連載
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発達障害の子の「好き」を伸ばす 建築家や作曲家とマッチング

大好きなことに熱中させ、得意を伸ばすことで子どもの成長を支えるマッチングサービスがあります。実際に利用している家庭の自宅に訪れ、その様子を取材しました。(朝日新聞社会部記者・横川結香)
自宅に来た「先生」は……
日曜の昼下がり。小学4年の谷朋優さん(10)にとって、とっておきの時間がやってきました。東京都内の自宅で「先生」の梅内祐太さん(25)から、コンピューターのシステムを学ぶ1時間です。
この日は、基本ソフト(OS)の「Linux」を実際に操作して、プログラムが動く過程を確かめていました。その間、雑談は一切なし。ものすごい集中力で知識を吸収していました。
朋優さんと梅内さんは、発達障害のある子どもと学生や社会人をマッチングさせるウェブサービス「Branch」を通じて出会いました。専門分野を持つ「メンター」が子どもたちの自宅などを訪れ、興味や関心がある分野の力を伸ばす仕組みです。
生まれつきの脳機能の発達のアンバランスさ・凸凹(でこぼこ)と、その人が過ごす環境や周囲の人とのかかわりのミスマッチから、生きづらさや困難が生まれる障害

40人の「メンター」
その一人である梅内さんは、大学院で人工知能の研究をし、現在は大手通信会社に勤めています。機械の仕組みに興味がある朋優さんにとって、ぴったりの相手。梅内さんは「自分が子どもの頃は興味も定まっていなかったし、情報もなかった。将来、彼が自身の能力を生かすことができるようサポートしていきたい」。肩を寄せ合ってパソコン画面をのぞき込む2人は、まるで年の離れた兄弟のようです。

「『今が楽しい』という時間を大切にしたい」
学校には、学校側と話し合った上で週2回、特別支援学級に通っています。母親のとも子さん(48)は「自分と異なる環境を彼が知り、周りの皆さんにも彼のような存在を知ってほしい。その上で、『今が楽しい』という時間を大切にしたい」と、朋優さんの成長を温かく見守っています。
・言葉のコミュニケーションが苦手
言葉の裏にある意味をくみとるのが難しい など
・人と関わるのが苦手(対人関係や社会性の障害)
目を合わせない、空気を読むのが苦手 など
・こだわりや興味に偏りがある
予定が変わるとパニックになってしまう、同じ動きを繰り返す など
診断基準によっては広汎性発達障害・自閉症・アスペルガー障害などの名前で呼ばれることもあります。
何事も満遍なくできる子を評価しがちな学校や社会の中で、凸凹の輝く教育を探っていく連載です。
【お知らせ】トークイベントを開きます

10代のハッタツ・トーク!センパイ当事者3人の『ワタシ』的生き方
11月10日(土)、発達障害がある10代の方々を対象にトークイベントを開催しました。
発達障害の当事者であり、自分らしく生きていらっしゃる以下3名が、小中学校のころの生きづらさや今について語りました。
・動画やSNSなどで発達障害について発信している 彩乃さん
・15歳で「HORIZON LABO」を始めたコーヒー焙煎士 岩野響さん
・NPO法人AVENGE OF MISFITS 代表理事 池田誠さん
「学校生活・友人関係がうまくいかない」「親とどうしても通じ合えない」「このまま生きていって、進路やその先の生活は大丈夫だろうか」など不安に思っている人のヒントになる話・共感できる話がたくさんあります。
発達が気になる子どもの親向けポータルサイト「LITALICO発達ナビ」さまとの共催です。イベントの詳細は、発達ナビさまのサイトをご覧ください。
イベントの様子は、ハッシュタグ「#ハッタツトーク」を付けてツイッターで発信しました。2019年5月ごろまで動画でもご覧いただけます。

withnewsは4月から、生きづらさを抱える10代への企画「#withyou」を始めました。日本の若い人たちに届いてほしいと、「#きみとともに」もつけて発信していきます。以下のツイートボタンで、みなさんの生きづらさも聞かせてください。
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