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連載

#39 #就活しんどかったけど…

研究、単位、インターン…理系院生が大手電機メーカーに内定するまで

ハードな生活を送りました

大手電機メーカーでこの春から働く理系の大学院生は、入学直後から就活の準備を始めたといいます(画像はイメージです)
大手電機メーカーでこの春から働く理系の大学院生は、入学直後から就活の準備を始めたといいます(画像はイメージです) 出典: Getty Images

目次

多くの学生が参加するインターンシップ。2025年卒からは、一定の条件を満たせばインターンに参加した学生の情報を採用選考に使えるようになります。学業と就活の両立が課題ですが、理系の大学院生は講義と研究、インターンでハードな生活を送っているようです。withnews編集部には、学業との両立がしんどかったという体験談が届きました。

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就活しんどかったけど…

しんどかった大学院1年の夏

「大学院1年生の夏、単位の取得、研究、就活で、かなりハードな生活を送ったと感じています。あまりにもしんどく、サマーインターンを諦めようかなと思った時期もありました」

「でも、『今参加しておくと、のちのち楽になる』と感じ、なんとかインターンに参加しました。今になって思えば、とても良い経験をしたと感じています」

そんな体験談を送ってくれたのは、大阪府に住む大学院2年生の男性です。この春から、インターンにも参加した大手電機メーカーで働きます。

国立大学院で物性理論を研究していた男性は、大学院に進学した4月から理系学生に特化したダイレクトリクルーティング型のサービスに登録しました。ダイレクトリクルーティングは、企業が自社に合った人材に直接コンタクトを取る採用手法です。

「学部の間は就活をしてこなかったので、何も分からない状態で始めました。先輩が使っていたサービスを紹介してもらい、自分のプロフィールや研究領域、スキルなどを登録しました」

男性はサービス経由で情報を集め、電機や化学、素材メーカーの研究開発職を目指して活動を始めたそうです。

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画像はイメージです 出典: Getty Images

「遅れてしまう」と思って参加したインターン

6月ごろからサマーインターンのエントリーを始めましたが、想像以上に苦労したのが学業との両立でした。

卒業までの2年間で30単位以上修得する必要があるほか、自身の研究と就活を並行して進めなければいけません。男性は早めに単位を得て就活に備えようと、大学院1年の前期に20単位ほど講義を詰め込んでいたといいます。

「大学院1年の終わりから就活を始めるのでは遅れてしまうと思い、サマーインターンは10~15社応募しました。ただ、研究をしつつ講義も受けながらインターンのエントリーシート(ES)を書くのは大変でした」。ESの提出時期は期末試験とも重なっていたそうです。

A4用紙を使って予定を管理していたという男性。紙に1週間のスケジュールを書いて、「『月曜日はこれ、火曜日はこれをする』となんとか穴を見つけて、やりたいことをはめていきました」と話します。

「電子媒体で管理するのはあまり好きではなく、僕は手を動かした方が覚えやすかったので紙に書きました。個人的には書くことで実感がわいて、やる気につながったと思います。また、視覚化することで自分がこれから何をどうしていかなければならないのかが見え、危機感を持てました」

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画像はイメージです 出典: Getty Images

インターン中も学会用の資料作り

エントリー前の準備では、内定したES例を掲載しているサイトを参考に「どういう質問が来るのかを想定して、ある程度はESに書くことを用意していました。インターンの情報が解禁された後、実際の項目を見て内容を修正しました」と話します。

学業と就活のバランスは人によって様々で、講義は控えめにして就活に時間をかけ、内々定が出た後に単位を取る大学院生もいたといいます。

男性はアルバイトもしていましたが、学部生のときよりも時間は減らしたそうです。「就活に時間を割くには、どれかを減らさないといけないなと実感しました」

ESが通ったあとは、面接のスケジュールと研究などの予定を埋めていきました。

大変な中でも助かったのは、多くの企業の面接がオンラインだったことです。「従来は直接企業まで行って面接していたと思いますが、大学や家にいながら面接を受けることができ、移動にコストを払わず済みました」

男性は短いプログラムで1日、長いものでは2週間のインターンを計10社ほど経験したといいます。地方で開催された長期インターンは宿泊も伴いました。直後に学会発表が控えていたため、午前9時から午後6時までのインターンが終わった後、ホテルで発表の資料を作っていたそうです。

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それでも「参加してよかった」

慌ただしい夏を過ごした男性でしたが、それでも「インターンに参加してよかった」と話します。「内定した会社のインターンでは、希望とは違う職種を経験しました。参加したことで理系の職種の幅の広さを知ることができました」

また、後日インターン参加者向けの懇親会もあり、選考スケジュールを聞いたり、希望する職種の社員と面接したりできたそうです。「参加者同士で情報交換もでき、個人的にはいい経験でした」と振り返ります。

本選考のエントリーは大学院1年生の3月頃から。5月上旬には第1志望の企業から内々定をもらったそうです。結果的に10社ほど採用面接を受け、5社から内々定が出たといいます。

大学院生の就活については「学業、研究、就活の3本柱が重みになっています。それを均等にこなすのは、多くの人はできないと思う。現状、『どれを捨てるか』の見極めが必要です」と話します。

サマーインターンの参加に後悔はありませんが、その間「研究をほとんど捨てていた」という男性。「しっかり研究に充てる時間があればもっと深掘りできていたかと思いますが、卒業するための単位数と、卒業後の働き口を探すことを重視しました」

就活の負担を軽減するためには、「大学院での取得単位を減らすか、ドクター人材の就職についてもう少し制度化したほうがいいのではないでしょうか」と疑問を投げかけました。

<体験談お寄せください> 連載「就活しんどかったけど……」では、コロナ禍で変化もあった就活の「いま」を見つめ直し、よりよいあり方を探っていきます。

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