ネットの話題
まるで四畳半神話体系 「令和の昭和暮らし」を実現した部屋が話題に
令和の時代に、まるで昭和にタイムスリップしたような部屋がSNSで話題になっています。この部屋の主に話を聞くと、わざわざ昔の家具や雑貨を集めて昭和の部屋を再現したそうです。部屋が完成するまでの経緯やこだわりを聞きました。(朝日新聞デジタル企画報道部・武田啓亮)
話題になっていたのは、愛知県に住む24歳の大学院生、べーた(@onecuprain)さんのX投稿です
今日からここが我が家だ。ずっとこういう暮らしがしたかった。 pic.twitter.com/LIZoUVbcKk
— べーた (@onecuprain) November 26, 2024
「今日からここが我が家だ。ずっとこういう暮らしがしたかった」
壁や畳はもちろん、木製の文机や花柄の布団など、昭和を舞台にした映画やドラマに出てきそうな家具や雑貨でいっぱいです。
また、本棚代わりに使われている木箱もレトロ感を演出しています。
SNSでは「四畳半神話体系だ」「トキワ荘やん!」「男おいどんの世界だ」など、作家・森見登美彦さんの小説や漫画家・松本零士さんの漫画で描かれた世界観を連想した人から、多くの反応が寄せられていました。
また、「懐かしいと感じる昭和生まれです」「学生時代に住んでいた部屋がこんな感じだった」と当時を知っている世代からとみられる返信も多くありました。
べーたさんによると、この部屋は築50年のアパートで、家賃は2万6千円。
べーたさんはこの部屋で実際に生活しているそうです。
「部屋にあるグッズはこの部屋に引っ越すことが決まった後、フリマアプリで1カ月ほどかけて集めたものです」
かかった金額は全部で10万円弱ほどだそうです。
机やこたつなどの家具のほか、本棚代わりの木箱に詰められた本や昔の歌謡曲のカセットテープなども昭和仕様です。
「この木箱はりんごの集荷用に使う箱で、フリマアプリで一つ500円ほどでした」
特にお気に入りのグッズはラジカセだそうです。
「リサイクルショップなどと違い、実物を手に取れないフリマアプリでは細かな動作確認ができなかったり、肉眼で見たときの色合いが写真と異なったりすることがあります。なので、ラジカセがきちんと動いてくれたのがうれしかったです」
昭和レトロに興味を持った経緯について「昔からなんとなく意識はしていました」と語るべーたさん。
本格的に惹かれるきっかけは、大学生になって一人旅をするようになってからだそうです。
「私は熱しやすく冷めやすい飽き性なのですが、全国の古い旅館をめぐったり、古本屋を散策したりする趣味は不思議と続いているんです。この部屋の雰囲気も、旅先で泊まった旅館の部屋を参考にしました」
部屋の住み心地についてべーたさんは「ただ部屋を眺めているだけで心が落ち着きます。和室の匂いや柔らかさを感じられるのが心地いいです」と話します。
部屋の窓の外には、急な坂道と周囲の家の瓦屋根が見えます。
「家の周りに坂が多いので移動はやや不便ですが、急な坂を上り下りする時間も悪くないなと感じています」
べーたさんの投稿は800万回以上表示されており、世代を超えて多くの人が部屋の雰囲気に惹きつけられたようです。
取材を申し込んだ平成初期生まれの記者(32)もまた、映画の中から飛び出してきたような部屋の写真に興味を持った一人です。
べーたさんは「私自身は2000年生まれで昭和にはかすりもしていない世代ですが、多くの人に懐かしいと言ってもらえました。悪くない解像度で表現出来たのかな、と嬉しかったです」と話しています。
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