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#5 #小山コータローの妄想旅行記

思い出と乳酸を作ろう! 筋肉をいじめ抜く4コマ漫画「妄想旅行記」

「肩がメロンみたいだ!」

小山コータローの妄想旅行記「ネオマスル編」
小山コータローの妄想旅行記「ネオマスル編」
海外旅行をしたことがない漫画家・小山コータローさん(@MG_kotaro)が、「せめて妄想だけでも」と架空の国の旅行記を4コマ漫画とコラムで綴ります。訪れる場所は、いつもどこかヘンテコ。でもそれは、私たちが日本に慣れすぎているからかもしれません……。想像の斜め上からくる小山さんの発想力で、月曜日、ちょっとダウナーな頭をやわらかく。全身の力が抜けるのを感じたら、そこは小山ワールドです。
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小山コータローの妄想旅行記

小山コータローの妄想旅行記「ネオマスル編」

小山コータローの妄想旅行記「ネオマスル編」
小山コータローの妄想旅行記「ネオマスル編」
『ネオマスル』

「最近運動不足で、筋肉が落ちてきたなあ」

最近、そんな声を録音したテープが毎日ポストに投げ込まれていて、本当に気がめいってしまいます。軽めの悩みにしては問いかけ方法が重いので、すぐにやめてほしいです。

しかしながら、僕はまじめなのでその問に対して一つの答えを導き出すことに成功しました。買ってきた一本もののゴボウの置き場所はまだ答えが見つかっていないのに、人生というのは残酷ですね。

「庭に、もう一度挿しておく」

これは、以前出したことのあるゴボウの置き場所に対しての仮説ですが、実際にやってみたところお母さんにとても心配をかけてしまったので、今では間違いだと思っています。

そして、運動不足解消の答えはそう異国の地「ネオマスル」へ旅行に行くことです。

みなさんは知っていますか?ネオマスルという国が、国民一人当たりの筋肉量が世界ナンバー1だという事を。そして、止まない雨は無いという事、染めない不良はいるという事、かと思えば、使い切るまでなくさないリップクリームなどないという事を。

さて、そうは言っても、自分が言った事無い国をお勧めするわけにはいかないと思い、先日、ネオマスルに行ってきました。今回は、退職間近の上司が最後に使う有給を拝借して行ってまいりました!

ネオマスルまでは羽田から、乳酸エアラインの空気椅子で5時間で着きました。機内食はフレンチか和食を選べますが、どちらを選んでもプロテインが出てきますので、客室乗務員に聞かれても無視して大丈夫です。

モモとふくらはぎが限界を迎えて、全員が床に横たわった状態で、ネオマスル空港に着陸しました。
出典:小山コータローの妄想旅行記「キョナンガ共和国編」
僕は「着いたぞ」というより「助かった」「限界だ」「なぜこんなことをするんだ」という思いが強く沸いてきました。

笑う膝を横目に、真顔でネオマスル空港に降り立った僕は、さっそく街を観光することにしました。

まずは道路にでて、いろんなポージングをしていると筋肉タクシーが止まってくれます。止まるまでの間も、現地の方から「いいよ!」「肩がメロンみたいだ!」「その顔やめろ!」「背中に怨念見えるよ!」などとお褒めの言葉が飛んできます。

さすがは筋肉を愛する国です。

筋肉タクシーのドライバーさんは見事なまでの上腕二頭筋でしたが、ちらっと脚を見たところめちゃくちゃスラっとした美脚でした。ネオマスルといえども、やはり使っていない筋肉は落ちるんだなと思い知らされました。
着いたのは国内最大の公園「ネオマスルパーク」です。ここでは遊具で遊びながら筋肉をつけることができます。中央にあるプロテインの噴水ではムキムキの子供たちが楽しそうにポージングをしています。
僕はまずムキンコ(まるでブランコのよう)に乗りました。チェーンと乗るところが非常に重く、まったく漕ぐことができません。しかし、周りを見ていると、どうやらこれは持ち上げて遊ぶものだったようです。恥かしさと疲労で汗が止まりませんでした。
つづいて乳酸溜まり台(まるで滑り台のよう)で遊ぶことにしました。

滑ろうと思ったのですが、スロープがボディオイルで濡れていてなんだか嫌な感じです。しかし遊んでいる人たちを観察してると、みな下から上へ全力で駆け上がっています。よく見てみたら、子供かと思いきや、半袖短パン野球帽のボディビルダー達でした。

怖さが勝ってしまったので、公園を後にした僕は、お腹がすいてきたのでレストランに入ることにしました。しかしどの店もシャッターが閉まっています……。

「なぜだろう……」

という文字を店の壁面に赤いスプレーで雑に書いていたところ、お客さんがシャッターをしたから上へ持ち上げて中に入っていくではありませんか。

そう、ある程度の筋力が無いと入店できないシステムになっているのです。これには僕もビックリ、蟹がドッサリ、釘がちょっぴり、でした。

今の文章の後半は、語呂がよかったので書いただけで、旅行の内容とは関係がありません。

さっそく僕も入店しようとシャッターに手をかけましたが、初動で腰をやってしまい、緊急帰国する運びとなりました。

【総括】
行って損はないが、僕は損した。そんな旅でした。この国に、古くからこんなことわざがあります。
『ハァッ!……ヤーッ!フゥゥン……ハァッ!』
心に染みる先人の知恵といった感じでしょうか。また来年、腰が完治したら行きたいと思います!

<こやま・こーたろー>
 漫画家。「違和感」を作風とし、漫画家のSNS「コミチ」やTwitterで毎日4コマ漫画を発信中。前後関係を無視したセリフや、突拍子もない理不尽な展開が得意。Twitterアカウントは@MG_kotaro

   ◇

 海外旅行に行ったことがない漫画家・小山コータローさんが「妄想」で架空の国に行く連載「#小山コータローの妄想旅行記」は原則週1回(月曜日)、withnewsで配信していきます。
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