日本ラグビー協会広報部長の藪木さんに、9月開幕のラグビーワールドカップ(W杯)日本大会の楽しみ方を教えていただくインタビュー。4回目は、長い長い苦しみを経て前回大会で日本代表がみせた奮闘が、世界のラグビー関係者にもたらした空気の変化についてうかがいました。あの試合後に五郎丸選手がみせた涙の意味も。そしていよいよ日本大会を迎えるにあたり、藪木さんが思い描く「ベストシナリオ」も聞かせていただきました。
①ラグビーW杯の歴史、「ブルームフォンテーンの悪夢」が衝撃的だった
②ラグビー日本、記録的大敗からはいあがっても……再び壁になったNZ
③記録的大敗を経て、史上最大の番狂わせ 「劇薬投入」で変わった日本
④ラグビーW杯、日本のベストシナリオとは 鍵を握る「10.13決戦」

前回3勝も、決勝Tには進めず
志村
それは20年もの間、苦しんできたラグビー関係者にとっては、ほんとうに「ありえない」ほどの出来事だったことを学ばせていただきました。
藪木
ただし、勝ち点差で決勝トーナメントには進めなかった。
ラグビーの場合、1試合に4トライ以上取ると勝ち点にボーナスが入ったりとか、いろいろな仕組みがあるので……。

中3日はきつい。試合日程にも力関係が……
やっぱり、日本ってまだそういう扱いをされてしまうチームなんですよ。

勝てたサモアと米国は日本と同じ、いわゆるティア2の強さですか?
残念ながら両方勝ったのでスコットランドが進むことになったんですけど。ただ試合をみると、米国戦はもう安定した戦いぶりでしたね。

五郎丸選手の涙
あれはラグビーをよく知らなくてもジーンと来ました。
彼個人がフューチャーされすぎていたり、エディさんとのきつかった練習のことだったり。やりきった感もあったと思います。

日本を見る目が変わった
本当に変わりました。
17年にプールドロー(組み合わせ抽選会)を京都迎賓館でやったとき、各国代表の監督がそろって来て、ワールドラグビーの会長も来たのですが、彼らが『ジャパン』と口にするときのリスペクトは随所、随所で感じましたね。

世界というか、ティア1が近くなってきた実感があります。
ベスト8以上を目指す日本
日本の目標はベスト8以上。
各予選プールから2チームが勝ち進めるので、つまりは決勝トーナメント進出です。おそらくロシア(同19位)、サモアには必ず勝ち、スコットランドかアイルランド(同2位)のどちらかには勝たないと、決勝トーナメントにはいけません。

因縁のスコットランドとの決戦に持ち込めるか
アイルランドも強いんですよね。
たとえいまのアイルランドに勝つのは厳しいとしても、スコットランドもアイルランドに敗れ、日本と一緒に2勝1敗で並んだとすると、予選の最終戦である日本対スコットランドが10月13日に横浜市の日産スタジアムであります。
そこで、満員のお客さんの応援が背中を押してくれる中でスコットランドに挑む、というのが、私の中でのベストシナリオです。

今年9月のW杯に対する見方が、もうずいぶん変わってきたような気がします。またぜひ、もっと教えてください。