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前田敦子さんや高橋みなみさん…OGがAKB48の20周年ライブに

「根も葉もRumor」を披露する指原莉乃さん(前列右)、高橋みなみさん(同中央)、峯岸みなみさん(同左)=2025年12月6日、日本武道館、提供以外は松村北斗撮影
「根も葉もRumor」を披露する指原莉乃さん(前列右)、高橋みなみさん(同中央)、峯岸みなみさん(同左)=2025年12月6日、日本武道館、提供以外は松村北斗撮影

AKB48の20周年記念コンサートが12月5~7日、日本武道館(東京都千代田区)で開かれました。応援団長を務めた高橋みなみさん(34)をはじめ、卒業したOGメンバーたちが多数ステージに登場し、「青春」を思い出したなどと、かつてのファンの間でも大きな話題になりました。今回のステージでOGは何を伝え、若き現役メンバーたちに何をもたらしうるのか。印象的なシーンとともに振り返ります。

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OGたち、現役メンバーの激しいダンス曲も披露

筆者が最も鮮烈な印象を受けたのは2日目、6日夜のステージ終盤のシングルメドレーでOGメンバー8人が現役メンバーとともに披露した「根も葉もRumor」でした。

2021年発売のAKB48の楽曲で屈指の難易度といわれるダンスが特徴です。

左から、床に倒れ込む高橋さん、携帯酸素を用意する指原さん、ペットボトルを持つ小嶋陽菜さん=12月6日
左から、床に倒れ込む高橋さん、携帯酸素を用意する指原さん、ペットボトルを持つ小嶋陽菜さん=12月6日

OGで参加したのは高橋みなみさん、小嶋陽菜さん、指原莉乃さん、峯岸みなみさん、柏木由紀さん、大家志津香さん、北原里英さん、横山由依さん。

曲が終わると同時に、前列で踊りきったOGは床に倒れ込み、息も絶え絶え。高橋さんは指原さんが差し出した携帯酸素を口にし、小嶋さんはペットボトルの水を手にしました。

携帯酸素を吸入する高橋さん=12月6日
携帯酸素を吸入する高橋さん=12月6日

OGは全員30代(小嶋さん37歳、指原さん峯岸さんらは33歳)。2024年春に卒業した柏木由紀さん(34)はまだ時間がそれほどたっていませんが、大半は何年もアイドルのステージから離れたメンバーです。

一息つくと、それぞれ笑いを交えて苦労を振り返りました。

1歳の長女を子育て中の峯岸さんは「(本番に向けて)プレッシャーに絶えきれず、夜、部屋で泣きました」。

小嶋さんは「途中で(ステージから)はける練習してたけど、現役が頑張っていたので、頑張りました」。

指原さんは「個人的にスタジオを借りて個人練習しました」と明かし、前夜までダンスの動画を柏木さんに送って、「教えてほしい」と頼んだそうです。

終演後、高橋さんはSNSにこう記しました。

「現役のメンバーが3カ月基礎練から作り上げた楽曲と聞いていたので、卒業生は7月からそれぞれ練習を開始しました」「リスペクトを込めて必死に頑張ったこの期間は青春感あって楽しかった!!」

根も葉もRumorを披露するOGや現役メンバー
根も葉もRumorを披露するOGや現役メンバー

「現役の曲をリスペクトを込めてやりませんか?」

これは指原さんの発案だったそうです。

運営会社のリリースによると、8日の20周年特別記念公演前の一部メディアへの囲み取材で、この曲について質問された高橋さんは「さっしーからの提案もあって、現役メンバーの曲をリスペクトを持ってやろうと思って選びました」と説明しました。

泥臭くてもがむしゃらにやる。その先に、喜びがある。そんなメッセージが伝わるパフォーマンスでした。

歴代総監督による「愛しさのアクセル」のパフォーマンス=12月6日
歴代総監督による「愛しさのアクセル」のパフォーマンス=12月6日

前田敦子さん「AKBにもう一度力を貸してほしいと言われて…」

3日目の最終日はさらに有名なOGが続々と登場しました。

絶対的センターとして活躍した前田敦子さん(34)、前田さんのライバルであり「あつゆう」の絆で知られる大島優子さん(37)ら2期生も多数出演する豪華なステージでした。

AKB48が社会現象を巻き起こした全盛期をほうふつとさせるライブに、SNS上でも「まさに私の青春だった」「時の流れを忘れた」といった感想があふれました。

最終日のステージに登場した1期生。中央が前田敦子さん=©AKB48
最終日のステージに登場した1期生。中央が前田敦子さん=©AKB48

2005年のAKB48の立ち上げから関わり、初代劇場支配人などを務めた戸賀崎智信さんはこのステージを観覧しました。

「パワーをもらえてうれしくなった。上の世代が若いメンバーとともにステージに上がることが、どんなに大変か想像できるだけに、一人一人のがんばりが伝わってきた」と語ります。

波乗りかき氷を歌うOGの(右から)北原里英さん、大島優子さん、指原莉乃さん、横山由依さん=©AKB48
波乗りかき氷を歌うOGの(右から)北原里英さん、大島優子さん、指原莉乃さん、横山由依さん=©AKB48

そのうえで戸賀崎さんは今回のコンサートの意義についてこう語りました。

「設立当初、売れるかどうかもまったく分からないところから、積み上げていった彼女たちが、そのイズムを見せてくれた気がした。後輩たちに、背中で語ったということだと思う」

ライブの終盤のMCで、高橋さんと前田さんは、20周年記念コンサートにOGが出演することへの葛藤を口にしました。

前田さんは、応援団長としてこのコンサートの準備に半年以上前から取り組んできた高橋さんを「たかみなが秋元康先生が乗り移ったかのように、みんなを集めてくれました」とねぎらったうえで、こう語りました。

「簡単な気持ちでは立てなかった。それが正直な気持ちなんですが、そんな時に秋元先生が、『今のAKBにもう一度力を貸してほしい』というメールをくれて、すごい悩んでいたことが伝わっていたんだなと。私たちがどこまで出るべきなんだろうか。20周年といっても私たちはOGなので、いま頑張っているメンバーが輝いてほしいというのが正直な気持ちだった。すごく悩んだ、みんなそうだと思います」

「でも、ここからもう一回、AKBをみんなに大きく届けられるように背中を押してほしいと、秋元先生に言ってもらって、よし最後まで頑張ろう。12月31日、紅白歌合戦まではみんなで頑張って、そこから先は現役メンバーみんなで頑張れっていうことで、背中を押せたらと思っています」

若い女性ファンに刺さる現役メンバー

OGメンバーの存在感に圧倒されながらも、現在のAKB48には以前とは違う魅力や潜在性も感じられました。

印象的だったのは、若い女性ファンの姿がとても目についたことでした。2階から見ると、アリーナには4割ほどを占めるのではないかと思える広い女性エリア席があり、連日女性ファンで埋まりました。

自身のセンター曲を歌う八木愛月さん(後列中央)ら現役メンバー=12月4日、松村撮影
自身のセンター曲を歌う八木愛月さん(後列中央)ら現役メンバー=12月4日、松村撮影

女性ファンといっても「推し」のポイントは当然ながらさまざま。

女性ファンとおぼしきSNSのコメントや、終演後に聞こえてきた感想には、センター経験者の八木愛月さん(20)や、次のシングルでセンターの伊藤百花さん(22)のような、「キラキラしたきれいな子を見るだけで幸せ」というものもありました。
 
20周年記念コンサートに先立ち4日に開かれた、ファンによる楽曲の人気投票「リクエストアワーセットリストベスト20」の終演後には、「ひな壇にいた柏木由紀さんを気遣い、話しかける後輩たちの様子がいとおしかった」というものもありました。

現役メンバーのパフォーマンス=12月4日
現役メンバーのパフォーマンス=12月4日

5日夜のコンサートでは、各都道府県の代表メンバーで構成されるAKB48チーム8の初代メンバーらが、代表曲「47の素敵な街へ」を披露しました。
チーム8は活動休止中のうえ、卒業したメンバーがほとんどの初代メンバーが集結する機会はめったにないだけに、貴重なパフォーマンス。
「『ガチ恋口上』(この曲のイントロに合わせたコール)を再び叫べる日が来るなんて、オタクとしてなんて幸せ」という声もありました。

47の素敵な街へを披露するチーム8のメンバー=12月5日
47の素敵な街へを披露するチーム8のメンバー=12月5日

ダンスなどパフォーマンス力が高いメンバーも増えており、現役メンバーが若い女性ファンに、「刺さっている」ことがうかがえます。

秋元氏「現役メンバーはここから」

一方、MCコーナーでのトークは、OGメンバーがエピソードを面白く織り交ぜながら客席を笑いに巻き込み、さすがの一言。

在籍中にテレビ出演も多かった場数の違いか、激しい競争環境に置かれるなかで、存在感や独自色を求めて必死に努力したことが、いまにつながっているのか。現役メンバーの成長の余地を感じました。

リクアワで現役メンバーとひな壇に座る柏木由紀さん(中央)=12月4日
リクアワで現役メンバーとひな壇に座る柏木由紀さん(中央)=12月4日

運営会社のリリースによると、8日の囲み取材ではOGたちが現役メンバーに望むことについても発言しました。

指原さんは「もっと私たちについてこい、くらい強気でいてほしい。みんな可愛いし、パフォーマンス力もあるのに実際に会うと自信がない。グループとしてのギラギラ感はあるから、あとは個々の性格にギラギラ感が出れば、もっとグループとして熱くなると思いました」と語りました。

高橋さんは「自分はこうした方がよく見える、と押し通す力を持ってほしい。それはワガママではなく意志を持った意見だから」と激励しました。

総合プロデューサーの秋元さんは「現役メンバーは、本当にここからだと思う。プロデュースするときによく話すのが0→1はできないということ。0.1をどうするか。だから現役からヒントが欲しい」と要望しました。

OGのMCは笑いに包まれた。なこみく(矢吹奈子、田中美久さん)」の仲の良さの話題から渡辺美優紀さん(左)に「友達いるんですか」とぶっ込む西野未姫さん(右)=12月5日
OGのMCは笑いに包まれた。なこみく(矢吹奈子、田中美久さん)」の仲の良さの話題から渡辺美優紀さん(左)に「友達いるんですか」とぶっ込む西野未姫さん(右)=12月5日
「伝説のバンド『SONE』」の新生メンバーについてのトークで、峯岸みなみさん、指原莉乃さんと話す現役メンバーの新井彩永さん(左から2人目)、坂川陽香さん(同3人目)、橋本恵理子さん(右端)=12月7日
「伝説のバンド『SONE』」の新生メンバーについてのトークで、峯岸みなみさん、指原莉乃さんと話す現役メンバーの新井彩永さん(左から2人目)、坂川陽香さん(同3人目)、橋本恵理子さん(右端)=12月7日

これを受けて、現役メンバーの小栗有以さん(23)は「私たちもコンサートを通して、あの頃のAKB48を肌で感じることができました。よく今のAKB48との違いを聞かれるのですが、課題を明確に感じることができました」と話しながら、感極まって涙ぐんだそうです。

AKB48はOGメンバーとともに6年ぶりに紅白歌合戦に出場します。

今回のOGとの共演を通じて受け取ったメッセージが、どんな化学反応を生むのか。新たな歩みが始まります。

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