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「アイマス」好きの「革命家」 香港女子のギャップがすごかった…

東京・秋葉原を歩くアグネスさん=2017年6月16日
東京・秋葉原を歩くアグネスさん=2017年6月16日 出典: 細川卓撮影

目次

 彼女の名前はアグネス・チョウ。生まれも育ちも香港だけど、日本のアニメとアイドルが好き。「Fate/Zero」一押し、「アイマス」の「ミキちゃん」神推し。好きが高じて日本語を独学で勉強しはじめ、ツイッターも日本語でやってます。アキバに来るのはもう、10回を超えるかな。そんな、ごくふつうのガチオタ女子ですが、ただひとつ違っていたのは。彼女は「革命の闘士」なんです。(朝日新聞国際報道部記者・高田正幸)

【関連リンク】
・香港、実は「普通選挙」認められている? 若者たちが怒った理由 
・「最低限の安全さえ守られない」 香港で「中国離れ」が進む理由
・香港=進撃の巨人?「雨傘革命」リーダーがアキバで探した“未来”

 

「秋葉原はすごい街」

アキバを歩くアグネスさん。隣にいるのは、同じ日程で来日していたジョシュアさん=2017年6月16日
アキバを歩くアグネスさん。隣にいるのは、同じ日程で来日していたジョシュアさん=2017年6月16日 出典: 細川卓撮影

 「日本に来るのは5回目。だけど、秋葉原には10回くらい来てます。1回の来日で2~3回来たりして」

 アキバにつくなりまっすぐ向かったのは、アニメショップの「アニメイト」。


 お気に入りは、アイドル候補生をトップアイドルに育てるゲーム「アイドルマスター」のキャラクター、「星井美希」。

 「すごい人気キャラなんです。でも、人気だから好きというわけじゃなく、私の好きなキャラが人気なことが多いだけで……」

 「かわいい」

 「神」

 いちばん好きなアニメは、「Fate/Zero」。


 「主人公は世界の平和を求めている人。平和のために人を犠牲にすることもあるけど、うまくいかない」

 「社会のシステムを批判する話。いまの香港の状態にもつながる」

 愛用のリュックサックには「セイバー」(という主要な登場キャラクター)のキーホルダーが。

笑顔を見せるアグネスさん=2017年6月14日
笑顔を見せるアグネスさん=2017年6月14日 出典: 細川卓撮影

 「香港ではアニメは『真剣じゃないもの』と思われています。でも、アニメの中にも政治的なメッセージがあったりする。まじめな要素はたくさんある」

 「日本ではアニメに対する理解がある。アニメみたいな異次元のことを重要な文化として受け入れられる日本はすごい。秋葉原はすごい街!」

AKB48グループの選挙ポスターの中に台湾出身のメンバーを見つけたアグネスさん=2017年6月16日
AKB48グループの選挙ポスターの中に台湾出身のメンバーを見つけたアグネスさん=2017年6月16日 出典: 細川卓撮影

 アキバと言えばAKB48。ちょうど「選抜総選挙」の投票期間で、ポスターが路上に張り出されていました。

 「最近のお気に入りは『乃木坂46』と『欅坂46』です。欅坂の『サイレント・マジョリティー』が好き。あの歌詞に勇気づけられます。『選べることが大事なんだ 人に任せるな』って」

 ……とにかくマシンガンのようなトークが止まりません。ガチです。ガチオタです。

 これぜんぶ日本語でしゃべってます。ペラペラです。

ガチオタ兼ガチ闘士

香港で普通選挙を求めるデモに参加したアグネスさん(左)、ジョシュアさん=2015年2月1日
香港で普通選挙を求めるデモに参加したアグネスさん(左)、ジョシュアさん=2015年2月1日 出典: ロイター

 そんなアグネスさんは、2016年9月から日本語でツイッターをしています。

 どんな内容なのか、ちょっと見てみましょう。



 「恥を知れ」。この強い言葉は、香港当局に向けられたものです。

 もともとは引っ込み思案な女の子だったというアグネスさん。フェイスブックで学生運動について知り、中高生を中心とする学生団体に15歳で参加。政府の教育政策に反対するデモ活動に身を投じました。

 「同世代の人ががんばっているのを知って、あこがれました」

中国本土が決めた香港の選挙制度の改正に反対を呼びかけるアグネスさん(左)、ジョシュアさん=2015年6月14日
中国本土が決めた香港の選挙制度の改正に反対を呼びかけるアグネスさん(左)、ジョシュアさん=2015年6月14日 出典: ロイター

 2014年9月から約3カ月間にわたり、若者たちが香港の中心部を占拠した「雨傘革命」にも中心メンバーとして参加。

 占拠は12月に終わりましたが、その後も運動を続け、仲間たちとつくった政党「香港衆志」の幹部を務めています。

 その主張は、香港の未来を、中国本土ではなく、香港人自身が民主的な方法で決めることが柱になっています。


東京大学で講演するアグネスさん=2017年6月14日
東京大学で講演するアグネスさん=2017年6月14日 出典: ロイター

 今回の訪日では、東京大学で講演。聴衆から「民主化の交渉過程で妥協点はあるのか」と質問が上がると、語気を強めました。

 「妥協点ってなに? 民主的でないものには賛成できない。妥協点があるのかを考える前に、主張していることを諦めないこと」

 「私たちが求めているのは『民主自決』。香港人の未来は香港人が決める」


 6月28日、中国本土から習近平国家主席が出席する香港返還20周年の記念式典の直前には、他の20人以上とともに抗議活動をし、警察に約30時間にわたって拘束されました。

ツイッターのギャップがすごい

 2016年10月1日のアグネスさんのツイート。


 国慶節とは中国の建国記念日。2016年のこの日、香港でも記念式典がありましたが、政治トップの行政長官があいさつを始めると、普通選挙を求める民主派の議員らが「辞任しろ」と書かれた紙を掲げて抗議。大声を出した議員は場外に連れ出されるなど混乱しました。

 その翌日のアグネスさんのツイート。


 今では「坂道シリーズ」に心を奪われているアグネスさんですが、もともとは「モーニング娘。」をはじめとするハロプロ(ハロープロジェクト)の大ファンとあって、居ても立ってもいられなかったようです。

 続いて2016年12月3日、アグネスさんの20歳の誕生日のツイート。


 その数時間後のツイート。


 アグネスさんにとっては、アキバも、運動も、それぞれ日常の一断面に過ぎないということなのでしょう。

 少ない休日は、インターネットで日本のアニメやバラエティ番組を見て過ごすことが多く、それが癒やしの時間になっているそうです。

 それはそれとして、「ギャップ萌え」、あるいは「ツンデレ」という言葉を思い起こさずにはいられません。

日本の若者にメッセージ

新党「香港衆志」から立法会議院に当選したネイサン・ロー(羅冠聰)さん(右)とともに、笑みを浮かべるアグネスさん(左)。中央はジョシュアさん=2016年9月5日
新党「香港衆志」から立法会議院に当選したネイサン・ロー(羅冠聰)さん(右)とともに、笑みを浮かべるアグネスさん(左)。中央はジョシュアさん=2016年9月5日 出典: ロイター

 日本の政治についても聞きました。

 「日本の政治家はおじさんばっかりですよね。女性のリーダーが少ない」

 「日本では、議員じゃないと政治家じゃないみたい。でも、どうして? (一緒に活動をしている)ジョシュアは議員じゃないけど、香港ではジョシュアは政治家です」

 ジョシュアさんは「雨傘革命」の中心人物ですが、今のところ議員ではありません。でも、香港で最も有名な政治家の一人であることに、疑問の余地はないでしょう。

東京大学で講演後、記念撮影に応じるアグネスさん(右)=2017年6月14日
東京大学で講演後、記念撮影に応じるアグネスさん(右)=2017年6月14日 出典: 細川卓撮影

 「日本では政治への関心が低いと聞きました。自分の民主的権利を大切にしてください。香港は民主的権利を求めているけど、まだ成功してないけど、日本のみなさんは自分の権利を大切にしてください。不公平な事があるときに、必ず声をあげてください」


アグネスさんから日本の若者にメッセージ 出典: 細川卓撮影
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