな人間関係を、自滅することでしか断ち切ることができなかったのが、私の学生時代です。
友達作りのトラウマ
今なら、無駄な頑張りや、戦いは必要ないことを知っています。転校などの選択肢があったこともわかります。
しかし当時の私の視野は狭く、学校が全てでした。
自分を“生きているだけで嫌われる存在”だと責め続け、親の期待も裏切りたくないという考えから状態を悪くしていたと思います。
自信を失った私は、何年もトラウマを引きずりました。
その後数年は、今まで以上に人に合わせて生きていました。だんだんと普通の人付き合いはクリアしていき、20歳を超えた頃には「友達もつくれる」ということに気づくようになりました。
(友達と一緒に撮影している動画です。彼らは、大人になってからできた掛け替えの無い友達です)
大人でも人間関係は難しい
大人になってしまえば、「みんなと仲良く」なんて夢物語だとわかりますし、合う人がいない時に距離をとることなんて当たり前です。
自分に合った環境も選びやすいですし、何より無関係の人間にちょっかいを出す集団などは明らかに少なくなります。なんなら友達がいないことだって、恥じる必要はありません。
でも、そんな大人でさえ、いつでも悩まされるのは人間関係です。もっと複雑な環境にいる10代のみなさんは、良好な人間関係を続けることの方がむしろ難しいと思います。
つらい時に、今いる場所でどうにかしようと考える必要はありません。代わりに別の場所に交流を作ってみることをおすすめします。
SNSでは、ネットで誰でも自分を表現することができます。自分の隠したい部分は言わないこともできます。同じ趣味の人や関わりたい年齢の人と交流することができる一つの場所です。私の学生時代に比べて、どんどん健全な場になってきているとも感じています。

理想の人間関係は存在する
私は、大人になってからコミュニケーションに自信がつきました。でも、自分の個性を存分に出すことには抵抗がありました。
そんな時に始めたのがYouTubeです。
「自分の好きなものや思ったことをきちんと伝えてみたい。もしそんな私に興味を持ってくれる友達がいたら良いな」
少しの期待を持って、動画をアップし始めたのが3年前。
現在私には、2万5000人以上の友達がいます。
あれだけ人間関係に悩んでいた私が今、本や美術館のレビューをしています。ちょっと変わった趣味を紹介していても、それを認めてくれるすてきな友達がたくさんです。中学時代の私には信じられない話ですよね。

私はこの感謝を恩返ししたい!視聴者さん同士のつながりが増えて、みんなにとってかけがえの無い場を作っていきたいです。
すてきな人間関係を作れる場所は必ず存在します。
自分のちょっと好きなことや思うことをつぶやいてみてください。
【プロフィール】
べるりんのかべ 文学YouTuberとして、書評・美術館レビューなどを中心に文化・教養系の動画を配信する動画クリエイター。人を通して読書の魅力を伝え、本好きの輪を広めたいという想いから投稿中。チャンネル登録者は2万人超。『YouTube NextUp 2017』受賞。動画投稿バラエティ『#部活ONE!』のMCも務める。
ベルりんの壁 | Official Website
YouTube:ベルりんの壁
Twitter:@belle_youtube
Instagram:@belle.gokigenyou
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メイクの仕方を教えてくれたり、実験をしたり、モノマネをしたり……「好きなことで、生きていく」YouTuber。
明るく楽しい印象ですが、過去は楽しいばかりではありません。
コラム「ベルを鳴らして」では、文学YouTuberベルさんが、自身の過去といまを語ります。ステキな笑顔で書評を届けるベルさんの動画からは、想像できないかもしれません。
3回目以降は、「現実逃避」「理解者」を掘り下げていきます。
本日、8月12日(日)21:00~、YouTube お悩み相談生配信をします。
ベルさんが、みなさんからのお悩みについて一緒に考えます。
ぜひご覧ください。
https://youtu.be/P4JdS5x7Qv8
#1「嫌いなことで、生きていた」YouTuber
#2「友達がいない」から始めたYouTuber
#3不登校だったYouTuberが「逃げた場所」
#4孤独に耐えたYouTuberが見つけた理解者
#5「君らしくいればいい」YouTuberの答え

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