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前田敦子さんや高橋みなみさん…OGがAKB48の20周年ライブに
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AKB48の20周年記念コンサートが12月5~7日、日本武道館(東京都千代田区)で開かれました。応援団長を務めた高橋みなみさん(34)をはじめ、卒業したOGメンバーたちが多数ステージに登場し、「青春」を思い出したなどと、かつてのファンの間でも大きな話題になりました。今回のステージでOGは何を伝え、若き現役メンバーたちに何をもたらしうるのか。印象的なシーンとともに振り返ります。
筆者が最も鮮烈な印象を受けたのは2日目、6日夜のステージ終盤のシングルメドレーでOGメンバー8人が現役メンバーとともに披露した「根も葉もRumor」でした。
2021年発売のAKB48の楽曲で屈指の難易度といわれるダンスが特徴です。
OGで参加したのは高橋みなみさん、小嶋陽菜さん、指原莉乃さん、峯岸みなみさん、柏木由紀さん、大家志津香さん、北原里英さん、横山由依さん。
曲が終わると同時に、前列で踊りきったOGは床に倒れ込み、息も絶え絶え。高橋さんは指原さんが差し出した携帯酸素を口にし、小嶋さんはペットボトルの水を手にしました。
OGは全員30代(小嶋さん37歳、指原さん峯岸さんらは33歳)。2024年春に卒業した柏木由紀さん(34)はまだ時間がそれほどたっていませんが、大半は何年もアイドルのステージから離れたメンバーです。
一息つくと、それぞれ笑いを交えて苦労を振り返りました。
1歳の長女を子育て中の峯岸さんは「(本番に向けて)プレッシャーに絶えきれず、夜、部屋で泣きました」。
小嶋さんは「途中で(ステージから)はける練習してたけど、現役が頑張っていたので、頑張りました」。
指原さんは「個人的にスタジオを借りて個人練習しました」と明かし、前夜までダンスの動画を柏木さんに送って、「教えてほしい」と頼んだそうです。
終演後、高橋さんはSNSにこう記しました。
「現役のメンバーが3カ月基礎練から作り上げた楽曲と聞いていたので、卒業生は7月からそれぞれ練習を開始しました」「リスペクトを込めて必死に頑張ったこの期間は青春感あって楽しかった!!」
「現役の曲をリスペクトを込めてやりませんか?」
これは指原さんの発案だったそうです。
運営会社のリリースによると、8日の20周年特別記念公演前の一部メディアへの囲み取材で、この曲について質問された高橋さんは「さっしーからの提案もあって、現役メンバーの曲をリスペクトを持ってやろうと思って選びました」と説明しました。
泥臭くてもがむしゃらにやる。その先に、喜びがある。そんなメッセージが伝わるパフォーマンスでした。
3日目の最終日はさらに有名なOGが続々と登場しました。
絶対的センターとして活躍した前田敦子さん(34)、前田さんのライバルであり「あつゆう」の絆で知られる大島優子さん(37)ら2期生も多数出演する豪華なステージでした。
AKB48が社会現象を巻き起こした全盛期をほうふつとさせるライブに、SNS上でも「まさに私の青春だった」「時の流れを忘れた」といった感想があふれました。
2005年のAKB48の立ち上げから関わり、初代劇場支配人などを務めた戸賀崎智信さんはこのステージを観覧しました。
「パワーをもらえてうれしくなった。上の世代が若いメンバーとともにステージに上がることが、どんなに大変か想像できるだけに、一人一人のがんばりが伝わってきた」と語ります。
そのうえで戸賀崎さんは今回のコンサートの意義についてこう語りました。
「設立当初、売れるかどうかもまったく分からないところから、積み上げていった彼女たちが、そのイズムを見せてくれた気がした。後輩たちに、背中で語ったということだと思う」
ライブの終盤のMCで、高橋さんと前田さんは、20周年記念コンサートにOGが出演することへの葛藤を口にしました。
前田さんは、応援団長としてこのコンサートの準備に半年以上前から取り組んできた高橋さんを「たかみなが秋元康先生が乗り移ったかのように、みんなを集めてくれました」とねぎらったうえで、こう語りました。
「簡単な気持ちでは立てなかった。それが正直な気持ちなんですが、そんな時に秋元先生が、『今のAKBにもう一度力を貸してほしい』というメールをくれて、すごい悩んでいたことが伝わっていたんだなと。私たちがどこまで出るべきなんだろうか。20周年といっても私たちはOGなので、いま頑張っているメンバーが輝いてほしいというのが正直な気持ちだった。すごく悩んだ、みんなそうだと思います」
「でも、ここからもう一回、AKBをみんなに大きく届けられるように背中を押してほしいと、秋元先生に言ってもらって、よし最後まで頑張ろう。12月31日、紅白歌合戦まではみんなで頑張って、そこから先は現役メンバーみんなで頑張れっていうことで、背中を押せたらと思っています」
OGメンバーの存在感に圧倒されながらも、現在のAKB48には以前とは違う魅力や潜在性も感じられました。
印象的だったのは、若い女性ファンの姿がとても目についたことでした。2階から見ると、アリーナには4割ほどを占めるのではないかと思える広い女性エリア席があり、連日女性ファンで埋まりました。
女性ファンといっても「推し」のポイントは当然ながらさまざま。
女性ファンとおぼしきSNSのコメントや、終演後に聞こえてきた感想には、センター経験者の八木愛月さん(20)や、次のシングルでセンターの伊藤百花さん(22)のような、「キラキラしたきれいな子を見るだけで幸せ」というものもありました。
20周年記念コンサートに先立ち4日に開かれた、ファンによる楽曲の人気投票「リクエストアワーセットリストベスト20」の終演後には、「ひな壇にいた柏木由紀さんを気遣い、話しかける後輩たちの様子がいとおしかった」というものもありました。
5日夜のコンサートでは、各都道府県の代表メンバーで構成されるAKB48チーム8の初代メンバーらが、代表曲「47の素敵な街へ」を披露しました。
チーム8は活動休止中のうえ、卒業したメンバーがほとんどの初代メンバーが集結する機会はめったにないだけに、貴重なパフォーマンス。
「『ガチ恋口上』(この曲のイントロに合わせたコール)を再び叫べる日が来るなんて、オタクとしてなんて幸せ」という声もありました。
ダンスなどパフォーマンス力が高いメンバーも増えており、現役メンバーが若い女性ファンに、「刺さっている」ことがうかがえます。
一方、MCコーナーでのトークは、OGメンバーがエピソードを面白く織り交ぜながら客席を笑いに巻き込み、さすがの一言。
在籍中にテレビ出演も多かった場数の違いか、激しい競争環境に置かれるなかで、存在感や独自色を求めて必死に努力したことが、いまにつながっているのか。現役メンバーの成長の余地を感じました。
運営会社のリリースによると、8日の囲み取材ではOGたちが現役メンバーに望むことについても発言しました。
指原さんは「もっと私たちについてこい、くらい強気でいてほしい。みんな可愛いし、パフォーマンス力もあるのに実際に会うと自信がない。グループとしてのギラギラ感はあるから、あとは個々の性格にギラギラ感が出れば、もっとグループとして熱くなると思いました」と語りました。
高橋さんは「自分はこうした方がよく見える、と押し通す力を持ってほしい。それはワガママではなく意志を持った意見だから」と激励しました。
総合プロデューサーの秋元さんは「現役メンバーは、本当にここからだと思う。プロデュースするときによく話すのが0→1はできないということ。0.1をどうするか。だから現役からヒントが欲しい」と要望しました。
これを受けて、現役メンバーの小栗有以さん(23)は「私たちもコンサートを通して、あの頃のAKB48を肌で感じることができました。よく今のAKB48との違いを聞かれるのですが、課題を明確に感じることができました」と話しながら、感極まって涙ぐんだそうです。
AKB48はOGメンバーとともに6年ぶりに紅白歌合戦に出場します。
今回のOGとの共演を通じて受け取ったメッセージが、どんな化学反応を生むのか。新たな歩みが始まります。
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