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発達障害の家庭教師、増えてます 家に同行すると…塗り絵で集中力!
発達障害の可能性がある子どもを専門にした家庭教師が増えています。学校の現場では、特別支援教育への知識や経験がある教師の数が十分でないことが背景にあるためなどのようです。どのように教えているのでしょうか。家庭教師の仕事現場へ実際に同行させてもらい、取材しました。
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発達障害の可能性がある子どもを専門にした家庭教師が増えています。学校の現場では、特別支援教育への知識や経験がある教師の数が十分でないことが背景にあるためなどのようです。どのように教えているのでしょうか。家庭教師の仕事現場へ実際に同行させてもらい、取材しました。
発達障害の可能性がある子ども専門の家庭教師が増えています。「教育を十分に受けさせたい」という保護者は多いのですが、学校の現場には、特別支援教育の知識や経験がある教師の数が十分ではないことも背景にあるようです。家庭教師の方に同行し、その授業の様子を取材させてもらいました。(朝日新聞デジタル編集部・影山遼)
授業に同行したのは、取材当時に愛知県内の中学1年だった男子生徒の家です。生徒の母親に話を聞くと、高機能広汎(こうはん)性発達障害と診断されたこの生徒は、図形の認識が苦手だったり、飽きやすく、集団行動にもなじめなかったりしたそうです。
家庭教師の大矢敦嗣(あつし)さんは90分の英語の授業の間、教材を次々と変えていきます。積み木を並べ、その通りにテキストの図形の色を塗り、9枚の動物の絵柄から一つだけ違うものを選ぶ…。集中力を途切れさせないための工夫です。
大矢さんはアメリカの大学で約2年間、学習障害の子どもに対する指導法を学んできました。「こだわりが強い子が多いので、じっくりと向き合って、潜在能力を引き出すことが大事」と説明します。
生徒の母親が最初、近所の塾へ行かせたところ、簡単な質問に答えられず、「この子は無理」と拒否されたといいます。一方で、大矢さんに対しては「このままを受け止めてくれるから続いている」と話していました。
大矢さんが所属していたのは、東海3県に家庭教師の派遣をしているGUTS(名古屋市)。2012年に「発達障害コース」を設けました。古賀浩嗣(ひろし)社長はコースを設立したきっかけについて、「保護者から相談が増えてきたからです。問い合わせは全国から寄せられました」と語ります。
授業では生徒ごとの特性に合わせて、視覚に刺激を与えるカラフルな教材を使うほか、歴史をうまく覚えられない子には歴史上の人物が載ったカードでゲームをさせたり、計算の苦手な子には教材に玩具のブロックを使ったりしていました。
現在は家庭教師でなく、教師1人が生徒1人を担当する塾に力を置いています。担当者によると、2013年から始めた塾は、名古屋市に4教室・豊田市に1教室、計約250人が通うまでに増えたといいます。発達障害が疑われる生徒の割合が大多数を占めています。
教える側には、大学で心理学や特別支援教育を学んだ人や、身内に発達障害の人がいて育てた経験がある人などがいます。料金は1時間あたり6千円ほど。「教材をたくさんそろえ、個人にあった教え方をしています。環境が変わるとしんどい子が多いので、同じ先生がずっと担当します」と担当者。評判を聞き、三重や岐阜から通っている生徒もいます。
知的障害のある子どもへの家庭教師の派遣を1999年から始めたガッツソウルカンパニー(大阪市)。名前は似ていますが、前述のGUTSとは関係ありません。社長の高田成啓(なりひろ)さんは「学校で十分に見てもらえず、最終的にうちに行き着いた人が目立ちます」。また、同業他社のマイ・プラン(名古屋市)には、次の日の学校の準備ができない子どもに、やり方を教える家庭教師もいるといいます。本多伸光社長は「保護者の中には、まず日常生活をしっかり送れることを望む方も多いです」と話しました。
親が求める目標は生徒によって異なるため、各社の「実績」はバラバラです。
作文を1行も書けなかった小学生が原稿用紙1枚書けるようになった、漢字が書けなかった中学生が漢字テストで平均点を取れるようになった、通信簿がオール2だった中学生の生徒が2年間でオール4以上になって進学校に進んだ……。
全国展開をしているアークスタイル(大阪市)の担当者は「派遣する専門の家庭教師の数は都市部でも足りません。統計はありませんが、全国的に不足しているのではないでしょうか」と分析してくれました。
三重大学大学院医学系研究科の成田正明教授は「家庭教師が増えているということは、学習障害などと診断される子どもが増えているとされることと一体ではないでしょうか。家庭教師はただ遅れを取り戻すだけでなく、その子どもが何が得意で何が苦手かを正しく理解し、自尊心を尊重する指導を目指すことが望ましいです」と強調しました。
学校では一律に授業を進めなくてはならず、カバーしきれない部分もあります。ですが個別の対応を必要とする人がいる中、こうした家庭教師や塾の重要性がますます高まるのではないかと感じる取材になりました。
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