MENU CLOSE

連載

#20 #乳幼児の謎行動

3歳児の「なんでそうなる?」リモコンを隠して〝にやにや〟の意味

実は大人と駆け引き中、専門家に聞く

リモコンをかくしてにやにやする3歳児
リモコンをかくしてにやにやする3歳児 出典: イラスト=橋本佳奈

目次

乳幼児(0歳から就学するまで)は、「なんでそうなる?」と大人からすると不思議に思う行動をとることがあります。2歳ごろ、リモコンやスマートフォンを部屋の隅っこに隠してはにやにや。大人の反応を見て楽しんでいるようです。実は「隠す」行動は、コミュニケーションの発達につながっていたのです。小児科医・小児神経専門医の小西薫さんに「#乳幼児の謎行動」を聞きました。

【PR】盲ろう者向け学習機器を開発。畑違いの挑戦に取り組んだ技術者の願い
【#乳幼児の謎行動シリーズ 】
「車輪もの」の魔力…子どもが〝必ず〟電車にハマるこれだけの理由
うちの子、なんでそうなる?アリの行列に釘付け…3歳児がはまる理由
赤ちゃんの謎行動…スリッパなめには理由があった〝謎の物体〟に反応
【質問】
2~3歳ごろに、大人のリモコンやスマートフォンなどを障子の枠やドアの陰に隠していました。そのたびに、大人の反応を見ては「ここにあるよ」と得意げに教えてくれました。なぜ幼児は物を隠すのが好きなのでしょうか。
<相談者:5歳の息子がいる女性記者(34)>

ブームは2~3歳

 

記者

物を隠す行為には何か理由があるんでしょうか?

 

小西薫さん

物を隠す遊びは、「人と人をつなぐ遊び」です。

物事を推測して、相手の反応を見て自分の行動を考えることにつながるため、コミュニケーションの発達につながります。受け身ではなく、能動的に自分から遊びを企画できるようになった証拠です。

 

記者

ブームが来るのは何歳ごろなるのでしょうか。

 

小西薫さん

2~3歳ごろがブームになります。2歳から3歳になると自我の発達とともに、さらに進化します。

2歳ごろは、「隠したら大人が探しにくる」と分かり、物ごとの見通しが立てられるようになります。3歳ごろになるとさらに、「ここに隠すと見つからなかった」と大人の動きを見ながら、臨機応変に隠す場所を変えて、駆け引きができるようになります。

駆け引きをしてくる

 

記者

記憶力にも関係するのでしょうか?

 

小西薫さん

物を隠す遊びができるようになるのは「短期記憶」ができるようになってからです。

「短期記憶」が分かるゲームがあります。片方の手に小さいおもちゃやあめ玉を持ち、どっちの手に入っていたか、両手をにぎってかくしてから、当ててもらうのです。どっちに入っていたか分かるようになるのが生後10~12カ月ごろになります。

もっと大きくなって1歳を過ぎ記憶時間が長くなると、一度両手を体の後ろに隠した後になっても、覚えているようになります。

幼いときには、目に見えないものは存在していないと感じています。8カ月ごろになると大人がいなくなったら不安で、家中ついてくる「後追い」をするのはそのためです。10カ月ごろになると、目の前に見えなくても、存在はしている、ということが理解できるようになるため、「後追い」が少し減り、物を隠す遊びも楽しくなってくるのです。

短期記憶が分かるゲーム
短期記憶が分かるゲーム 出典: イラスト=橋本佳奈

 

記者

必ず隠したときはにやにやしているのはなぜなのでしょうか?

 

小西薫さん

大人の反応を見て楽しんでいることが、にやにやとしてあらわれます。

2歳ではわざと見つかるように「ここだよ」とすぐにどこに隠したのか教えてしまいます。

しかし、3歳になると更に進化します。成長すると大人の顔色をうかがって、駆け引きもできるようになります。「どこかな?あそこかな」と言いながら大人の反応を見て楽しむようになるのです。

だまされたふりしてあげて

 

記者

物を隠す遊びは、成長するとどのように変わっていくのでしょうか

 

小西薫さん

物を隠す遊びがさらに進化すると、自分が隠れる「かくれんぼ」ができるようになります。「鬼」に見つからないように隠れる」というルールが理解できるようになる3歳ごろから楽しめるようになります。

さらに発展していくと「鬼ごっこ」が好きになります。より、人間の関係性も広がり、活動量も増えていくためです。大人と室内で遊んでいたのが、お友達と一緒に、体を使って外で遊ぶことが楽しくなってくるのです。

ちなみに、私が子どもの頃は「下駄(草履)隠し」という遊びをお友達としていました。鬼の分からない場所にそれぞれの片方の下駄や草履を隠し、鬼はそれを探すという鬼ごっこの遊びの一つです。昔から親しまれていたのですね。

 

記者

大人はどうやって付き合っていくのがいいのでしょうか?

 

小西薫さん

子どもの遊びには、自分が思い描いているシナリオがあります。大人との駆け引きを楽しんでいるのだなというのを理解して、乗ってあげてください。なので、子どもが隠したものがどこにあるかすぐに分かっても、まずは付き合って一緒に楽しんでください。そして時にはすぐに見つけてしまうことも必要です。子どもの予測を裏切るような多様な対応をすることで駆け引きを楽しむことができます。

大切なものを隠されたら、いけないことだ、ということを伝えなければなりません。線引きは必要です。

  withnewsでは赤ちゃんの謎行動を募集しています。「洗濯物を装着する」「前転したくてお尻を押されるのを待っている」など、みなさんの中で「そういえば……」とひらめいたものをハッシュタグ「#乳幼児の謎行動」をつけてツイートしてくれませんか? 編集部が取材にかかります。

みんなの「#乳幼児の謎行動」を見る

連載 #乳幼児の謎行動

その他の連載コンテンツ その他の連載コンテンツ

全連載一覧から探す。 全連載一覧から探す。

PICKUP PR

PR記事

新着記事

CLOSE

Q 取材リクエストする

取材にご協力頂ける場合はメールアドレスをご記入ください
編集部からご連絡させていただくことがございます