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#4 #就活しんどかったけど…

「ガクチカ」書けない…どうしたら? 「盛らなくてもいい」は本当?

国家資格キャリアコンサルタント・篠原真喜子さんのアドバイス

コロナ禍で「学生時代に力を入れたこと(ガクチカ)」が見つからないと悩む学生も多いですが…
コロナ禍で「学生時代に力を入れたこと(ガクチカ)」が見つからないと悩む学生も多いですが… 出典: Getty Images ※画像はイメージです

ガクチカに書けることがない! 就職活動のエントリーシート(ES)でよく設けられる設問「学生時代に力を入れたことはなんですか」という問いに、どんな風に答えればいいのか――。学生生活の大半をコロナ禍で送った学生や、胸を張れるものがないと悩む学生もいます。自分のガクチカをどう見つけ、どう記入すればいいのでしょうか。

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就活しんどかったけど…
<体験談ケース1>

ことし4月、専門商社に入社した女性(22)は、2019年に都内の私立大学に入学。選んだのは社会学や経営学・マネジメントなどを学び、留学が必須の学部でした。

2年生でちょうどコロナ禍へ。大学の講義はすべてオンラインに変わりました。運動系の部活も休止になってしまいました。

「将来は英語が大事」と考え、苦手な英語を少しでも学びたいと選んだ学部でしたが、留学もコロナ禍で行けずに、〝オンライン留学〟に切り替わりました。

「ガクチカに書いていたことは1年生のときのもの」と振り返ります。

一方で、さまざまな面接を経た上で、「企業は自分が〝どう答えるか〟を見ていると思いました。だから『ガクチカ』は盛らなくてもいいかな」と感じたといいます。

<体験談ケース2>

都内の大学に通う4年生の男子学生(22)は、ことし2月、早々に第一志望の企業で内定が出ました。

スムーズにみえる就活でしたが、1年生の頃から「会社員としての心構えを身につけたい」と有給の長期インターンで営業職として働いていました。

そこで出会った先輩たちから刺激を受け、2年生の頃には自己分析を始め、ウェブテストを受け、3年の5月からはさまざまな企業の夏の短期インターンに向けた選考を受けていたといいます。

ESの「ガクチカ」には1年の頃からやっていたインターンの経験を、具体的な数字をまじえ、「チーム全体に貢献した」というメッセージになるように意識して記入したといいます。

就活キャリアアドバイザー・篠原真喜子さんは……

エントリーシートの「ガクチカ」に悩む声は、多く寄せられます。これまでのべ5万人もの学生の就活を支援してきた篠原真喜子さんのアドバイスは……

 

篠原真喜子(朝日新聞社・就活キャリアアドバイザー)
2003年入社。自身の就活経験を生かして、2004年に「朝日就職フェア」を立ち上げ、以降、同フェアの企画・MCとして活躍。
就活ポッドキャスト配信中(https://omny.fm/shows/asahi/playlists/playlist-3)。国家資格キャリアコンサルタント。
いざ就活を始めてみたら、「ガクチカでアピールできることがない…」と悩む就活生は多いです。

周りの人と比べては自分のマイナス面ばかりに目が行ってしまったり、「これが私のガクチカだ!」と思っていたことも、色々考えているうちに「アピールするほどこのことではない」と自信がなくなってきてしまったり……。

Q 「ガクチカ」に書けることを見つけるにはどうしたらいいですか?

私が皆さんに伝えたいことは、自分で気が付いていないだけで、きっとガクチカはあるよ! と言うこと。

ないない、と思っているから余計に見つからない。まずは“ある前提”で考えてほしい。そこからスタートです。

これまでの自分を振り返ってみましょう。

初めはアピールできることが何もないと思っていても、学生時代に行ったことを一つ一つ丁寧にさかのぼっていったら、アピールポイントが見つかったという人は多くいます。

これまで当たり前にしてきたことの中にいいネタが隠れていた!ということ、よくありますよ。

Q もし「ガクチカ」が見つからなかったら……?

とはいえ、自分を客観視して見つけるのは難しいですよね。そんな時は、人に聞いてみるのも手。「他己分析」ですね。

他己分析は、自己分析のやり方のひとつで、自分以外の人に自分について聞き、自分では気づけなかった長所短所・アピールポイントを知る方法です。

また、大学のキャリアセンターなどでキャリアの専門家に相談し、ネタを引き出してもらうのもおススメです。

自分では意識せずに行っていたり、自分の中では当然と思っていたり、人から指摘してもらうことで気づくことがたくさんあります。「こんなことでいいの?」と思うようなことが、就活では高く評価されることも!

たとえば、ことし航空業界に内定した学生Mさんの例です。

中学は陸上部で、高校はバドミントン部。1つのことを長く続けたことがなく、ガクチカといえるものがないと悩んでいました。でも、私が一つ一つ話を聞いていくと、就活でアピールできるネタが隠れていたんです!

バドミントン部に初心者で入部したため、3カ月間は毎日外周5km、素振り1000回からのスタートだったそう。

40人いた新入部員で夏休み明けまで残ったのはMさん含めて3人だけ! その頑張りを認められ、新人戦では補欠に選んでもらうことができたそうです。

この経験をもとに、どんなにつらい状況でもくじけず頑張れると面接で話すと採用担当者の反応上々!

以降、Mさんのガクチカ鉄板ネタとなりました。
出典: Getty Images ※画像はイメージです
Q そもそもなぜ「ガクチカ」を書かせるのでしょうか?

採用担当者は、ガクチカや自己PRに、華やかなエピソードや輝かしい実績ばかりを求めているわけではありません。何にどう取り組んだかを見て、あなたがどんな人かを知りたいと思っています。

ガクチカが「補欠に選ばれました」でもいいの? と思った人いませんか? いいんです!

失敗や挫折があったときにどのように乗り越えたのか、目標を達成する過程で思うような結果が出なかったとしても、そのときどう取り組んだのかを企業側は知りたいのです。

コロナ禍の学生生活で、思うように活動できなかったという人もいると思います。それは採用担当者もちゃんとわかっています。

多くの制約があってモチベーションが下がるような状況でも、自分なりに考えて乗り越えてきたこと、コロナを言い訳にせずに行動してきたこと。たとえ地味な経験だったとしても自信を持って伝えてください。

Q ガクチカには「具体的な数字や、体験を盛り込もう」とアドバイスされますが、本当ですか?

例えば、以下のA/Bの文章を比べた場合、どちらが印象に残りますか?
 
<A> 高校時代はバドミントン部でした。初心者だったので全体練習に参加させてもらえず基礎練習ばかりしていました。一緒に入部した同級生はみな辞めてしまい、私も辞めたくなりましたが、負けずに頑張りました。
 
<B> 高校時代はバドミントン部でした。初心者だった私は、入部後3カ月間はほとんど体育館に入れてもらえず、毎日外周5キロ、素振り1000回からのスタートでした。毎日のように辞めたいと思いました。ですが、「負けてたまるか!」と仲間と励まし合いながら乗り越えました。40人いた新入部員の大半が辞めて、夏休み明けまで残ったのは私を含めて3人だけでした。この頑張りが認められ、夏休み明けの新人戦では補欠に選んでいただくことができました。
数字や体験をつづった<B>の方が、印象に残りますよね? 具体的なイメージがわくからです。

数字や具体例を出すことで、採用担当者とイメージの共有ができ、「確かにそうだよね!」と相手に納得してもらうことができるのです。

Q ガクチカでどんなことをアピールしたらいいのでしょうか? 主体性?コミュニケーション能力?

主体性でも、コミュニケーション能力でも、向上心でもなんでもOKです!

大事なのは、「主体性があります」と書くのではなく、主体性が感じられるエピソードを具体的に説明し、それにより採用担当者に「○○さんは主体性があるタイプなんだな」と感じてもらうことです。

アピールしたいことを自分から言うだけでなく、採用担当者に感じてもらう、それがポイントです。

また、就活では自己PR・ガクチカ・困難を乗り越えた経験など複数の質問をされると思いますが、アピールすることの「一貫性」を意識することも大事です。

Q 「ガクチカ」を盛らなくてもいいって本当ですか?

採用担当者により伝わりやすくなると思えば、少しくらい盛ってもいいですし(笑)、無理して盛る必要もありません。

ガクチカでは、何かしらの「結果」を出していないとダメ、「達成」していないとアピールにならないと思っている人が多いようですが、決してそんなことはありません。

目標に向かってひたむきに頑張った経験はそれだけで十分に素晴らしいことです。思うような「結果」を残せていなくても大丈夫。だって、実際に働きだしてみれば上手くいかないことの方が圧倒的に多いのです。

苦しくても、上手くいかなくても、腐らずに前向きに頑張れること、その小さな努力の積み重ねがいつか大きな成果につながることを知っていること、これこそが大きなアピールポイントです。
<体験談お寄せください> 新企画「就活しんどかったけど……」では、コロナ禍で変化もあった就活の「いま」を見つめ直し、よりよいあり方を探っていきます。

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