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北朝鮮行き飛行機に乗ってみた 恐怖の「1つ星」ランクの機内食は…
ミサイル、処刑、貧困、制裁、収容所……私がワシントンと北京で特派員をしていた時、北朝鮮に関して書いてきた記事は、こうした否定的な単語をよく使ってきました。暗くて恐ろしいといったイメージがまとわりつきます。9月上旬、その北朝鮮を初めて訪れることになりました。6日間かけて取材を進めると、これまでの想像とは絶する光景を目の当たりにしました。(朝日新聞国際報道部・峯村健司)
9月6日、北京国際空港第2ターミナルにやってきました。駐機場には見慣れた機体に赤い線が入った飛行機が止まっていました。北朝鮮国営の高麗航空機です。特派員時代、平壌から飛んでくるたび、ターミナルの外で北朝鮮要人が出入りするのを何時間も待っていました。
今回乗るのはロシア製の「ツポレフ204」です。周りに止まっているボーイングやエアバスの大型機と比べると、だいぶ見劣ります。英航空調査会社は、機体の古さなどから、高麗航空に5段階で最下位の「1つ星」をつけてもいます。
「大丈夫だろうか」。つい不安になって携帯電話の検索で調べました。高麗航空の中では新しく1990年代に製造されたもので、「墜落事故も起きていない」とのことでした。足取りが少し軽くなって機内に乗り込みました。
女性客室乗務員が笑顔で出迎えてくれました。着ている紺色のワンピースは、タンクトップでひざより少し短いスカート姿でした。日本や欧米の乗務員よりも露出が高く、およそ機材からは想像できないスタイルです。
韓国メディアによると、2013年に制服が新しくなったようです。空港を視察した金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長が「客室乗務員の服装も時代の要求に基づくべきだ」として、制服やサービスを良くするように指示したそうです。
でも、胸には金日成(キム・イルソン)主席と金正日(キム・ジョンイル)総書記のバッジはしっかりとつけられていました。
機内のテレビでは北朝鮮の歌が大音量で流れています。しばらくすると、先ほどの客室乗務員がやってきました。
「何を飲みますか」。机の上に少し小ぶりのハンバーガーを置くと尋ねてきました。選べるのは、水のほかブドウとオレンジの炭酸飲料でした。
私はブドウを選びましたが、味の薄い「ファンタ」みたいでした。ハンバーガーの方は何の肉かよくわかりませんでしたが、てりやき風でまずまずの味でした。
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