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#14 #就活しんどかったけど…
「人格否定のよう…」就活での挫折、学生3割「人生で最もショック」
2024年卒業予定の学生に、就職情報会社が調査をしました
2024年3月卒業予定の大学生・大学院生を対象にマイナビが行った活動実態調査(9月24〜30日、有効回答数1837人)で、就活中の挫折・失敗体験について、約80%が「ショックだった」と感じていることが分かりました。
程度については、「人生の中で最もショック」が6.8%、「人生の中でも上位に入るショック」が22.5%という結果でした。
一方、ショックな経験だったとしつつも、「これまでの人生での挫折・失敗と同程度」が25.1%、「これまでの人生での挫折・失敗と比べると小さなもの」が26.7%で、「就職活動において挫折・失敗を経験したことはない」と答えた学生も19.0%いました。
就職活動での挫折・失敗で特に多かったのは、面接です。「1次・2次面接(人事・現場社員との面接)」が 53.8%、「最終面接(役員・社長面接)」が33.5%と続きました。
自己分析やエントリーシート(ES)の提出、筆記試験・適性検査など面接に進む前の段階で挫折・失敗をしたのは、それぞれ約20%でした。
自由記述では、具体的な挫折・失敗経験も寄せられました。
「面接官からいい反応をもらえたのに不合格になったこと。一生立ち直れる気がしなかったので、初めて自分のことで他人を頼ってキャリアセンターの人に相談しに行った」(文系女性)
「面接という人柄を見られる場面で落とされる事がつらかったです。 面接に落ちると自分の人格を否定されたような気分になり、実際にそれに近いことを言われることもありました。特に最終面接まで行って落とされた時は掛けた時間も相まってショックが大きかったです」(理系男性)
「本気で入社したいと思い、使った時間と労力と気持ちが返信一つで無に帰したときのやるせなさ。受験勉強と違い、どんなに頑張ってもどうしようもない相性がある」(理系女性)
「エントリーシートを何枚か出しても、その先の選考につながることがなかった時、面接では予想外の質問に回答がしどろもどろになった時、キャリア支援センターの方に『一からやり直せ』と言われた時、どれもが初めて味わった苦しい体験でした」(文系男性)
2024年卒の大学生は、入学時から新型コロナウイルスによる影響でサークル活動や部活動が制限されていました。そのため、「ガクチカ(学生時代に力を入れていたこと)」に書けることがなかったと感じる人も多いようです。
自由記述には、次のようなコメントもありました。
「エントリーシートでなかなかうまく文章が書けない、自分の言いたいことをうまく文章にできない、授業・研究以外のエピソードが充実していなくてエントリーシートの内容が授業・研究のエピソードばっかりになってしまう」(理系男性)
2024年卒の学生を対象にマイナビが3月に行った調査では、「ガクチカ不足を感じている」点は「サークル活動」が43.0%で、2023年卒の大学生に比べ7.4ポイント低い結果となりました。
挫折や失敗を経験しても、就職を希望する学生としては次に向けて気持ちを切り替えなければいけません。
9月の調査では、挫折・失敗を乗り越え、気持ちを切り替えた方法についても回答が寄せられました。
「ESは社会人の方にしっかりと添削してもらい、SPIはひたすら勉強して自信をつけました」(理系女性)
「一度就職活動から離れるのが自分にとっては有効だった(少しの間就職活動を全くしない、一旦忘れる)」(文系女性)
「失敗を分析して次の企業に意識を向ける事で落ちた企業のことを忘れるようにしていました。むしろ、その会社よりも大きい規模の会社に就職することで見返してやるというマインドで頑張りました」(理系男性)
「就職活動を頑張っている自分のために、1つの選考を進むごとに自分で自分にご褒美を買うようにした。そこで買ったものを見返すたび、私を評価してくれる人がいたのだと思い出し、モチベーションの維持につながった」(文系女性)
「落ち込んでいても仕方ないので、他の企業で自分のやりたい事、それに近いものを探し、とにかく選考を続けた。業界研究を突き詰めると、第一志望以外にも良さそうな会社はいっぱいあることに気づき、そこの説明会に参加、選考を受けて、無事に内定を頂いた」(文系男性)
9月末時点での内々定率は86.5%。そのうち10%はまだ就活を続けるとしています。
調査を担当した同社キャリアリサーチラボ研究員の長谷川洋介さんは、30%近い学生が就活中の挫折体験を「人生の中で大きなショック」と感じる心境について、「希望していた企業から不採用の連絡をもらうと、どうしても落ち込んでしまう」と理解を示します。
しかし、面接の合否は「自分自身の資質や人格の問題ではありません。自分なりの方法で気持ちを切り替えてもらいたいと思います」と呼びかけます。
10月以降も就活を続ける学生に、「内々定を得る自信があるか」を問う設問では、すでに内々定が出ている学生の半分が「ある」と答えたのに対し、内々定のない学生では18.7%にとどまりました。
長谷川さんは、「自分ひとりでやっていたという人は、家族や友人、大学のキャリアセンターなど、第三者の視点を採り入れてみると次のステップに進めることがあります。ハローワークやジョブカフェなど、大学を離れてみるのもいいかもしれません」とアドバイスします。
実際、一度は挫折したものの、第三者に相談して乗り越えたという学生からの意見もありました。
一方、就活中に挫折を経験することは、今後のキャリアにもつながってくると長谷川さんはいいます。
「挫折や失敗と向き合い、自分なりに克服するサイクルは今後社会に出ていくうえで欠かせないもので、社会人として成長するための貴重な第一歩であるとも言えます。面接でうまくいかなかったということは、視点を変えるとマッチしなかった会社に行かずに済んだとも考えられます」
「挫折・失敗の経験を次のステップに生かす気持ちを大切にしてもらいたいです」
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