連載
#5 #自分の名前で生きる
選択的夫婦別姓「無関心は当たり前」でも…サイボウズ青野社長の狙い
「賛成・反対の対立構造では進まない」。夫も妻も、それぞれの姓のまま結婚できるよう選べる「選択的夫婦別姓」の導入を求めているサイボウズの青野慶久社長。訴訟の原告になったほか、議員向けの勉強会でも法改正を訴えていますが、5月に都内であったイベントで、「無関心が当たり前」とも指摘しました。「お互いに正しい知識を共有しましょうという姿勢が大事」と話す青野さんの思いを紹介します。
――地元の愛媛県今治市に陳情へ行かれましたが、反応はいかがでしたか?
小さな街で、ある意味保守的なところ。このテーマについて興味を持ってくれる人がいると思いませんでしたが、40人以上も集まってくれました。
地方にも実は要望があるんです。
「自分の甥っ子が名字が何度も変わって大変そうだった」とか、「娘が、結婚して名字が変わるのがいやで思いとどまってるのよ」とか。身近にあるテーマ。丁寧に話すと共感してくださる人が多いですね。
選択的夫婦別姓は、夫婦同姓でいたい人はそのまま結婚し、別姓を選びたい人に新しく選択肢ができる制度です。
記者自身は「幸せな人が増えるだけなのに、なぜ反対するんだろう」と疑問に思っていましたが、青野さんがさらりと「いろんな人がいますから」と答えていたのが印象的でした。
だからといって諦めるわけではありません。困っていることや二重管理のコストをきちんと伝えて、同じ知識と情報を共有してもらう。すでに世論調査でも、反対派が多数となっているのは70代だけ。青野さんの「選択的夫婦別姓の賛成派が少数派になることはこの先ありませんよ」という言葉にうなずきました。
選択的夫婦別姓や同性婚……さまざまな選択肢が増えていけば、社会がさらに生きやすい方向へ変わっていくんじゃないかなと感じました。
夫から「所有物」のように扱われる「嫁」、手抜きのない「豊かな食卓」の重圧に苦しむ女性、「イクメン」の一方で仕事仲間に負担をかけていることに悩む男性――。昭和の制度や慣習が色濃く残る中、現実とのギャップにもがく平成の家族の姿を朝日新聞取材班が描きました。
朝日新聞生活面で2018年に連載した「家族って」と、ヤフーニュースと連携しwithnewsで配信した「平成家族」を、「単身社会」「食」「働き方」「産む」「ポスト平成」の5章に再編。親同士がお見合いする「代理婚活」、専業主婦の不安、「産まない自分」への葛藤などもテーマにしています。
税抜き1400円。全国の書店などで購入可能です。
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