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連載

#10 #ふしぎなたてもの

「空が燃えてる」炎を噴き出す超巨大煙突〝フレアスタック〟の正体

写真は2006年3月、三重県四日市市で観察されたフレアスタック
写真は2006年3月、三重県四日市市で観察されたフレアスタック 出典: 朝日新聞社
5月19日以降、川崎方面の「空が燃えている」などとして、SNSに火事を疑う複数の投稿がなされました。一方、近隣住民からは「川崎あるある」という反応も。実はこれ、日本各地の石油コンビナート地帯では日常的な“フレアスタック”による光景です。誤解して消防に通報されることもあるというこの仕組みについて、川崎市消防局に話を聞きました。(withnews編集部・朽木誠一郎)
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ガス無毒化の仕組み、勘違いで通報も

2014年9月、山口県周南市で観察されたフレアスタック
2014年9月、山口県周南市で観察されたフレアスタック 出典: 朝日新聞社
5月19日夜、川崎方面の空の様子を見た複数のSNSユーザーらが「川崎市側が真っ赤」「火事じゃないといいけど​​」などと投稿。以降も断続的に「空が燃えている」「火災では」などと訝しむ投稿が続きました。

そうした投稿に対して、近隣住民や事情を知るSNSユーザーらからは「火事ではなくフレアスタック」「川崎あるある」などとレスポンスが。どうやら、馴染みのある光景のようです。では、この“フレアスタック”とは何なのでしょう。神奈川県川崎市消防局に話を聞きました。

まず、担当者によると、5月19日およびそれ以降(22日12時時点まで)、川崎市において、時間や規模、方角などの条件が該当するような火災はなかったとのこと。

空の様子の変化の理由として考えられるのがフレアスタックです。同局予防部危険物課はフレアスタックを以下のように説明しています。

「製油所などでは、装置から出る余分なガスや廃ガスを大気に放出する際、無害化するためフレアスタック(煙突)の先端で燃やしています」「このフレアは、火災と見間違い119番通報されることもありますが、正常な燃焼で、心配はありません」

つまり、製油所ではこうしたガスを無害化のためにあえて高い煙突の上で燃やしており、その際に出る炎が遠くから見ると火事だと誤解されることがあるようです。​​同担当者も「やはり時々、火災ではないかと通報されることがある」とします。

こうした騒動はこれまでにも各地の石油化学コンビナートで発生しています。千葉では2021年2月、22年3月の地震後、​​フレアスタックのフレアが通常より高く上がったことで、消防局に複数の通報が寄せられました。

地震や停電時は操業を一時停止するため、通常より多くの余剰ガスが発生し、大きな炎が出ることがあると言います。

日本各地で観察される、フレアスタックにより赤くなる空。ライフラインの安全管理により生活が成り立っていることを、意識するきっかけになる光景だと考えることもできそうです。
 

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