twitter facebook hatebu line LINE! 連載 2022/06/06 みんなの感想 #12 #ふしぎなたてもの 「絶妙に異界感」「現実味が狂う」ドラマで話題、実在の〝3本の塔〟 2021年12月7日、長崎県佐世保市、朝日新聞社ヘリから撮影された「旧佐世保無線電信所」(針尾送信所) 出典: 朝日新聞社 朽木誠一郎 朝日新聞デジタル企画報道部記者 長崎 #ふしぎなたてもの NHKドラマ『17才の帝国』で作中に度々登場し、物語の象徴とも言える“3本の塔”が、実在するものであることがネット上で話題を呼んでいます。実はこれ、太平洋戦争で「ニイタカヤマノボレ 一二〇八」の暗号電文を中継したとされる「旧佐世保無線電信所」(針尾送信所)。2022年に完成から100年を迎えたこの施設について、長崎県と長崎県観光連盟に話を聞きました。(withnews編集部・朽木誠一郎) 【PR】進む「障害開示」研究 心のバリアフリーを進めるために大事なこと 戦時中の旧海軍の無線関連施設 6月4日に最終回を迎えたNHKドラマ『17才の帝国』。作中では3本の巨大な塔が象徴的に度々、登場します。この塔がCGや合成でなく、実在するものであることに、ネットでは「絶妙に異界感」「現実味が狂う」など、驚きの声が多く聞かれました。 ロケ地として選ばれたのは、長崎県佐世保市。そして“3本の塔”とは、太平洋戦争で真珠湾攻撃を命じる「ニイタカヤマノボレ 一二〇八」の暗号電文を中継したとされる、同市の「旧佐世保無線電信所」(針尾送信所)です。長崎県観光振興課と長崎県観光連盟に話を聞きました。 鉄筋コンクリート製の3本の無線塔は、正三角形を描いて並び、1本の高さは136m。当時、主流だった長波を遠くに飛ばすには、高さが必要だったためです。 空に向かってそびえ立つ高さ136メートルの無線塔=長崎県佐世保市針尾中町 出典: 朝日新聞社 完成は1922年。2022年に100周年を迎えました。同県・同連盟によれば、旧海軍が1918年から約4年・総工費(現在の価値で)250億円をかけて建設したそうです。板状のコンクリートを一周、ドーナツ状に結合したものを、一段ずつ積み上げて塔ができています。 千葉県や台湾にあった旧海軍の無線関連施設は戦後、壊されています。今では唯一、残った無線塔ということでした。 戦後も海上保安庁や海上自衛隊が使用し、1997年まで現役でした。解体が検討されたこともありましたが、地元で“歴史の証人”として保存を求める運動が広がり、撤回された経緯があります。2013年には国の重要文化財に指定されました。 同連盟の担当者は「ドラマをきっかけにSNSで大きな反響を頂いています」とし、「すでにご存知の方には懐かしい風景、目新しい方には驚きとともに、長崎の魅力が多くの人に伝わったのでは」と話しました。 【連載】#ふしぎなたてもの 何の気なしに通り過ぎてしまう風景の中にある #ふしぎなたてもの 。フカボリしてみると、そこには好奇心をくすぐる由縁が隠れていることも。よく見ると「これなんだ?」と感じる建物たちを紹介します。 “異界”への通り道? 塔内に入り136mの頂を仰ぐと… 1/6枚 withnews