連載
#15 #自分の名前で生きる
3年に1回、交代で改姓する夫婦「戸籍謄本がどんどん長くなる」
選択的夫婦別姓を求める「困っている人」
希望すれば、お互いに改姓せず結婚できる「選択肢」を設けるよう求める「選択的夫婦別姓」の導入を求める声は高まっていますが、なかなか前に進んでいないのが現状です。全国の地方議会に働きかける「選択的夫婦別姓・全国陳情アクション」の事務局長・井田奈穂さんの元には、ペーパー離婚を繰り返したり、海外で旧姓が使えず困ったり……といった声が寄せられています。
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東京都八王子市のある夫婦は、3年おきに離婚届と婚姻届を出すと決めている。同じ相手と同じことを繰り返す。手間がかかりそうなのに、なぜ? 尋ねると、お互いの名前をめぐる切実な困りごとと話し合いの歴史があった。
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結婚後も仕事で旧姓を使い続ける人は珍しくありません。記者である筆者もその一人。戸籍姓との使い分けに特段の不便を感じることもなく、旧姓で仕事を続けてきました。
しかし、ベルギーの大学院を受験した経験から「旧姓の通称使用」は日本の外では通用しないと痛感しました。
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「大安の日に、離婚届を提出してきました!」
女性起業家として活躍する石井リナさんがそうツイッターに投稿したのは7月の大安吉日。自分の「姓」を取り戻すため、パートナーの三澤亮介さんとペーパー離婚したからでした。
「事実婚に移行しましたが、『どうして仲のいい私たちが離婚届を出さなければいけないんだ』と思っています」
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事実婚では配偶者控除が受けられないため、控除の算出基準日の年末に結婚し、年明けの離婚を繰り返す。
「戸籍はボロボロ。自分自身の名前を選びたい、ただそれだけなのに」
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父の会社を継いだ跡取り娘の女性は、姓を変えたくないとパートナーと事実婚をする予定でした。しかし相手の家族が猛反発。改姓後も旧姓を使う理由を問われたり、金融機関での融資交渉に困難があったり……。
「改姓はこれまでのキャリアや、創業家の名前のブランドを手放すことにもなります。女性起業家や経営者も増えている中、早く選択的夫婦別姓が実現してほしい」と訴えます。
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