連載
6556
花粉もサメも気にしない…そんな国あったらいいな「妄想旅行記」
「コブラ巻きつきし者、追い鮫リラクゼーション」

小山コータローの妄想旅行記「キョナンガ共和国編」

花粉症の季節、とってもつらいですよね。
僕も花粉症で目は痒いし、鼻水は出るし、くしゃみは止まらないしで、顔のパーツが大半が使い物になりません。僕の顔が福笑いだったら、みなさんには耳だけで遊んでほしいです。それに、したくもない受粉をしてしまって花にも申し訳ないです。
そんなわけで、今回は花粉の無い国として有名な「キョナンガ共和国」に行ってきました。
花粉症から逃れるために多くの日本人が訪れているので、花粉の時期になるとキョナンガ共和国内の日本人の数が1億人に上ります。このことから、この時期のキョナンガ共和国は「ニホン」と呼ばれているのはあまりにも有名です。
その間、日本は人口が極端に減少するため「キョナンガ共和国」と呼ばれています。
キョナンガ共和国へは、羽田空港から20分ほどで着くことができます。機内食を何にするか聞かれますが、基本的には出てくる前に到着してしまいますね。僕はもう8年間毎年いっていますが、一度も出てきたことがありません。客室乗務員も、聞いた後メモを取ってる様子もないので、おそらく用意してないんじゃないでしょうか。

空港を出て、外で深呼吸……もう花粉のストレスが一切ありません。ストレスがあるとすれば、野生のコブラが足に巻き付いていることくらいで、鼻水が出ることもくしゃみが出ることもありません。かまれると、くしゃみ鼻水ではすまないので絶対にかまれないようにしてください。

パワーをもらったら、キョナ横インに泊まりました。部屋から見えるのはどこまでも続く水平線と、サメから逃げ惑う日本人観光客でした。
足に巻き付いたコブラをなでながら見るその光景は、一生忘れることが無いと思います。
キョナンガには、古来より「コブラ巻きつきし者、追い鮫リラクゼーション」ということわざがあります。
「コブラが足に巻きついたっていいじゃないか、ほらあそこを見なさい。サメに追われている観光客がいるよ。面白いね。心が休まるね。」そんな、白髪垂れ目翁の問いかけが聞こえてきます。
キョナンガの国民性が現れているようで、僕はとても好きなことわざです。
僕の足に毒牙が食い込んでいる昨今、こんなゆとりある心を忘れてはいけないと思います。
ぜひ皆さんも僕のように、他人の有給休暇を使ってキョナンガ共和国、行ってみてくださいね。
<こやま・こーたろー>
漫画家。「違和感」を作風とし、漫画家のSNS「コミチ」やTwitterで毎日4コマ漫画を発信中。前後関係を無視したセリフや、突拍子もない理不尽な展開が得意。Twitterアカウントは@MG_kotaro。