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芸人は「特技を持った方がいい」白衣の資格に挑戦 薬の登録販売者に

お笑いコンビ「キングマスク」の鮫島恭平さん

ドン・キホーテで販売登録者としてアルバイトをする、お笑いコンビ「キングマスク」の鮫島恭平さん=筆者撮影
ドン・キホーテで販売登録者としてアルバイトをする、お笑いコンビ「キングマスク」の鮫島恭平さん=筆者撮影

お笑いコンビ「キングマスク」の鮫島恭平さんは、芸人として活動しながら、一般用医薬品の販売やアドバイスができる登録販売者としても働いています。「芸人として特技を持った方がいい」と考えて取得した資格でしたが、実際に働いてみると意外な気づきがあったといいます。(ライター・安倍季実子)

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鮫島恭平:北海道出身。ラフィーネプロモーション所属。2009年に芸人デビューし、コロナ禍で一度引退したが、2022年に現在の相方・剣崎実さんとコンビ「キングマスク」を結成。登録販売者の資格を持ち、ドン・キホーテで週5日バイトをしながら、お笑いライブやYouTube配信などにも力を入れている

「白衣がかっっこいい」からスタート

はちゃめちゃなネタでライブをかき回すお笑いコンビ「キングマスク」。ともに芸歴15年を超える二人は、別のコンビで活動しつつも、仲のいい先輩後輩であり、良き飲み友達でした。

鮫島さんはコロナ禍で一度芸人を引退しましたが、剣崎さんとライブに出たいと思い、自分から声をかけて2022年にキングマスクを結成。現在はライブ出演やYouTube配信に力を入れています。

キングマスク(左:剣崎実さん、右:鮫島恭平さん)=ラフィーネプロモーション提供
キングマスク(左:剣崎実さん、右:鮫島恭平さん)=ラフィーネプロモーション提供

そんな鮫島さんは、ドン・キホーテで登録販売者としてアルバイトしています。

登録販売者とは、ドラッグストアなどで一般用医薬品の販売ができる資格。白衣を着て、お客さんに薬の説明をしたり、品出しをしたり、時には発注業務も担当しています。

鮫島さんは「15年ほど前に、マツモトキヨシでレジスタッフとしてバイトを始めて、2年目くらいの時に、白衣を着ている登録販売者がカッコいいなと思ったんです」と振り返ります。

「それに、芸人は特技を持っていた方がいいという話もよく聞いていたんで、登録販売者の資格を取ることにしました」

「月に1回、本社の研修に通いながら何とか試験に合格しました」と話す鮫島さん=筆者撮影
「月に1回、本社の研修に通いながら何とか試験に合格しました」と話す鮫島さん=筆者撮影

合格率は約40%。鮫島さんは2回目の試験で合格を勝ち取りました。

「なかには半年くらいの勉強で1回目の試験で受かる人もいると聞いていたので、落ちたときはショックでしたね。受験料を取り返したいというのもあって、2回目の時は半年前からマクドナルドとかに通って勉強を続けて、無事に受かりました」

外国人客で賑わうドンキでの日常

現在はドン・キホーテにうつり、週5日、朝6時から15時までの固定シフトで働いています。

月のバイト代は約20万円。早朝から働くことで、夜のライブに支障が出ない「理想的なスケジュール」だといいます。

「15時にバイトが終わって、帰宅後に剣崎さんと合流してライブ会場へ向かうことが多いです」

鮫島さんのバイト先の特徴は、訪日外国人のお客さんが多いことです。

「インバウンドのお客さんには、翻訳機を使って接客します。『風邪薬はどれ?』などの質問に、『この辺ですよ』『これが有名ですよ』といった案内をします」

よく売れるのは風邪薬や鎮痛剤、湿布など。日本の薬の信頼性は高く、免税店がある大型店舗には、これらを目当てに訪れる外国人も多いといいます。

さらに、鮫島さんの働く店舗は広々としたワンフロアなので、お店の端から端まで案内することもあるそう。

「ほしい商品の画像を次々と出してくるお客さんもいて、そういうときは一度、画像をすべて見せてもらって、売り場が近い商品からどんどん案内する、店内ツアーみたいなこともします」

インカムを使って、薬の場所や在庫の有無を伝える鮫島さん=筆者撮影
インカムを使って、薬の場所や在庫の有無を伝える鮫島さん=筆者撮影

さらにドン・キホーテでは、スタッフの案内連絡が専用インカムから絶え間なく聞こえてきます。

「レジや他の部門のスタッフから、『この薬はありますか?』『場所はどこですか?』と聞かれたら、基本的には実際にその場に行って案内します。他のお客さんの案内中や手が離せない場合は、スマホで商品場所の写真を撮って送ったりします」

登録販売者は人数が少ないこともあり、鮫島さんは常に店内を動き回っているそう。以前、万歩計をつけながらバイトをしたら、1日の歩数が2万歩を超えていたこともあったといいます。

「バイトを始めた時は体重60キロぐらいだったんですけど、今は54キロ。久しぶりに会う人には『病気か?』と心配されることもありますが、自分的にはちょうどいい体型になれたので満足しています」と笑います。

接客が好き、芸人活動でも「気づき」

今では一部商品の発注業務も任されています。

在庫数や季節や天候などを踏まえて発注数を決めますが、「去年の夏は、間違って経口補水液を大量に発注しちゃいました。周りの店舗にも協力してもらって、なんとか3ヶ月くらいで売り切りましたが、あの時はめちゃくちゃ焦りましたね」と苦笑します。

接客が一番好きだという鮫島さんは「どの風邪薬がいいか分からなくて迷っているお客さんに、それぞれの特徴を説明して、『なるほどね、お兄さんが勧める方を買います』と言ってもらえた時は、やっぱり嬉しいです」と語ります。

「外国のお客さんから感謝された時も、同じように嬉しくなります」と話す鮫島さん=筆者撮影
「外国のお客さんから感謝された時も、同じように嬉しくなります」と話す鮫島さん=筆者撮影

接客が好きな鮫島さんですが、芸人活動でも「気づき」があったといいます。

「キングマスク」は「M-1グランプリ」をはじめとした賞レースにも挑戦してきましたが、「僕らの芸風は賞レースにハマりにくいんだと気づきました。それに、僕自身もあまり技術はないし、今でも舞台で緊張するし……」と話します。

だんだんと賞レースよりも、相方の剣崎さんと目の前のお客さんを笑わせることの方が大事になっていることに気づいたと言います。

「人は人、自分は自分というか、無理にみんなと同じものを目指して進むよりも、自分に合ったペースで、自分たちの道を進むのもいいのかなと思うようになりました」

「剣崎さんとライブを続けていきたい」

鮫島さんにはキングマスク結成当時から持ち続けている夢があります。

「テレビのネタ番組に出たいです。あとは、ずっと剣崎さんとライブを続けたいです」

鮫島さんが相方に剣崎さんを選んだのは、その独特な面白さに魅了されたから。

「性格というか、芸風というか、とにかく人が面白いんです。昔から、爆笑問題やアンタッチャブルといった、めちゃくちゃな芸風の芸人が好きなので、剣崎さんに憧れている一面もあると思います」と分析します。

「だからこそ、剣崎さんの面白さをもっと多くの人に知ってほしいし、剣崎さんには絶対に売れてほしいという思いもあります」

相方と目の前のお客さんを笑わせ続けながら、自分たちらしいペースで夢をかなえていきたいと考えているそうです。

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