区道の中に“都道”扱いの島

しかし、その南側の階段をよく見ると、どこか違和感が──。道路中央のガードレールに囲まれた“島”に降りる構造になっており、出口がわかりません。ガードレールの間に隙間はありますが、横断歩道のない場所の道路横断になります。これ、どうやって出るのが正解なのでしょうか。

まず、板橋区を取材しました。すると、気になる事実が。実は、この“島”がある道路は区道ですが、“島”の部分は区道ではなく、“都道”扱いとのこと。区の管轄ではないため、詳しいことはわからないという回答でした。
そこで、東京都の建設局を取材しました。同局の担当者によると、この歩道橋が設置されたのは1972年。しかし、このような形状になった経緯は不明ということでした。
一部報道で「南側の歩道の幅が狭いため、幅の広い区道の中央部に設置された」とされたことがありましたが、同局としての正式見解ではないそうです。
ただし、“脱出”ルートについては、実は推奨されるものがあります。南側からだけ見ていると盲点になりますが、踊り場でUターンして北側へ降りると、その階段が横断歩道につながっているのです。
横断歩道を利用した方が、安全に通行することができるのは言わずもがな。高島通りに降りるためであれば、これが最短のルートです。

取材のために現地を訪れると、ほとんどの人がそのまま、ガードレールの隙間を通り、歩道橋のない道路を横断していました。車両等の通行がないか、十分な注意が必要です。
50年前のことで、今とは歩道橋設置についての考え方も違っていたことがうかがえるこの歩道橋。事故がないよう、くれぐれも安全を意識したいものです。
【連載】#ふしぎなたてもの
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