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発達障害とは?もし「発達障害かも」と思ったら?イラストで解説!

発達障害は外見からはわかりにくい障害です。定義や特徴も複雑で、イメージしにくいかもしれません。この記事ではイラスト図解で、発達障害にはどんな障害があるか、その原因や症状・特性、治療法、もし子どもが「発達障害かも?」と思ったらどうしたらいいのかなど、ポイントをおさえて解説します!(LITALICO発達ナビ編集部)
発達障害とは?
具体的にわかりやすく言うと以下のような状態です。

発達障害はその発達過程やライフステージなどで困りごとや特性が強く現れ、初めて分かるケースがほとんどです。外見からはわかりにくく、大人になっても気づかない人もいます。
その特性から「困った子」と捉えられてしまうこともありますが、その子が「困っている」ことに早く気づき、周りが理解し、一人ひとりに合った対応をすることがとても大切です。
■発達障害の主な3つのタイプ
発達障害は特性や現れる困りごとによって、大きくASD(自閉症スペクトラム)・ADHD(注意欠陥・多動性障害)・LD(学習障害)の3つのタイプに分けられます。

発達障害の症状・特性と困りごと
診断基準によっては広汎性発達障害・自閉症・アスペルガー障害などの名前で呼ばれることもあります。知的障害や、言葉の遅れ、感覚過敏・鈍麻がある人もいます。子育ての違和感や園や学校、乳幼児健診での指摘で気づくケースが多いと言われています。
全体的な知的発達に比べて、学習面で大きく目立って不得意なことがあります。読めるのに書けないなど、一部だけに困りごとが表れることもあります。授業についていけなくなる、宿題をこなせないなど、小学校に進学し学習が始まって明らかになるケースが多いと言われています。
上記のほか、てんかん、チック、トゥレット症候群、場面緘黙、吃音などが合併することもあります。
「感覚過敏があって、音に耐えられず教室を飛び出してしまう」「言葉の遅れがあって気持ちをうまく伝えられず、癇癪を起こしてしまう」など、これらの合併症と特性は密接に関係し重なり合い、困りごととなってしまうこともあります。
■発達障害のグレーゾーンとは
発達障害と定型発達の境目は明確にはありません。そのため診断基準は満たさない、あるいは未診断だが発達障害の傾向のある「グレーゾーン」と呼ばれる人もいます。
診断がつかない=症状や困りごとも軽度だと考えられがちでが、明確な診断名がなく、外見からもわかりにくいので、理解や支援につながりにくいこともあります。
分類や定義、診断の有無にこだわらず、一人ひとりの特性の傾向を知り、本人の生きづらさを減らすことに注力できるとよいでしょう。
発達障害の原因は?
発達障害は、生まれつきの脳を含む中枢神経系の機能障害が原因となって現れると考えられます。以下に、発達障害の特性との関係が考えられている脳の機能を紹介します。
発達障害のある人の脳の場合、これらの部位が小さかったり、血流が弱かったりしてうまく機能しないという事例も報告されています。これらの機能障害を引き起こすメカニズムは、まだはっきりとは分かっていません。
■発達障害は遺伝するの?
発達障害に関連があると考えられる複数の遺伝子の発見や研究も進められています。ただし、関連する遺伝子を持っていても必ずしも発症するわけではありません。また、親から子へ必ず遺伝するものでもありません。
現在「様々な遺伝的要因と環境要因が相互に影響しあって発達障害の症状が表れる」という説が有力で、すべての方にあてはまるようなただ一つの原因はないといわれています。
「親のしつけ方・育て方が悪い」「親の愛情不足」といった心因論も医学的に否定されています。
発達障害かもと思ったら?症状チェック・検査・診断までの流れ
■診断までの流れ
専門機関の中には発達検査を行っているところもあります。
相談や医療期間受診の後、療育的なサポートを受けたり、医療機関で治療を受けたりするなど、必要に応じた個別の専門的なサポートを受けることになります。診断を受けなくても発達相談や子育て相談、発達支援やペアレントトレーニングなどを受けることもできます。
・子育ての違和感や子どもの困りごとに早く気付くことで、より早い支援につながる
・自己診断は絶対にNG。その先の対処法や支援を知るためにもまずは専門家に相談を
・専門機関に相談することで、必要であれば医療機関につないでもらえる
・もし発達障害ではなかったとしても、子育て相談や発達相談などの支援を受けることもできる
・検査で子どもの苦手と得意を把握することで、その子にあった対処法が見つかることがある
・発達支援や療育を受けることで、症状や困りごとが改善する可能性がある
・診断は必須ではないが、診断があることで受けられる公的サポートもある
などが挙げられます。
発達障害は治るの?
■薬物療法
発達障害を完全に治す薬はありませんが、症状を和らげるための薬がいくつかあります。人によって合う薬と合わない薬もあり、副作用などもあるなど、現在のところ、すべての人に必ず効果があるような薬はありません。また処方は6歳以上で、成人には認可されていない薬もあります。
そのため、薬物療法を進めるときは医師の判断のもと、その人の症状や状態を慎重に見ながら行うことになります。薬で症状が和らいでいる間に本人に対する療育や学習などのアプローチを行うと効果的です。
■療育的アプローチ
子ども自身が何に困っているかやその背景などを探り、トレーニングをしてうまくいく方法を見つけ、得意な部分を生かします。また周囲の人の理解や環境の工夫によって、症状や困りごとの改善を図ります。そうして失敗体験を減らし、成功体験を増やして適応能力を伸ばしていきます。
療育方法は様々なものがあります。子どもの場合、クリニックや発達障害外来などのほか、児童発達支援や放課後等デイサービスなどで療育的支援を受けることもできます。
発達障害の生きづらさと二次障害
発達障害の特性が理解されないまま生きづらさが強くなると、心の病や行動の問題など、二次的な障害を引き起こすことがあります。
以下に二次障害に陥りやすいプロセスをご紹介します。

発達障害をもっとくわしく知るリンク集
発達障害の診断・検査について知る https://h-navi.jp/column/article/143
発達障害の原因について知る https://h-navi.jp/column/article/182
■発達障害のある人が受けられる支援・サポートを知る
障害者手帳の取得法、利用できるサービスを知る https://h-navi.jp/column/article/761
障害児が受けられる福祉サービスを知る https://h-navi.jp/column/article/35025518
障害者が受けられる福祉サービスを知る https://h-navi.jp/column/article/35025820
合理的配慮の受け方、具体例を知る https://h-navi.jp/column/article/589
■子育ての対処法やヒントを知る
親子のヒントhttps://h-navi.jp/teaching
■参考資料
参考:発達障害とは|LITALICOジュニア https://junior.litalico.jp/about/hattatsu/
参考書籍:『DSM-5 精神疾患の分類と診断の手引』(医学書院) https://www.amazon.co.jp/dp/4260019082
参考書籍:『ICD-10精神科診断ガイドブック』(中山書店) https://www.amazon.co.jp/dp/4521737056
「10代のハッタツ・トーク!センパイ当事者3人の『ワタシ』的生き方」

10代のハッタツ・トーク!センパイ当事者3人の『ワタシ』的生き方
11月10日(土)、発達障害がある10代の方々を対象にトークイベントを開催しました。
発達障害の当事者であり、自分らしく生きていらっしゃる以下3名が、小中学校のころの生きづらさや今について語りました。
・動画やSNSなどで発達障害について発信している 彩乃さん
・15歳で「HORIZON LABO」を始めたコーヒー焙煎士 岩野響さん
・NPO法人AVENGE OF MISFITS 代表理事 池田誠さん
「学校生活・友人関係がうまくいかない」「親とどうしても通じ合えない」「このまま生きていって、進路やその先の生活は大丈夫だろうか」など不安に思っている人のヒントになる話・共感できる話がたくさんあります。
発達が気になる子どもの親向けポータルサイト「LITALICO発達ナビ」さまとの共催です。イベントの詳細は、発達ナビさまのサイトをご覧ください。
イベントの様子は、ハッシュタグ「#ハッタツトーク」を付けてツイッターで発信しました。2019年5月ごろまで動画でもご覧いただけます。

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