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#50 #就活しんどかったけど…
「退職金がない」親からストップ…就活で「オヤカク」する企業の狙い
「保護者の意見を重視する学生多い」と考える企業も
新卒の就職活動で、企業が何らかの形で内定者の親に内定承諾の確認を取る「オヤカク」。就職情報会社の調査で、約1割の企業が「学生を通じて保護者の意向を確認している」ことが分かりました。「内定辞退の防止」のために実施する企業が多いものの、学生側が「保護者の意見を重視」する傾向があると感じる企業も一定数いるようです。
学生向けの就活サイトを運営する「マイナビ」が6月、2218社を対象に行った調査によると、いわゆる「オヤカク」にあたる、「学生を通じて保護者の意向を確認している」が13.5%、「学生を通じて保護者の内定同意を取り付ける」が2.9%でした。
オヤカクの狙いについて複数回答で尋ねると、最も多かったのは「内定辞退対策」(47.2%)。続いて「保護者の意見を重視する学生が多いと感じる」(44.0%)となりました。
企業の採用担当者に「保護者の意見を重視する学生が多いと感じる」エピソードを尋ねたところ、次のような回答があったといいます。
「退職金が無いことに対して、ストップがかかった。今やそういう会社は増えているが、親世代には浸透していない象徴のようなエピソードに思った」(建設業)
「本人の意志と反して親に反対されたので辞退しますと言われたことがある。辞退の理由に親が使われているだけかもしれないが、最終決定権が親にある学生も珍しくない」(製造業)
「『両親から全国転勤のある会社への入社を反対された』という理由で辞退へとつながった」(サービス・インフラ)
「地元に就職してほしいという親御さんの意見を汲(く)み、泣きながら辞退の電話をしてきた学生がいた」(製造業)
調査を担当したマイナビキャリアリサーチラボ研究員の長谷川洋介さんは、「学生の保護者に対してアプローチするなかで、保護者の意向や価値観とのすり合わせに難しさを感じる企業もあるようです」と総括します。
一方で、「オヤカク」とは言えないものの、保護者へのアプローチとして「保護者向け資料を送付している」(5.2%)、「保護者向け説明会を実施している」(1.1%)企業もありました。
保護者向けのアプローチをしていないと答えた企業は72.5%でした。
「内定辞退対策」のひとつとして考えられているオヤカクですが、企業が実施している割合は高くなく、基本は内定を出した学生本人へのものが多いようです。
マイナビの6月の調査では、2025年卒の学生本人への内定辞退対策として最も多かったのは「内定者懇親会(食事会等)」(67.8%)。次いで「定期的なメール連絡」(39.0%)、「内々定式」(35.2%)、「人事との面談」(32.8%)、「社員との座談会」(32.1%)という結果になりました。
2024年卒で効果があったものとしても、「内定者懇親会(食事会等)」が最多の56.4%でした。
マイナビキャリアリサーチラボの長谷川さんは、「内定辞退対策としては、懇親会や座談会など、内定者本人と企業双方向のコミュニケーションが生まれやすいものが主軸となっています。人事側のマンパワー不足がいわれるなかで、企業としても優先順位をつけなければいけません」と話します。
内定を出した学生の保護者に対して企業があいさつや連絡をすることは、バブル期にもありました。現在と同じく「売り手市場」と言われ、企業が採用や内定者の「囲い込み」に苦労していた時代です。
調査では多くの企業が「オヤカク」をしていませんでしたが、長谷川さんは、近年メディアでオヤカクやオヤオリ(保護者・親向けのオリエンテーション)が注目されるようになったことで、触発される企業もあるとみています。
「人事担当のマンパワーをどこに割くかは分かりませんが、今後も若年層の人口は減り、売り手市場は加速して採用難になっていきます。引き続き保護者へのアプローチが選択肢として上がってくることは考えられます」と指摘します。
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