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#32 #就活しんどかったけど…
「地方転勤なし」「土日祝休み」アピールする企業 25卒就職説明会
2025年卒の就活が本格的にスタートしました
3月1日、2025年春に卒業予定の学生を対象とした会社説明会が、政府主導の就職活動ルール上で「解禁」されました。横浜市で開かれた合同会社説明会では、企業のブースに「年間休日120日」「男性育休取得推奨」「モバイル機器貸与」といった働き方や福利厚生に関する言葉が並んでいました。
1日、横浜市西区のパシフィコ横浜で開かれた就職情報会社マイナビ主催の合同会社説明会。約140社が出展し、1400人を超える学生が参加しました。
都内の私立大学に通う3年の女性は「今まで何もしてこなくて、今日が一発目。何があるか分からない状態で来ました。自分に合う企業があるか、自分の未来が見えるか不安です」と話します。
企業の話を聞き、これまで意識していなかった営業職に興味が湧いたそうです。
東京理科大学3年の男性は、昨夏IT系企業のインターンシップに参加しましたが、「IT系の企業が実際におもしろそうと思えるか再確認するため」今回の説明会に参加しました。
「あまり興味をもっていなかった業界や聞いたことのない企業でも、合同説明会だと企業側から声をかけてくれるのでありがたいです」
エントリーシートに書く「志望動機」の参考になるように、会社への理解を深めたいと話していました。
学生優位の「売り手市場」が続いている新卒採用。合同会社説明会のブースでは、「年間休日120日」「男性育休取得推奨」「モバイル機器貸与」といった働き方や福利厚生をアピールする企業もありました。
トヨタレンタリース神奈川のブースでは、「カーリース 土日祝休み」「(子どもが)小学校6年生まで時短勤務」などと掲示していました。
担当者は「いろいろ制度はあるのにこれまでアピールしておらず、今年から出すようにしました」と話します。以前から福利厚生について学生に聞かれることが多かったそうです。
真夏の炎天下で洗車したり、営業活動をしたりするため、「夏季飲み物支給」というユニークな制度もあるといいます。
ビルのメンテナンスなどを担う小田急ビルサービスのブースには、「地方への転勤なし」「【勤務地】神奈川・東京」という掲示がありました。
数年前からアピールしているといい、担当者は「近隣で働きたいという学生が多いので、メリットとして感じてもらえれば」と話します。
「ビルメンテナンス業界はあまり学生さんに知られていないと思いますが、弊社は働く上での福利厚生が整っていると知っていただきたいです」
25卒の学生を対象にしたマイナビの調査によると、「応募時に『最初の勤務地』が限定されていると、応募意欲が高まるか」という質問に対し、「とても高まる」が30.4%、「他の条件によるが、多少は応募意欲が高まると思う」が47.6%でした。
新卒採用について、マイナビ編集長の高橋誠人さんは「以前は企業が待っていて、学生が応募してくるというのが一般的でしたが、今は企業が学生の価値観や興味関心に合わせた情報発信をいかに細かくやっていくかが一つポイントになる」と話します。
一方、24卒までは2年連続で「採用予定数を『増やす』」と回答する企業が増えていましたが、25年卒は減少したといい、「新卒採用のマーケットも頭打ちになっている」現状があるそうです。
学生に向けては、「人生100年時代では就職してから50年ほど働くことになります。売り手市場で十分求人はありますが、『ファーストキャリア』という考え方で就職先を見つけることが大切です」と話します。
また、「求人があるとはいえ、企業側が通年でずっと採用活動をしているかというと、次の年次の採用活動もあるので余裕は持ちすぎない方がいいかもしれません。企業の動きを把握しながら、しっかり準備をして期間を区切って活動することも重要です」としています。
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