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駄菓子の「終売情報」なぜバズる? 「物じゃない」から残る価値
「なんだ、このすごい食べ物は!」世界が驚いたDAGASHI
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「なんだ、このすごい食べ物は!」世界が驚いたDAGASHI
「甘い思い出をありがとう!!」 駄菓子の生産終了を知らせる「終売情報」が、たびたびツイッターで話題になっています。人々のライフスタイルが変わる中、ひとつ、またひとつと消えていく、懐かしい「駄菓子」たち。しかし、駄菓子業界を見に行くと、生き残りをかけた「新たな価値づけ」に挑んでいました。
【終売情報】
— 日本一のだがし売場 (@dagashi_okayama) February 3, 2021
アメハマ製菓
コーラキャンディ
サイダーキャンディ
巨峰キャンディ
北海道牛乳キャンディ
コーヒー牛乳キャンディ
4月末で廃業されるそうです😢
(製造は2月下旬まで)
アメハマの10円あたり付きキャンディ、、甘い思い出をありがとう‼︎ pic.twitter.com/6NYLmKnMHt
「アメハマの10円あたり付きキャンディ、、甘い思い出をありがとう‼︎」
廃業で販売できなくなるお菓子の情報でした。
7000件以上もリツイートされました。「今度はこの飴か……」「子供の頃の思い出が少しづつ失われていく」と衝撃が走りました。
終売情報を発信しているのは、岡山県瀬戸内市にある菓子卸70年の「株式会社大町」です。店舗面積が約2500平米と「日本一」を誇る、直営店を経営しています。
ツイッターを担当する安達勇治副社長は、過去につぶやいたお菓子の「終売情報」をそらんじました。
「カレーせんべい」(雷屋)
「面白ボーイ」(まるたけ食品工業)
「さくらんぼの詩」(UHA味覚糖)
懐かしの駄菓子メーカーさんが立て続けに廃業されます…😢
— 日本一のだがし売場 (@dagashi_okayama) June 23, 2018
雷屋さんのカレーせんは絶品でした。ありがとうございました😊#雷屋 #元祖カレーせんべい pic.twitter.com/Tvv31MHtSE
どれも、反響を呼びました。
終売情報という、一見、ネガティブな告知。
「でも、ある日、突然なくなったらさみしいじゃないですか。特に駄菓子は、何十年も、ずっと買ってきてくれた人がいる。支えてきてくれたファンに、お別れをする機会を持ってもらいたいと思うんです」
安達さんは「終売情報」のツイートに込めた思いを語りました。
そんな終売情報に反応し、一部では、買い占めや転売をする人もいると言います。「本当に欲しい人に届かなくなってしまうんじゃないかと、実は悩みながらやっている」
一方で、毎回、終売情報は多くの「思い出」とともにリツイートされます。「300円以内の予算でも、遠足には必ず持っていった」「口に入れると小学生の頃の自分に戻れる」「初恋の相手にもらったお菓子」
安達さんは、反響を見るたび、「駄菓子は物じゃなくて、思い出とともにある。だから、『お別れ』の時間は必要なんだ」と感じると言います。
群馬県の「まるたけ食品工業」さん、6月末をもって廃業との事。
— 日本一のだがし売場 (@dagashi_okayama) June 23, 2018
今も人気の懐かしい商品だけに、とても残念ですね。。😢#面白ボーイ #オモシロコーラ pic.twitter.com/9dn2hdtNye
日本では、毎月のように消えて行く駄菓子があります。一個10円から30円の駄菓子。家族経営や、小さなメーカーも多く、「機械が壊れた」ことなどから、突然廃業する
こともあるそうです。
それでも、廃業すること自体、ほとんど誰にも気づかれません。人件費をかけて売るには利益が少ない駄菓子は、利用者が多いスーパーなどの売り場では、そもそも陳列されることが少なくなったからです。
株式会社大町では、あえて、棚から消えていくものを集めて、売ってきました。廃棄される寸前だった訳アリ商品を集めた「もったいない広場」の試みも、その一つだと言います。
結果として、スーパーでは見ない商品ばかりが並ぶ、ユニークな売り場を作り出してきました。「こんな商品見たことない」「懐かしいね」。遠方からや、親子3世代で買い物に来てくれる人などが、後を絶ちません。
「駄菓子は笑顔につながる。感動を生み出す『非効率』を追及していこうと思うんです」と安達さんは力を込めました。
駄菓子は「子どもを喜ばせるためのお菓子」です。その特性上、なかなか値上げもできません。そして、もちろん、安全安心なものを作らなければいけない。大手の製菓メーカーとは違い、「駄菓子メーカー」は中小・零細です。時代とともに、相当な企業努力を強いられてきました。
衰退する「駄菓子文化」を盛り上げようと、駄菓子メーカーや、玩具メーカー約160社が、2015年に「DAGASHIで世界を笑顔にする会」を立ち上げました。
中小・零細のメーカーが苦手とするPRなどの分野で支援し、業界を活性化させていこうとしています。
会は毎年、3月12日を「駄菓子の日」として記念日登録し、大切な人に「駄菓子を贈り、笑顔を交換しよう」と呼び掛けています。
6年目の今年は、会員企業から駄菓子12万個を集め、全国320カ所の幼稚園・保育園、小学校、児童養護施設などへ送りました。「伝統的」なイメージとは真逆の、オンラインのイベントにも取り組みました。
世界へのアピールも進めています。2015年、2018年には、フランスで日本文化を紹介する「サムライジャポン」のイベントに参加。10~30円という価格設定のお菓子はフランスでは珍しいようで、吹くと音が鳴る「笛ラムネ」など、安くておいしくて遊び心もある駄菓子に、「なんなんだ、このすごい食べ物は!」と注目を浴びたそうです。
世代や国境を越えて、「笑顔を生む」菓子として、日本で、新たな価値付けを進めて行こうとしています。
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