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お金と仕事

消えた2千円札を探せ 今も1億枚が現役…沖縄では流通増えていた

つい最近、お釣りで2千円札をもらいました。そういえば、このごろ全く見なくなりました。どこに消えてしまったのでしょうか。まだ流通しているのか調べてみたところ、1億枚近くがいまだに世間に存在していることが判明。さらに、沖縄では年々増えていたことも分かりました。

記者の財布に常備された2千円札
記者の財布に常備された2千円札

目次

 つい最近、お釣りで2千円札をもらいました。昔は沖縄在住の伯父からのお年玉と言えば、2千円札がお決まりでしたが…。そういえば、このごろ全く見なくなりました。どこに消えてしまったのでしょうか。まだ流通しているのか調べてみたところ、1億枚近くが世間に存在していることが判明。さらに、沖縄では年々増えていたことも分かりました。(朝日新聞デジタル編集部・影山遼)

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③消えた2千円札を探せ 今も1億枚が現役…沖縄では流通増えていた
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2000年に誕生

 日本銀行広報課によると、最新のデータ(2018年5月)の2千円札の流通量は1964億円あります。単純計算でも1億枚近く(正確には9820万枚)が世の中に存在していることになります。それだけあるのに見かけない、かなり不思議な現象です。

2千円札の見本(表面)
2千円札の見本(表面) 出典: 財務省提供

 そもそも日本ではまれな「2」のついているこのお札は、九州・沖縄サミットと西暦2000年を記念して、2000年7月に誕生しました。42年ぶりとなる新しい額面の紙幣でした。表には那覇市の首里城の入り口にある「守礼門」がデザインされ、誰の肖像画も描かれていない(裏には鎌倉時代の作の紫式部らがいますが…)ことなどが話題になりました。

2千円札の見本(裏面)
2千円札の見本(裏面) 出典: 財務省提供

新札は15年出ていません

 追加で製造された2003年を最後に新札は出ていません。流通量は2004年度に約5億枚で最多となっていますが、その後は徐々に減り、現在の1億枚となっています。アメリカの20ドル紙幣、EUの20ユーロ紙幣がよく引き合いに出されますが、生まれながらにして「2」になじみのない国民性が災いしたのでしょうか。それでもまだ1億枚はあります。

 Q.お札の寿命はどれくらいですか? 使えなくなったお札はどうなりますか?
 A.銀行券(お札)の平均的な寿命は、一万円券では4〜5年程度です。五千円券と千円券では、つり銭などでやり取りされることが多く、傷みやすいこともあって、1〜2年程度となっています。
 世の中を流通して日本銀行に戻ってきた銀行券のうち、汚損などにより再度の流通に適さないものは、日本銀行の本店または支店において、細かく裁断されます。
日本銀行ホームページ「教えて!にちぎん」

 日本銀行は2千円のメリットについて「現金の支払いや受け取りに要する紙幣を節約できる」と「偽造抵抗力が強化される」の二つだとします。個人的には、千円札でかさばるなと感じた経験はないように思いますが…。お札を傾けると表の左下には「2000」、裏の右上には「NIPPON」の文字が浮かび上がったり、表の右上の「2000」の文字は角度を変えると色が変わったりといった新しい偽造防止の技術は画期的でした。

2千円札
2千円札 出典: 朝日新聞

最強の沖縄

 一方、沖縄県内での流通量は年々増えていました。日本銀行那覇支店のまとめでは、2018年5月は592万枚。最も少なかった2001年4月(157万枚)の3.7倍になっています。

 「めんそーれ沖縄県民運動」という活動の中で、「2千円札の普及活動」が以前は実施されていました。ですが、沖縄県観光振興課の担当者は「今年度から普及活動はやっていません」と話します。前年度に東京で開催されたイベント「沖縄ナイト」で2千円札に交換可能な両替機を設置したのが最後だったといいます。

2千円札と守礼門=那覇市
2千円札と守礼門=那覇市 出典: 朝日新聞

ATMからいくらでも出てきます

 さらに、沖縄のATMからは2千円札が出てくるといううわさも。琉球銀行に聞いてみると、担当者が「県内のATM約350台に、『二千円札優先』というボタンをつけています」と教えてくれました。観光客がよく押しているといいますが、逆に言うと、押さなければ出ません。それでも、月に1千万円ぐらいはATMから2千円札が出ているそうです。

 なぜ沖縄で人気があるのでしょうか。琉球銀行の担当者は「2千円札の表面と沖縄のイメージが強く結びついているからではないでしょうか」と話します。「お祝いの時に渡したり、記念品として受け取ったり。ですから、あまり普段使いはしないのでは」との分析に納得です。約1億枚が存在していても、しまい込まれていることが多いような気がします。

2千円札の未来は…

 日本銀行が普及させるために作ったパンフレット「弐千円物語」では、「現在、世の中に出回っている二千円券は1.2億枚(2000年10月末現在)。将来の発行枚数は五千円券(当時4億枚)を上回るものと考えられます」と書かれていました。一時は本当に超えた2千円札でしたが、今後はどうなっていくのでしょうか。私は2千円札を大事にとっておこうと思います。

 1万円札について冗談で「久々にお目にかかった」と言うことはあるが、先日、知人から受け取ったのは2千円札。一瞬、これは何だと思った。お目にかかるのは何年ぶりだろう。
 知人はある銀行の支店で入手できると得意げだったが、正直なところ、受け取っても迷惑としか感じられず、早々に手放した。
 しかし、世界に冠たる自販機大国でありながら、2千円札対応の自販機はほとんどなく使いにくい。2千円札の製造は03年度に終了したものの、「現役紙幣」である以上、珍しいと大切にしまいこむ人は少ないだろうし、この紙幣の存在を知らない若者も多いだろう。
 国民を戸惑わせる通貨があっていいとは思えない。今後流通が進む要素も見当たらないし、そろそろお役御免を検討する段階にきているのではと感じる。
2018年6月14日、朝日新聞東京本社版「声」(一部抜粋)

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