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#3 すみっコ先生のススメ

いかん、つい力が入ってしまう…学校司書、別の姿は「すみっコ先生」

県立高校の図書館司書、湯川さん
県立高校の図書館司書、湯川さん

目次

新学期が近づいても新型コロナウイルス感染の勢いは衰えを知らず、みなさんは不安な毎日を過ごしていることでしょう。「すみっコ先生」こと埼玉県立飯能高校すみっコ図書館司書の湯川康宏です。テレビや新聞を見ていると、マスクだけでなく、トイレットペーパーやティッシュまでもが買い占められ、それらが街中のお店から姿を消す状況が伝えられています。とても悲しいことです。いつから「自分さえよければよい」と考える人がこんなにも増えてしまったのでしょうか。これまでも人は支えあい、助け合ってさまざまな苦難や災難を乗り越えてきました。みなさんには、苦しく、つらい時ほど、友達や周りの人のことを思いやり、助け合う気持ちを大切にする大人になってほしいと心から願います。

今回のテーマ:くよくよしないで
 すみっコ先生は結構気が弱くて、スーパーで試食したら「絶対買わないと恥ずかしい」とか、あれやこれや考えてしまうのですが、今回はそんな人にこそ読んでほしい、気持ちを穏やかにしてくれる本の出番です。「くよくよしないで」というテーマで「すみっコ図書館の秘密」と「埼玉の高校図書館司書がおススメする本」をご紹介します。おつきあいください。

「すみっコ」って落ち着くよね

すみっコ図書館は飯能高校の一番すみっコにあります。とても不便な場所だけれど、多くの生徒が来て「おちつくわー」と言ってくれます。そう、電車やバス、レストランなんかでも、すみっコの席って落ち着くのよね。
 
この図書館には「すみっコぐらし」という、すみっコが大好きな仲間も集まってきます。彼らはどこからともなく、とあるすみっコに集まってきたなぞの生命体。といっても、地球侵略みたいな物騒なことはぜーんぜん考えてなくて、いつものほほーんとしています。図書委員として生徒と一緒に一生懸命働いてくれてるんです。
ただ、働くのは主に図書館のすみっコだ けどね(^^;)
 
図書館にはいろいろな「すみっコ本」がありますが、今回はすみっコ先生のお気に入りのこの2冊をご紹介。

絵本だとあなどるなかれ


『絵本 すみっコぐらし そらいろのまいにち』よこみぞゆり著 主婦と生活社 
「ねこ」「とんかつとえびふらいのしっぽ」「とかげ」「しろくま」「ぺんぎん?」の5つのおはなしが入っている絵本です。絵本だとあなどるなかれ、絵がとってもかわいいけど、それだけじゃないのよ。
それぞれのキャラクターの生い立ちや、すみっコに仲間入りしたきっかけが明かされます。
「とかげ」と「ぺんぎん?」の正体は「きょ〇りゅう」と「かっ〇」で「本物のとかげ」と、「本物のぺんぎん」が登場します。「ねこ」は実は三つ子だったという、衝撃の事実もこの本で初めて明かされます!!

いかん、すみっコのことになるとつい力が入ってしまう……。
 

大人も泣いちゃう


『映画 すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ ストーリーブック』サンエックス、 主婦と生活社

 

もう一冊はこちら。昨年秋に公開された映画「映画 すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ」のお話が絵本になりました。
映画は、喫茶店の地下室にある絵本の中に吸い込まれたすみっコたちが、いろいろな昔話のキャラクターとなり、もとの世界に脱出するまでの感動ストーリーで、大人も泣けると評判になりました。もちろん、すみっコ先生も劇場で観て泣いてしまったのだけど、この本を読んだら、また泣かされちゃったよ、チックショー!
 

誰が来ても受け入れてくれる仲間・居場所

ちなみに、すみっコ先生には、すみっコたちが、大好きな「すみ」を譲ってくれます。

なぜかって?
私は日本すみっコぐらし協会という謎の組織から「すみっコ先生」に認定されているからです。そう、すみっコ先生は「すみをきわめた人」なので尊敬されているのです、エヘン!
 
「すみっコぐらし」たちは、お互いに悩みや秘密を抱えているけれど、みんなで助け合って仲良く暮らしています。『すみっコ図書館』という名前には、彼らのように、誰が来ても受け入れてくれる、そんな仲間と居場所が見つかる場所にしたいという願いが込められているんですよ。
 
すみっコ先生の証!=湯川康宏撮影
すみっコ先生の証!=湯川康宏撮影

国家的プロジェクトとガチかぶり!

続いては、埼玉の高校図書館司書がおススメする本から今回も4冊の「ズキュン本」をご紹介。
実は、国もズキュン本の紹介をしているという情報を耳にしたすみっコ先生は、コッソリ偵察してみたのよ!こちらです。

子供の読書キャンペーン~きみの一冊をさがそう~

うーん、有名人が目白押し!
ゲッ、童門冬二先生がおすすめしている本は1回目に紹介した『木を植えた男』じゃん。ガチでかぶってる!国家的プロジェクトを相手にするのは手ごわいなあ。

でもさ、でもさ、有名な人が紹介している本だからって面白いとは限らないよ、有名なラーメン屋より路地裏の隠れた店の方がウマいってこともあるし……われながら負け惜しみ感がハンパないっス(ToT)
 

喪失の悲しみを癒やす

『千の風になって a thousand winds』 原詩作者不明 新井 満 訳 講談社

                 
 その大小はあるけれど、人それぞれ希望と絶望とを繰り返しながら生きています。絶望の淵に立った時、どうすればいいのでしょうか。希望が持てないのは当たり前。まずは前進する努力をすることが大切です。本書は34歳の時に失明した中学校教師が、多くの人に支えられながら努力を重ね復職した感動の実話。作者は現在も埼玉県内の中学校に勤務。(対象:小学生以上)

出典:「新・高校生のための読書案内2020」(埼玉県高等学校図書館研究会読書案内委員会)

いま知ってほしいパニック障害

 『パニくる!?パニック障害、「焦らない!」が効くクスリ。』 櫻日和(さくらかわ) 鮎実 著 KADOKAWA

                 
 ある日突然パニック障害になってしまった櫻日和さん。「心の病」の心ってどこにあるの? お医者さんや薬を信じて大丈夫? 病気なのに遊んでいいの?など、パニック障害について発症から闘病の様子まで著者の経験がわかりやすく描かれています。
 理解されづらい病気だからこそ、今元気な人にも読んでほしいエッセイ漫画です。(対象:中学生以上)


出典:「新・高校生のための読書案内2020」(埼玉県高等学校図書館研究会読書案内委員会)

鏡を抜けた世界に集まった7人

『かがみの孤城』 辻村 深月 著 ポプラ社

                
 学校を休むようになってしまった中学1年生のこころ。ある日突然部屋の鏡が光り始め、輝く鏡を抜けた世界には狼面の少女と、自分と似た境遇の6人の中学生がいました。9時から17時まで滞在できる城の中で、隠された鍵を探しながらこころ達は交流を深めていきますが、なぜこの7人が集められたのか・・・? 徐々に色々なことが分かっていき、やがてすべてが繋がっていく驚きと感動がたくさんつまった物語です。(対象:高校生以上)


出典:「新・高校生のための読書案内2020」(埼玉県高等学校図書館研究会読書案内委員会)

神回答連発の著者、息苦しさ感じる人へ

『「空気」を読んでも従わない:息苦しさからラクになる』鴻上 尚史(こうかみ しょうじ) 著 岩波ジュニア新書

                 
 岩波ジュニア新書の編集長さんは、このwithnewsを作っている記者さんに私を紹介してくれた人で、コラムを書くきっかけを作ってくれた方です。いえいえ、編集長に忖度(そんたく)して本を紹介しているんじゃないですよ、選んだのはすみっコ先生じゃなくて高校図書館の司書さんたちだから!
 著者の鴻上 尚史さんは作家・演出家ですが、神回答を連発の人生相談が本にもなっている名カウンセラーでもあります。
 日常生活で起きる出来事に正面からぶつかって壊れてしまわないように、うまく対処する方法をアドバイスしてくれます。日本文化特有の圧力や空気を息苦しく感じている人にぜひ読んでもらいたいな。

協力:「埼玉県の高校図書館司書が選んだイチオシ本2019」(同実行委員会)
      ◇

いよいよ、次回は感動の最終回。テーマは「わかりあいたい」です。
ついに、衝撃のラストが!?お楽しみに。

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withnewsでは、独自の図書館作りで知られる埼玉県立飯能高校の主任司書・湯川康宏さんのコラムを不定期で掲載いたします。次回配信は4月10日の予定です。

湯川さんの図書館運営についてはこちら。伝説の高校図書館つくった名物司書「情報源は本じゃなくてもいい」
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