板橋区にある歩道橋。三又になっている形状のものは珍しくありませんが、よく見ると、一つの階段を降りた先がガードレールで塞がれています。完全にではないので、出るには出られそうですが……。ネットでも話題になるこの歩道橋、一体どうやって出るのが正解なのでしょう。そもそも、何のためにこのような形状になっているのでしょう。板橋区、東京都建設局を取材しました。(withnews編集部・朽木誠一郎)
東京都板橋区の都営地下鉄三田線蓮根駅付近を歩いていると出くわす「交通公園前歩道橋」。東西に走る都道・高島通りに架かり、ごく普通に人々が行き交う、なんの変哲もない歩道橋に見えます。
しかし、その南側の階段をよく見ると、どこか違和感が──。道路中央のガードレールに囲まれた“島”に降りる構造になっており、出口がわかりません。ガードレールの間に隙間はありますが、横断歩道のない場所の道路横断になります。これ、どうやって出るのが正解なのでしょうか。
この歩道橋は「RPGなら宝箱ありそう」などとネットでも何度か話題になっています。一見、行き止まりの場所には、確かに宝箱でも置かれていないと、その構造の理由がわからないという意見は共感できるものです。
まず、板橋区を取材しました。すると、気になる事実が。実は、この“島”がある道路は区道ですが、“島”の部分は区道ではなく、“都道”扱いとのこと。区の管轄ではないため、詳しいことはわからないという回答でした。
そこで、東京都の建設局を取材しました。同局の担当者によると、この歩道橋が設置されたのは1972年。しかし、このような形状になった経緯は不明ということでした。
一部報道で「南側の歩道の幅が狭いため、幅の広い区道の中央部に設置された」とされたことがありましたが、同局としての正式見解ではないそうです。
ただし、“脱出”ルートについては、実は推奨されるものがあります。南側からだけ見ていると盲点になりますが、踊り場でUターンして北側へ降りると、その階段が横断歩道につながっているのです。
横断歩道を利用した方が、安全に通行することができるのは言わずもがな。高島通りに降りるためであれば、これが最短のルートです。
一方、南側にある板橋区立城北交通公園方面に向かうとき、もっとも安全なのは一度、横断歩道を経由して道路を横断してから、南側の道路の歩道を利用するルート。しかし、これは微妙な遠回りになります。
取材のために現地を訪れると、ほとんどの人がそのまま、ガードレールの隙間を通り、歩道橋のない道路を横断していました。車両等の通行がないか、十分な注意が必要です。
50年前のことで、今とは歩道橋設置についての考え方も違っていたことがうかがえるこの歩道橋。事故がないよう、くれぐれも安全を意識したいものです。