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マインクラフトで「防災地下神殿」再現 作ったのは国交省の出先機関

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世界的な人気ゲーム、マインクラフトで、「防災地下神殿」が再現されました。データを作成したのは、国土交通省の河川事務所です。堅いイメージの官庁がゲームの世界に進出した背景には、防災への熱い思いがあるといいます。
マインクラフトは、3Dブロックでできた自分だけのオリジナルのバーチャル空間を自由に探検したり、建築物を建てたりして楽しむゲームで、世界中に愛好者がいます。プログラミングの教材としても活用されています。
関東地方整備局江戸川河川事務所(千葉県野田市)は4月、マインクラフトを用いて「防災地下神殿」の異名を持つ「首都圏外郭放水路」をバーチャルで再現。作成したワールドデータを公開しました。実際の設計図を基にワールドデータを設計し、リアルさを追求したといいます。
巨大な立て坑や排水ポンプ設備を臨場感たっぷりに再現したできばえに、SNSでは、「地下神殿をリアルに再現、ってどれだけ作り込んでるのよw」「おもしれぇ省庁」「国土交通省、最近なかなかいろいろやってる!」「これ国交省の人が作ったん…?」「完成度がすごい!」といった声が投稿されました。
埼玉県春日部市にある首都圏外郭放水路は、壮大な地下施設を有する治水施設です。洪水を防ぐために建設された世界最大級の地下放水路とされています。
毎秒200立方メートルの排水能力があり、洪水が起きたときに中小河川の氾濫(はんらん)を防ぐための重要な役割を担っています。
ゲームでは、プレーヤーがゲーム内で探検しながら治水施設の仕組みやインフラ整備の重要性を学び、子どもたちが主体的に防災知識を身につけられる設計になっています。
江戸川河川事務所はなぜマインクラフトを利用しようと思ったのでしょうか。担当者に聞いてみました。
「マインクラフトは全世界で1億人以上のプレーヤーを持ち、日本でも小学生から大人まで様々な年代の方々が利用されているゲームソフトです。また、教育現場においても導入されてきていることから楽しく防災の知識を身につけられることが期待できるICT教材と考えました」
発端は若手職員らの声だったといいます。
「江戸川河川事務所は首都圏外郭放水路の見学を通じて災害の自分ごと化を推進していくために、『八つのパワーアップ計画』に取り組んでいます。マインクラフトの活用は、これらの取り組みの一つとして様々な議論やアイデア出しを行うなかで、連携事業者や事務所の若手職員からの提案があり、採用されたものです」
先月には、マインクラフトで防災について学んだあと、実際に施設を見学するプログラムを始めた。マインクラフトでは、通常の見学ツアーでは見ることができない場所に入ったり、施設が稼働する様子を間近で観察したりできるため、学習後の見学ツアーの理解がより深まるという。
江戸川河川事務所の担当者は、ゲームを通じて防災意識の向上に取り組みたいと話します。「ゲームをプレーすることを通じて、首都圏外郭放水路の施設の機能や役割を理解していただくと共に、治水対策や防災の重要性に興味・理解いただくことで、皆さんご自身がお住まいの街の水害リスクにも意識を向けていただきたいと思っています」
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