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連載

#5 テツのまちからこんにちは

島の名産品は「グリーン席」 本物を持ってきた国民宿舎 

「鉄道のまち」にあるオーシャンビューの特等席

大城のロビーに置かれた、瀬戸内海を一望できるグリーン席=2020年11月5日、山口県下松市笠戸島、高橋豪撮影
大城のロビーに置かれた、瀬戸内海を一望できるグリーン席=2020年11月5日、山口県下松市笠戸島、高橋豪撮影
出典: 朝日新聞

目次

今年で100周年を迎える日本有数の鉄道工場「日立製作所笠戸事業所」がある山口県下松市。下松が「鉄道のまち」であることをうかがわせる意外な場所が市内にありました。笠戸島の宿泊施設「国民宿舎 大城(おおじょう)」のオーシャンビューのロビーで見たものとは……。鉄道ファンの記者(25)が、「鉄道のまち」で見聞きした出来事をレポートします。(朝日新聞山口総局記者・高橋豪)

#テツのまちからこんにちは
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こんなところにグリーン席!? 

日立製作所笠戸事業所の名前にも入っている笠戸島は、瀬戸内海に面した風光明媚な島。本土とは赤いアーチ型の橋でつながれ、「大城」にはJR下松駅から路線バスで行くこともできます。

訪れた昨年11月5日は雲一つない快晴でした。ロビーに入ると、大きなガラス窓から瀬戸内海が一望できる場所に、椅子が並べられています。普通のソファかと思いきや……、列車の座席ではありませんか! しかも一般の座席より幅が広いもの。窓際の8席を含め、全部で16席ありました。

「新幹線で実際に使われていたグリーン車の座席です」と大城の担当者が教えてくれました。

思わぬ形で新幹線のグリーン席を初めて体験することになりました。座り心地はふっかふか。後部座席はないので心置きなくリクライニングをめいっぱい倒し、両手を肘掛けに乗せて、窓いっぱいに広がる空と海の絶景を堪能しました。

瀬戸内海に臨む小高い丘に建つ「国民宿舎 大城」=2020年11月5日、山口県下松市笠戸島、高橋豪撮影
瀬戸内海に臨む小高い丘に建つ「国民宿舎 大城」=2020年11月5日、山口県下松市笠戸島、高橋豪撮影

地球を176周走った名車のなごり

ロビーの一角に、このグリーン席の説明看板がありました。日立製作所笠戸事業所で2000年9月に製造された700系新幹線(C17編成)の8号車にあったとのこと。この車両は、2016年4月に営業運転を終えるまで、東海道・山陽新幹線で活躍していました。総走行距離は約700万キロで、地球に換算すると176周ほども走ったそうです。

大城が2016年11月にリニューアルオープンするのに合わせて、「ものづくりのまち下松」をPRしようと、設計段階から考えられていたそうです。座席はJRから購入し、この場所に置かれました。

大城は、日帰り入浴もできるオーシャンビューの露天風呂が人気です。海側の席に座って母親が上がるのを待っていた山口市の会社員、杉山瑛莉さん(23)に感想を聞きました。

「(2020年)夏に初めて来た時は『何でこんな所にあるの?』とびっくりしましたが、景色がきれいだったのでまた来ました。晴れていてよかったです。座り心地も良いですし、落ち着きます。次、新幹線に乗った時には、見る目が変わりますね」

大城のロビーに置かれた新幹線のグリーン席=2020年11月5日、山口県下松市笠戸島、高橋豪撮影
大城のロビーに置かれた新幹線のグリーン席=2020年11月5日、山口県下松市笠戸島、高橋豪撮影

今週のテツ語「グリーン車」
JRの列車で、普通車に比べて席の1席が占める面積が大きく、設備もワンランク上の座席。かつては1等車と呼ばれていましたが、1969年に改称されました。名前の由来は諸説ありますが、1等車の切符の色が緑だったことや、客車に緑の帯が書かれていたからと言われています。2011年登場の東北・北海道新幹線E5系にできた「グランクラス」や、2020年に運行を始めたJR東日本、伊豆急行の特急「サフィール踊り子」に付いた「プレミアムグリーン」のように、グリーン車を超える高級座席も生まれています。

 

〈テツのまちからこんにちは(#テツこん)〉2021年5月でちょうど100周年を迎える、鉄道の全国最大級の生産拠点である山口県下松(くだまつ)市の日立製作所の笠戸事業所。山口に赴任した鉄道好きの記者が「鉄道のまち」で見聞きした出来事をレポートします。
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