「わたし、霊感強いんだよね」っていう人、周りにひとりはいますよね。「死にかけた時に、死んだおばあちゃんが『まだ来るな』って言ってくれた」なんていうのも、よくある話です。こういう「霊」にまつわる話って、実は大まじめに調べられているそうですよ。専門家に聞きました。(朝日新聞東京社会部記者・原田朱美)

皆神龍太郎さん(ペンネーム)です。
超能力から、ネッシー、ツチノコ、死後の世界、生まれ変わり、予言、水素水、ホメオパシーまで。超常現象かいわいのテーマを30年間取材し続けている、専門家です。
(そして、朝日新聞社員です)
心霊現象研究会
若者
皆神さん
1880年代に英米でほぼ同時に研究会が設立されて、すでに130年を超える歴史があります。
若者
皆神さん

若者
パワースポットとか、オーラとか、守護霊とか。いろいろグッズも売っていますし。
皆神さん
趣味の範囲でたのしんでくださいね
と、いう辺りがいいと思うんです。
ただその範囲をこえてのめり込んでしまうと、前にも言ったように、健康とか財産を失うことにもなりかねないのでご注意ください、というところでしょうね。

科学で検証できない「天国」
若者
皆神さん
なにしろ、自分も未だ死んだことがありませんし、間違いなく私が行ったのは天国で、そこから再びこの世に戻ってまいりました、って確実にいえる人も誰もいませんからね。
若者

皆神さん
若者
皆神さん
若者
皆神さん
あくまで死にかけただけで、本当に死んだわけじゃないんですから。
だから、死にかけた状態の人間が見るビジョンや幻覚だと解釈するのが妥当でしょう。
で、その幻覚の中身なんですが、日本人だと、川があって、お花畑があって、あちらには死んだ人がいて、っていう感じが定番ですね。
若者

臨死体験のパターンって?
皆神さん
子どもって、大人みたいにすでに亡くなった知り合いなど周りにそういませんよね?
となると、「向こう岸」に出てくる人がいなくなっちゃうわけです。で、その代わりに、学校の先生とか友達とか、今生きている人たちが出てくる場合があるそうなんです。
でもそれで「あんたはまだ来ちゃいけない」って言われても、「いやいや、そういうあなただってまだ死んでないでしょ」っていう事態に陥るわけです。
若者
皆神さん
体外離脱とかトンネルをくぐるといった感覚を感じるのは結構世界共通なのですが、あちらで出会う人には偏りが見られます。

出典: PIXTA
皆神さん
熱心なキリスト教徒でありながら、あの世で「エンマ様にあった」っていう話は、残念ながらまだ聞いたことがないですね。
つまり、その人がもっている考え方や宗教観、死生観などが瀕死状態の時にみる幻覚に影響を与えている可能性が高いわけです。
若者
皆神さん

「夢に出てきたおばあちゃん」はホンモノか?
皆神さん
「私は、死んだおばあちゃんが大好きだったのですが、その死に目に会うことが出来ませんでした。だから、そのことをずっと悔やんでいたんです。そうしたらある日、死んだおばあちゃんが夢に出てきてくれた。夢の中でおばあちゃんは、生前のお礼を私に述べて、さようならとあいさつして『あの世』に戻って行きました。それ以来、悔やんでいた気持ちはきれいに消えてしまったんです。死に目に会えなかった私のために、おばあちゃんが最後のお別れのあいさつをしに来てくれたんだって思っているんですが、これってどう考えれば良いんでしょうか」
と言われたんです。
若者

皆神さん
その方のおばあちゃんに対する心残りが夢として現れた、そしてその夢のおかげで心のわだかまりはとけていった。それなら、それでいいじゃないですか。最後のお別れをわざわざ言いに来てくれた大好きだったおばあちゃんに感謝をして、その想いを胸に明日から前向きに生きていけばいい。
それだけのことでしょう?
こんなごく個人的な心の中の想いにまで、「それは科学的解釈じゃない」とか言って踏み込めるほど科学ってそもそも偉いもんなのかい、と僕は思いますが。
若者
皆神さん
我々は別に「科学」を信奉するために生きているわけでもないんですから。
――幽霊はいるのかいないのか。「謎のまま」がいいこともあるのかもしれませんね。次は「予言」です。