連載
#2 相席なま田原
「挑戦、すばらしい!」田原総一朗がカメルーンの漫画家に贈った言葉
「次世代を担う人材」と異色の対談! 「相席なま田原」始めました。
【異色の対談】
— withnews (@withnewsjp) August 24, 2020
このあと19時より #相席なま田原 です。
ジャーナリスト田原総一朗さん @namatahara
とカメルーン生まれ日本育ちの漫画家・タレント星野ルネさん @RENEhosino
が語り合います。https://t.co/EjacQd2hn9
<カメルーン人の母親がカメルーンに研究に来た日本人男性と結婚したことをきっかけに、4歳ごろ来日し、兵庫県姫路市で育った星野さん。言葉の壁はなかったのか、中学高校時代をどう過ごしたのか。田原さんから星野さんへ、次々と質問が繰り出されました。>
田原さん:お父さんになる日本人はなぜカメルーンにいらした?
星野さん:マンドリルの生態を調べるためにカメルーンに来ていたんです。母はジャングルに囲まれた村で生活をしていました。そこに日本人の研究者グループが現れて、母と村の人たちはそのお手伝いをしていました。
田原さん:カメルーンと姫路、一番の違いはどういうところですか?
星野さん:一番の違いは、家ですね。日本の家は核家族。お父さんお母さん子ども。ときどきおじいちゃんおばあちゃん。カメルーンの僕の村へ行くと、親戚たちが寄り集まって、30人40人で暮らしています。お父さんのような人がたくさんいるし、お母さんのような人がたくさんいる。同じ年代のいとこたちがいる中で暮らします。
田原さん:フランス語なんですか。
星野さん:公用語が二つありまして、英語とフランス語があります。大半の人はフランス語を話します。英語を話す人も30%くらいいます。
田原さん:自宅では何語で話していましたか?
星野さん:一言では言えません。というのも、父と母はフランス語で会話します。母と子どもは、母がフランス語で話し、子どもは関西弁で話します。父と子どもは、父が東京出身なので、標準語というか東京の言葉を話します。子どもはお父さんに関西弁で話します。それがもう全部ごちゃごちゃに入り交じった環境で、メインの言語がありませんでした。
田原さん:とっても多様性があったわけだ。
星野さん:かれこれ30年以上、家の中で多様性をやらせていただいています。
田原さん:肌の色も違う。外国人ということで、いじめにはあわなかったんですか?
星野さん:肌が黒いので、「まっくろくろすけ」とからかわれたり、髪の毛の質が違うので、「パンチパーマ」とからかってきたりする子はいました。
田原さん:学校に行くのは嫌にならなかったんですか?
星野さん:なりませんでした。幼稚園のときの友達が5人くらい同じ小学校に行ったので、他の子に意地悪をされても友達が守ってくれて。だんだん友達も増えていったので、ひどいいじめというのは受けずに育ちました。
田原さん:その子たちは、幼稚園のときになんで星野さんと仲良くなったんですかね?
星野さん:わかりません。ただ、初めて友達ができたきっかけが、幼稚園のとき絵を描く時間があって、そのころまだ日本語はわからなかったんですけど、僕が描いた絵を見た友達が、おそらくうまいとほめてくれたんです。
田原さん:星野さんの指摘はすばらしい。日本の教育の最大の欠陥なんです。小学校から高校まで知識を覚えろ覚えろというが、なんのために覚えるのか教えない。
田原さん:高校時代に将来はどういう仕事をしたいと思っていましたか?
星野さん:高校のころに自分の将来像はほぼ思い浮かべられていなかったです。というのも、ロールモデルが社会に見当たらなかった。
田原さん:星野さんもお父さんの後をついで研究者になろうと思わなかった?
星野さん:思いませんでした。昔は勉強が嫌いで、本を読むのも大っ嫌いでした。成人した後に、図書館に行って1冊の本を読んでから、今では本を読みます。「チーズはどこへ消えた?」という自己啓発系の本です。僕はそのとき、自分の生き方に迷っていたんですよ。カメルーンで生まれて日本で育った自分が、どうすれば満足できる人生を生きられるか。そういう救いを求めて、知識が集まっているのは図書館だろうというイメージがあったので、図書館に行ってその本を手に取りました。
田原さん:その本には生きる、生きがいを持つためにどうすればいいと書いてあった?
星野さん:「うまくいくかうまくいかないか将来のことはわからないけど、恐れすぎて行動をできない人が多い。今動け」と書いてあったんです。
田原さん:挑戦しろと。日本人の多くは挑戦が嫌いで挑戦をしない。
星野さん:挑戦をしようとすると、反対する人が多い。危ないとか失敗するかもしれないとか。
星野さん:チャレンジは大切。今、日本社会には、僕のようにカメルーンで生まれて日本で育ったような人間がいれば、父親がアメリカだ、インドだ、ブラジル人だと、いろんな日本人が増えています。多様化しているなかで、どういう日本社会を作っていけばみんなが暮らしやすくなるか発信しようと思って漫画を描いたり、作品を作っています。
田原さん:これからのテーマは、日本がどうすべきかということですか?
星野さん:まさにそのようになってきます。
田原さん:アメリカで大統領選挙があり、世界中が関心を持っている。民主党のバイデン大統領候補が、もし大統領になったらハリスという黒人とアジア人の混血の女性を副大統領候補にしたいと。僕の考えでは、バイデンさんはもし大統領になっても77歳で年だから、2年で辞めて、ハリスさんが大統領になる。星野さん、どう思いますか?
星野さん:アメリカは早くから多様性に富んだ社会だったので、国のトップがどういう人間かは、その国に生きる人の支えになる。例えば、オバマさんが大統領になったとき、きっとアフリカ系の子はアフリカ系の人間も大統領になれるんだと思ったはずです。俺たちもやればできるんだというメッセージになる。混血の方が大統領になった際には、自分たちは脇役だと思っていた人が前に出るきっかけになるし、表現するきっかけになる。日本でもそういったことが起きてもいいころだと思います。
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