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北朝鮮で見た「あり得ない光景」それってスマホ? 電気自動車まで!

平壌市内でバスを待つ市民=2018年9月7日、峯村健司撮影
平壌市内でバスを待つ市民=2018年9月7日、峯村健司撮影

目次

 核・ミサイル問題で北朝鮮は国際社会から制裁をかけられています。ワシントンで特派員をしていた時に「制裁で北朝鮮経済は悪くなっている」「市民はエネルギーや食糧不足で苦しんでいる」という分析をアメリカの当局者から聞きました。ところが、私が訪ねた北朝鮮で見たのは、スマホをいじりながらバスを待つ人たちや、街中をさっそうと走る電気自転車でした。引率した北朝鮮の外務省職員は、得意げな顔をしていました。(朝日新聞国際報道部・峯村健司)

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平壌国際空港のターミナルビル。2017年8月、この近くから中距離弾道ミサイルが発射されて日本上空を越えた=2018年9月6日、峯村健司撮影
平壌国際空港のターミナルビル。2017年8月、この近くから中距離弾道ミサイルが発射されて日本上空を越えた=2018年9月6日、峯村健司撮影

国境越えた興奮と不安

「当機はただ今、鴨緑江の上を飛行しています」
 
 機内食のハンバーガーをほおばっていると、中朝国境を流れる鴨緑江を越えたというアナウンスがありました。胸の高鳴りと同時に不安も頭によぎりました。昨年6月には北朝鮮に拘束された米大学生が意識不明のまま解放され、今年8月にも日本人男性が拘束されていたからです。

 そうこう考えているうちに、機体は頭を下げ始めました。一面、田畑に囲まれた平壌国際空港に着陸し、ガラス張りの真新しいターミナルに横付けされたました。2015年に新たにできたのだそうです。おしゃれな免税店もあります。

平壌国際空港の免税店=2017年、ロイター
平壌国際空港の免税店=2017年、ロイター

「制裁なんて関係ない」

 空港を出発する時には、日が落ち始めていました。

 小麦やトウモロコシの畑を抜けて、数十分間、市街地に車を走らせました。バスや乗用車が行き交い、タクシーも走っています。
 
 横を電気自転車が通り抜けていきました。ガソリンスタンドにも車が列をつくっています。バスを待っている人も、スマートフォンをいじっています。

平壌市内のガソリンスタンド。深夜まで営業していた=2018年9月7日、峯村健司撮影
平壌市内のガソリンスタンド。深夜まで営業していた=2018年9月7日、峯村健司撮影

「外国メディアの報道と実際に見てみるのとはだいぶ違うでしょう。我が国の発展ぶりをわかってもらえると思います。国際社会による経済制裁の影響もありません」

 案内人兼通訳の北朝鮮外務省の当局者は、私の心の中を見透かすように胸を張りながらこう言いました。夕闇が広がると、高層マンションには明かりがともり、モニュメントのライトアップが始まりました。

平壌の「未来科学者通り」に新しくできた高層マンション群=2018年9月7日、峯村健司撮影
平壌の「未来科学者通り」に新しくできた高層マンション群=2018年9月7日、峯村健司撮影

「世界一醜い建物」

 市中心部にピラミッドのような巨大な建物が見えてきました。全面ガラス張りで最上階付近には北朝鮮国旗が映し出されています。他の建物よりも高さが突出しており、奇抜なデザインには度肝を抜かれます。

 建設中の「柳京ホテル」です。105階建てで、高さ約320メートルを誇ります。1988年のソウル五輪に対抗した北朝鮮が翌89年に平壌で開く世界青年学生祭典に間に合わせるため、87年に起工されました。

 しかし、その後資金面の問題などから建設を中断し、30年過ぎても完成しておらず、「世界一醜い建物」(米CNN)とも言われています。まだ建設は続けられているそうですが、完成はいつになるのでしょうか。

建設中の「柳京ホテル」=2018年9月11日、峯村健司撮影
建設中の「柳京ホテル」=2018年9月11日、峯村健司撮影

 昨年、北朝鮮南部を視察した中国の研究者は「投資が平壌に集中し、農村の発展は遅れているようだ」と話していました。その首都ですらインフラ整備を完成させるにはまだまだ時間と資金がかかるようです。

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