閉

これフカボリしてほしい

リクエストする

閉

2018年11月05日

「プログラミングで生きる」 不登校の僕が、やっぱり大学へ行く理由

  • 11189

ずっと不登校だった青年が、プログラミングを始めたことを機に「学校で学ぶ必要」を見いだすことができました

ずっと不登校だった青年が、プログラミングを始めたことを機に「学校で学ぶ必要」を見いだすことができました

 学校で学ぶ必要はあるのか。小学校低学年からずっと不登校だった18歳の青年が、プログラミングを始めたことを機に、「学校で学ぶ必要」を見いだし、今春、見事、慶応大学に入学しました。いまも卒業をめざして、苦手な科目にも取り組みながら通っています。(朝日新聞社会部記者・宮坂麻子)

「集団授業が無理だった」

 「大学へ行こう!」――。

 小3からずっと不登校だった大野智葵(ともき)さん(18)が、初めて「学校で学ぶ必要」を感じたのは、高3のことでした。コンピュータープログラミングが必修の広域通信制(単位制)「コードアカデミー高校」(本部・長野県上田市)で学び、仲間から刺激を受けたことがきっかけです。慶応大環境情報学部に合格し、今春から下宿して通っています。

 埼玉県の3人きょうだいの長男。小1で不登校ぎみになり、小2は登校できましたが、小3からはまた不登校になりました。「特別な理由はない。素のまま、周りにめっちゃ話しかけて、うざいと思われていたかもしれないけど」と、大野さんは話します。

 勉強は嫌いではありません。地図や方角が苦手で、「これ」とか「あれ」とか指示語が多い会話や、たわいもない会話も得意ではありません。でも、好きなことへの集中力は負けません。小学校低学年で夢中になった現代版ベーゴマ「ベイブレード」は、200種ぐらいのパーツの名前や攻撃力もすべて暗記してしまったほどです。

 不登校が続いた小5の時、中学受験をしてリセットしようと、進学塾に通い始めました。でも「集団授業はやっぱり無理だった」と言います。受験もあきらめたころ、プログラミングに出会いました。

パソコンに向かいコードを打つ大野智葵さん=2018年5月

パソコンに向かいコードを打つ大野智葵さん=2018年5月

「プログラミングで生きるしかない」

 実は、2、3歳から家にある古いパソコンを触っていました。小学校低学年では友達とロボット教室に通い、ロボット大会で優勝したこともありました。小6の春、通い始めたのが近くにできたプログラミング教室「TENTO(テント)」です。面白くてのめりこみました。それが功を奏してか、小6の夏に再度、中学受験をめざす気になり、個別指導の塾へ通い始めました。算数でカレンダーの問題が出るとすぐ解けるプログラムを組むなどしながら学び、見事、有名私立中高一貫校に入学しました。

 ですが、しばらくするとまた登校できなくなりました。「もう学校は無理なんだと思って、絶望しました」

 家でプログラミングをして、ご飯を食べ、寝る日々。プログラミング教室は通い続けましたが、学校には登校できませんでした。それでも、私立中学は卒業証書をくれました。「プログラミングで生きるしかないと思った」

 母が見つけてきたのが、「コードアカデミー高校」です。長野県周辺で私立佐久長聖中学・高校や、予備校、多数の幼稚園などを経営する「信学会」グループが、2014年春に開校しました。プログラミングを重視しており、約5割が首都圏の生徒と言います。

有名私立中高一貫校に入学しましたが、しばらくすると登校できなくなりました(画像はイメージです)

有名私立中高一貫校に入学しましたが、しばらくすると登校できなくなりました(画像はイメージです)

出典:https://pixta.jp/

専門知識のなさを痛感

 入学後、自分よりも好きなことに生きる「とがった仲間」が、たくさんいることに驚きました。文章を書くのが好きで文章で収入を得ている人。仮想通貨で稼ぐ人。企業でバーチャルホームロボット「ゲートボックス」の開発に関わる先輩……。大野さん自身も企業のインターンでエンジニアとして働き始め、そこで衝撃を受けました。

 エンジニアの会話についていけなかったのです。プログラミング教室のOB組織を立ち上げ、(プログラムの開発などを競う)ハッカソンの大会でも優勝していました。「自分はできる」と思っていたのに……。ネットやセキュリティーの根本的な専門知識のなさを痛感しました。そして思いました。「やっぱり大学へ行こう」

 高校の先生たちも背中を押してくれました。高3では、独創的なアイデアや卓越した技術を持つ生徒をさらに育てる「未踏ジュニア」に選ばれ、ビジュアルプログラミング言語の開発もしました。そうした経歴を持って慶応大AO入試に挑みました。

 合格発表の日、初めて父親が号泣する姿を見ました。

ビジュアルプログラミング言語の開発もしました(画像はイメージです)

ビジュアルプログラミング言語の開発もしました(画像はイメージです)

出典:https://pixta.jp/

プログラミングのためなら、勉強する気になる

 いま、大学で講義を受けていると、「一方的に話す講義なら動画配信で十分なのに」と思うことがよくあります。一方で、教えあう少人数の授業は面白い。苦手な数学もプログラミングの技術を上げるためと思うと、勉強する気になります。

 コードアカデミー高校からは、昨春と今春で3人が慶応大に合格。現在約50人の後輩が学びます。成沢文男教頭(59)は言います。「大学がゴールではない。腕を磨き、どこでも仕事をして食べていける社会人になって欲しい」

【関連リンク】凸凹の輝く教育(朝日新聞デジタル)
何事も満遍なくできる子を評価しがちな学校や社会の中で、凸凹の輝く教育を探っていく連載です。

【お知らせ】トークイベントを開きます


10代のハッタツ・トーク!センパイ当事者3人の『ワタシ』的生き方

 11月10日(土)、発達障害がある10代の方々を対象にトークイベントを開催しました。

 発達障害の当事者であり、自分らしく生きていらっしゃる以下3名が、小中学校のころの生きづらさや今について語りました。

動画やSNSなどで発達障害について発信している 彩乃さん
15歳で「HORIZON LABO」を始めたコーヒー焙煎士 岩野響さん
NPO法人AVENGE OF MISFITS 代表理事 池田誠さん  

 「学校生活・友人関係がうまくいかない」「親とどうしても通じ合えない」「このまま生きていって、進路やその先の生活は大丈夫だろうか」など不安に思っている人のヒントになる話・共感できる話がたくさんあります。

 発達が気になる子どもの親向けポータルサイト「LITALICO発達ナビ」さまとの共催です。イベントの詳細は、発達ナビさまのサイトをご覧ください。

 イベントの様子は、ハッシュタグ「#ハッタツトーク」を付けてツイッターで発信しました。2019年5月ごろまで動画でもご覧いただけます。
 
ハッタツ・トーク!イベント動画はコチラ
 

 

 withnewsは4月から、生きづらさを抱える10代への企画「#withyou」を始めました。日本の若い人たちに届いてほしいと、「#きみとともに」もつけて発信していきます。以下のツイートボタンで、みなさんの生きづらさも聞かせてください。


みんなの「#withyou #きみとともに」を見る

 

いろんな相談先があります

・24時間こどもSOSダイヤル 0120-0-78310(なやみ言おう)
・こどものSOS相談窓口(文部科学省サイト
・いのち支える窓口一覧(自殺総合対策推進センターサイト

「ぼくはがっこうへいっていない」 不登校の子の気持ち、描いた漫画
前へ
漫画「学校へ行けない僕と9人の先生」より
次へ
1/12
前へ
次へ

もっと見る



コメント

あわせて読みたい

「明日、息子が家を出るんだ」父のバター干し芋 夜廻り猫が描く門出
「明日、息子が家を出るんだ」父のバター干し芋 夜廻り猫が描く門出
NEW
「サザエさんじゃんけん」戦いを挑み続ける...
「サザエさんじゃんけん」戦いを挑み続ける...
あのウィンナーの「中身」だけ販売! シャウエッセン新商品が話題に
あのウィンナーの「中身」だけ販売! シャウエッセン新商品が話題に
 全人類的に共通する愛おしさ! 赤ちゃんの謎行動集めた一冊
全人類的に共通する愛おしさ! 赤ちゃんの謎行動集めた一冊
髪の毛を失ったアイドル 「女の子やめなきゃ…」葛藤越え公表
髪の毛を失ったアイドル 「女の子やめなきゃ…」葛藤越え公表
原発の見える集落で「大字」集める歴史学者...
原発の見える集落で「大字」集める歴史学者...
万博開催で暮らしはどうなる?関西1位のマンション企業に聞いてみた
万博開催で暮らしはどうなる?関西1位のマンション企業に聞いてみた
PR
なんとしても奈良に泊まって! ストレート...
なんとしても奈良に泊まって! ストレート...
発達障害の二次障害とは?原因や症状、対応方法について詳しく解説!
発達障害の二次障害とは?原因や症状、対応方法について詳しく解説!
NEW
「食パン袋とめるアレ」、実は埼玉の名産品...
「食パン袋とめるアレ」、実は埼玉の名産品...
障害者の兄、隠し続けた葛藤 一緒に歩いた披露宴で出した答え
障害者の兄、隠し続けた葛藤 一緒に歩いた披露宴で出した答え
「数学で社会課題を解決する」 不思議な錯覚の世界
「数学で社会課題を解決する」 不思議な錯覚の世界
PR

人気

もっと見る